スター・ウォーズ エピソード2 クローンの攻撃/ジョージ・ルーカス

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『エピソード1』のレビューでも書いたが、この新三部作には致命的な欠陥がある。

我々は共和国が崩壊して暗黒面が銀河系を制覇するという「キモ」を事前に知っているがために、どんな豪華絢爛なバトルシーンも血湧き肉踊るっていう訳にはいかないんである。

ルーカスは、神話的世界をモチーフにした悲劇的オデッセイに仕立てあげたいんだろうが、『スター・ウォーズ』が’70年代アメリカのイコンと成りえたのは、笑ってしまうくらいに勧善懲悪の冒険物語だったからだ。ルーカスははじめから大きなハンデを背負って製作に入らなければならなかったのである。

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ところが今回の『エピソード2』は、開き直ったかのように近年のSF映画を引用しまくり。賞金稼ぎサム・ウェセルを追い掛けるチェイスシーンは『フィフス・エレメント』だし、ジノーシスでのジェダイ騎士とドロイドの戦いは『スターシップ・トルーパーズ』。

『スターウォーズ』第一作でSF映画ブームを巻き起こしたジョージ・ルーカスは、そのSWチルドレンである映画のエレメントを逆輸入加工して、自らのレトロな感性に喝を入れた。

『エピソード1』ではCGがおっそろしくショボかったが、今回はさらに輪をかけた物量作戦でアラ探しする暇もなし。ここまでやれば立派です。その分ショボかったのが、アナキン&アミダラのラブロマンス。

美形であらせられる二人のビジュアルで何とか観賞に堪えられるものの、時代錯誤かつ羞恥心を捨てきった直球演出には、ちょっと参ってしまった。何でも本国アメリカではこのシーンになると失笑が洩れたという噂だが、確かに今さらこんなコテコテの恋愛描写じゃ犬も食わんです。

前作のアナキン役、ジェイク・ロイド君はおそるべきダイコン演技ぶりで我々を驚かせてくれたが、今回同役にキャスティングされたヘイデン・クリステンセンはひたすらホスト路線。

ジゴロビーム放出しまくりで、すっかりお美しくなられたナタリー嬢をあっさり悩殺(それにしても後半の衣装はエロいぜ、ナタリー!!)。将来ダースベーダーになることもナットクのダークオーラを発している。

同時期に公開された『海辺の家』でも若い女性客をクラクラさせているらしく、実におめでたい。ついでに映画評論家のおすぎもキャーキャー騒いでいました。

まあ、僕の大キライなジャージャー・ビンクスの出演シーンが大幅カットされたし、ヨーダはおっそろしく強いし(それにしても、あれだけ中国雑技団ばりの動きができるのに、普段は杖をついているというというのはどういう訳だ?)、御大80歳のクリストファー・リー演じるドゥークー伯爵はカッコいいし、キャラの引きが強いのが幸いして前作よりは面白いです。

さてルーカス先生、『エピソード3』ではどうケリをつけてくれるの!?

DATA
  • 原題/Star Wars Episode II : Attack of the Clones
  • 製作年/2002年
  • 製作国/アメリカ
  • 上映時間/142分
STAFF
  • 監督/ジョージ・ルーカス
  • 製作/ジョージ・ルーカス、リック・マッカラム
  • 脚本/ジョージ・ルーカス、ジョナサン・ホールズ
  • 撮影/デヴィッド・タッターソル
  • 音楽/ジョン・ウィリアムズ
  • 美術/ギャビン・ボクエット
  • 編集/ベン・バート
  • 衣装/トリシャ・ビガー
CAST
  • イアン・マクレガー
  • ナタリー・ポートマン
  • ヘイデン・クリステンセン
  • クリストファー・リー
  • サミュエル・L・ジャクソン
  • フランク・オズ
  • テムエラ・モリソン
  • イアン・マクダーミド
  • ペルニラ・アウグスト
  • ジミー・スミッツ
  • アンソニー・ダニエルズ
  • ケニー・ベイカー

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