ルックが前時代的でチグハグな、『地球の静止する日』残念リメイク
1951年公開のSF映画『The Day the Earth Stood Still』(監督ロバート・ワイズ、主演マイケル・レニイ)のリメイク作品なのだが、何で前回の邦題が「地球“の”静止する日」だったのに、今回は「地球“が”静止する日」にビミョーに変えたんだろうね。
まぎわらしいったらありゃしない。水野美紀と水野真紀、もしくは坂井真紀と酒井美紀ぐらいまぎわらしいと思います。
さてこの映画、クラトゥと名乗る異性人がニューヨークのセントラル・パークに降り立ち、「私は地球を救うために来た。しかし地球を救うためには人類を滅ぼすしかなーい!」とカタストロフを発動させんとする、典型的な警鐘系SF。
ロバート・ワイズ版『地球の静止する日』が、核の恐怖を直裁に謳っていたのに対し、本作では環境破壊への警告に作り替えられているのがイマ風。「人類がどれだけ環境を破壊してきたのか」という根拠がいっさい提示されないのは、いかがなものかと思うが。
個人的に一番気になったのは、“ゴート”なる巨大ロボットの造形センス。『禁断の惑星』(1955年)のロビィ、『宇宙家族ロビンソン』(1965年〜1968年)のフライディと並んで、50年~60年代SF映画を代表するロボットではあるものの、明らかに前時代的でレトロなヒト型デザイン(僕は一瞬ペプシマンかと思いました)は、21世紀の今となっては苦笑せざるを得ない。
ケリー・コンランの『スカイキャプテン ワールド・オブ・トゥモロー』(2004年)は、あえて30年代を意識したレトロフューチャーなテイストでルックを統一していたが、『地球が静止する日』は環境問題という今日的なテーマを扱っているのにも関わらず、ルックが前時代的でチグハグなのだ。
『マトリックス』(1999年)のネオといい、『コンスタンティン』(2005年)のジョン・コンスタンティンといい、キアヌ・リーヴスは非人間的なキャラばかり演じさせられている印象があるんだが、この映画の異性人クラトゥ役でも、表情の起伏のなさを逆利用した芝居に終始。今後役柄が限定されないことを祈る。
ヒロイン役のジェニファー・コネリーはすっかり痩せてしまい、自慢の美巨乳がだいぶ縮んでしまったような気がするんだが大丈夫か?僕はデニス・ホッパー監督の怪作『ホット・スポット』(1990年)の頃が一番好きでした。無駄に脱いでたし。
- 原題/The Day the Earth Stood Still
- 製作年/2008年
- 製作国/アメリカ
- 上映時間/106分
- 監督/スコット・デリクソン
- 製作/ポール・ハリス・ボードマン、グレゴリー・グッドマン、アーウィン・ストッフ
- 脚本/デヴィッド・スカルパ
- 原案/エドマンド・H・ノース
- 撮影/デヴィッド・タッターサル
- 美術/デヴィッド・ブリスビン
- 音楽/タイラー・ベイツ
- 衣装/ティッシュ・モナガン
- 特撮/ケヴィン・ラファティ、ジェフリー・A・オークン、ウィリアム・メサ
- キアヌ・リーブス
- ジェニファー・コネリー
- キャシー・ベイツ
- ジェイデン・スミス
- ジョン・クリーズ
- ジョン・ハム
- カイル・チャンドラー
- ロバート・ネッパー
- ジェームズ・ホン
- ジョン・ロスマン
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