『見知らぬ乗客』の考察/解説レビューをCINEMOREに寄稿しました

『見知らぬ乗客』ドッペルゲンガーが招き寄せる悪夢」という考察/解説レビューをCINEMOREに寄稿しました。

ドッペルゲンガーとは、Doppel(二重)とGänger(歩行者)を組み合わせたドイツ語で、自分と瓜二つの他人や幻覚を指す。民間伝承などでは、ドッペルゲンガーに出くわすと災いに巻き込まれるとされ、古くから不吉の象徴とされてきた。

『NOPE/ノープ』(22)で知られる映画監督ジョーダン・ピールは、子供の頃からドッペルゲンガーに怯えていたという。もう一人の自分と対峙する恐怖。それは己のアイデンティティーが揺り動かされる、強烈なナイトメアなのかもしれない。同じ姿かたちをした4人家族が自分たちを殺しにやってくる『アス』(19)は、そんな彼の潜在的恐怖が結実した作品と言える。

ジョーダン・ピールに霊感を与えたのは、アルフレッド・ヒッチコック監督の名作『めまい』(58)だった。この映画には、キム・ノヴァクが一人二役を演じるマデリンとジュディという女性が登場する。双生児のように同じ顔をした、二人の女性。『めまい』とは、ある男がかつて愛した女のドッペルゲンガーを追いかける、ストレンジなラブストーリーなのである。

筆者は、ヒッチコック映画でもう一つ忘れてはならない“ドッペルゲンガー映画”があると思っている。パトリシア・ハイスミスの同名小説を原作とした、『見知らぬ乗客』(51)だ。この映画には、ガイ(ファーリー・グレンジャー)とブルーノ(ロバート・ウォーカー)という二人の男が登場する。二人は列車で偶然出会い、しばし語らったあと、ブルーノが恐るべき提案をする。互いに相手の殺人を請け負う、<交換殺人>を。

ぜひご一読ください!

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