若かりし日のシャロン・ストーン姐さんが、セクシーでタフな女ガンマンを颯爽と演じる西部劇。いやー、これマジ傑作です。
マカロニ・ウェスタンの香りが濃厚に漂うベタな復讐劇なのに、サム・ライミ独特の仰々しいカメラワーク&スピード感溢れる演出で、90分間緊張が途絶えることなくストーリーが突き進む。
西部劇の約束事を現代的なフォーマットに置き換えるのではなく、むしろとことんデフォルメしまくることで、荒唐無稽さが強調され、極上のエンターテインメント感が約束されるのだ。
まず早撃ちトーナメントという状況を設定し、それに出場する各ガンマンの人生を重ね合わせていく手法が上手い。要は勝ち抜き戦になる訳で、ベスト4が出揃ったあたりから、観客は誰が最終的に勝ち残るのかが分からなくなる。
観客をそう仕向けさせるぐらいのネームバリューのある役者が必要となってくるのだが、それに相応しい豪華キャストが大挙出演。
昔は悪党で今は神に仕える牧師という妙な役どころを、“ミスター・タフガイ”ラッセル・クロウが熱演。しかし奴に信心深い役なんぞふさわしい訳もなく、案の定ラストでは人を殺しまくるのでご安心あれ。
町を牛耳る悪名高き保安官を演じるは、御大ジーン・ハックマン。ベテランらしく余裕の演技。最後、自分の影に穴が空いているショットは爆笑モノだったね。
その保安官の息子で、自身満々な若きガンファイターを演じるのが、レオナルド・ディカプリオ。何でもデカ様はシャローン・ストーンじきじきのご指名だったらしいが、やっぱ女の武器にやられてしまったんでしょうか。
ステレオタイプなヒーローをやらせるよりも、ディカプリオはちょっと鼻持ちならないくらいの若造をやらせるほうが巧い。さすがに今では三十路を迎えて、そんな役も難しくなってきているだろうが。
嬉しかったのが、口先だけのヘボガンマン・ハンロン役を演じるランス・ヘンリクセン。『エイリアン』(1979年)のビショップ役で有名な役者である。あのクセのある顔は、一度眼にしたら孫の代まで祟りそうなくらい強烈である。うーん好きだなあ、あーゆー顔。
不満はやっぱお色気シーンが全然いやらしくないところか。シャロン姐さんはオッパイ丸出しするぐらいの熱演なのに、ラッセル・クロウとの絡みが全然エロくない。
エロくないシャロン姐さんなんて、セックスしないエマニュエル夫人みたいなもんです。
- 原題/The Quick And Dead
製作年/1995年
製作国/アメリカ
上映時間/107分
- 監督/サム・ライミ
- 製作/ジョシュア・ドネン、アレン・シャピロ、パトリック・マーキー
- 製作総指揮/トビー・ジャフェ、ロバート・タパート
- 脚本/サイモン・ムーア
- 音楽/アラン・シルヴェストリ
- 美術/パトリシア・フォン・ブランデンスタイン
- 衣装/ジュディアナ・マコフスキー
- 撮影/ダンテ・スピノッティ
- シャロン・ストーン
- ジーン・ハックマン
- ラッセル・クロウ
- レオナルド・ディカプリオ
- ロバーツ・ブロッサム
- キース・デヴィッド
- ケヴィン・コンウェイ
- ランス・ヘンリクセン
- ブルース・キャンベルン
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