2025/12/17

『エディントンへようこそ』(2025)の考察/解説レビューをCINEMOREに寄稿しました

『エディントンへようこそ』同じ現実を生きていない時代のネオ西部劇」という考察/解説レビューをCINEMOREに寄稿しました。

ずっと、『エディントンへようこそ』(25)の海外版ポスターが謎だった。そこに写っているのは、急斜面の断崖を駆け抜け、次々と転落していくバッファローの群れ。先頭の一頭はすでに宙を舞い、後続のバッファローたちも立ち止まらない。逃げ惑う様子も、何かに追われている気配もない。ただ先頭に従うように、流れに身を委ねるように、群れは自らの足で崖へと向かっていく。

このビジュアル・イメージに使われているのは、アーティストのデイヴィッド・ウォイナロヴィッチが1988年に発表した「Untitled (Buffalo)」。この写真を発表した80年代後半に彼はHIV感染の診断を受け、1992年に37歳で死去。エイズ危機は当時のアメリカ社会において、大きな影響を与えた。

ウォイナロヴィッチは、エイズが喚起する「止められない大量死」と、19世紀に人為的に大量虐殺されたバッファローの歴史を、明確に重ね合わせている。ここで描かれているのは、誰かに殺される瞬間ではない。気づいたときには、すでに運動そのものに組み込まれてしまっている破滅のプロセスだ。

ぜひご一読ください!

FILMOGRAPHY