『ミュンヘン』の考察/解説レビューをCINEMOREに寄稿しました

『ミュンヘン』母なる国家に対するスピルバーグの眼差し」という考察/解説レビューをCINEMOREに寄稿しました。

おそらく、スティーヴン・スピルバーグが手がけてきた作品のなかで、最も物議を醸した映画は『ミュンヘン』(05)だろう。原作は、ジョージ・ジョナスの「標的(ターゲット)は11人―モサド暗殺チームの記録」。アヴナーと呼ばれる元モサド諜報員の証言を元に書かれたノンフィクション・ノベルだ。イスラエル選手団が虐殺されたミュンヘン・オリンピック事件の報復のため、モサド(イスラエル諜報特務庁)がテロ首謀者と目されるパレスチナ人を次々に葬り去っていく、凄惨な復讐譚である。

この書籍に対して、特にイスラエル側から「事実を捻じ曲げている」という論調が巻き起こった。作者のジョージ・ジョナス自身も、「歴史家の厳格な基準に達することは望めなかった」(*1)ことを認めている。情報源をアヴナーに頼っていたために、細部を検証することができず、情報提供者を保護する目的で内容を改変する必要もあったという。もちろん、アヴナーが本当に信頼にたり得る人物なのか?という問題もあった。しかし、スピルバーグは脚本家のトニー・クシュナーと共にアヴナーと面会を重ね、その証言が真実であることを確信するに至る。

「アヴナーに何度も会った。何時間も一緒に過ごした。私は自分の直感と常識を信じた。彼は嘘をついていないし、誇張もしていない」(*2)

ぜひご一読ください!

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