ウォール街/オリバー・ストーン

ウォール街 [Blu-ray]

一貫して、アメリカ政治を舌鋒鋭く批判し続けてきたオリバー・ストーンが、アメリカの象徴とも言うべき「過剰な資本主義」に対して、真正面から斬り込んだ作品。

カリスマ投資家のゲッコー(マイケル・ダグラス)、そんな彼に憧れる若き証券マンのバド・フォックス(チャーリー・シーン)の二人を主軸に、野望と欲望が渦巻くドラマが展開する。

「欲望は正義であり、原動力だ」と断言するマイケル・ダグラスは、まさに市場原理主義を体現する人物。その情婦のダリアン(ダリル・ハンナ)、ライバル投資家のワイルドマン(テレンス・スタンプ)もまた同類。

チャーリー・シーンも拝金主義に陥りそうになるんだが、父親が勤めるブルースター・エアラインをダグラスが売り飛ばそうとすることを知り、突如正義に目覚め、彼に一泡吹かせるべく策略を巡らすのである。

オリバー・ストーンのキャリア中期に位置する『ウォール街』は、熱気溢れる株式売買のシーンでは画面をスプリットにするなど、彼の作風からは意外なくらいに映像センスがグッド。当時のニューウェーヴの代表格、トーキング・ヘッズの音楽が現代人の都市生活を彩るという選曲も悪くない。

よくよく考えてみれば、『ナチュラル・ボーン・キラーズ』、『Uターン』、『エニイ・ギブン・サンデー』といった諸作で、物語構造を破壊しかねないほどビジュアル・ワークに振り切っていた彼だけに、この辺りは面目躍如というところか。

ナチュラル・ボーン・キラーズ ディレクターズカット [Blu-ray]

何でもこの映画の公開直後、オリバー・ストーンの意に反して、ゲッコーに憧れて投資銀行に入社する輩が続出したんだとか。そもそもアメリカが世界最強国家である理由が、徹底した自由資本主義システムであることは明白。

だがこの映画の失敗は、オリバー・ストーンが倫理観とか正義感といった個人主観でしか、「過剰な資本主義」に対する批判を行えなかったことだ。

株式売買、企業買収といったマネーゲームに踊らされる人間たちの愚かさを描いたつもりの『ウォール街』は、結局映画そのものもハリウッドという資本に回収され、単純明快なエンターテインメント作品として消費されるのみだったんである。

DATA
  • 原題/Wall Street
  • 製作年/1987年
  • 製作国/アメリカ
  • 上映時間/128分
STAFF
  • 監督/オリバー・ストーン
  • 製作/エドワード・R・プレスマン
  • 脚本/オリバー・ストーン、スタンリー・ワイザー
  • 撮影/ロバート・リチャードソン
  • 音楽/スチュワート・コープランド
  • 美術/スティーヴン・ヘンドリクソン
  • 衣装/エレン・マイロニック
CAST
  • チャーリー・シーン
  • マイケル・ダグラス
  • マーティン・シーン
  • テレンス・スタンプ
  • ショーン・ヤング
  • ダリル・ハンナ
  • シルヴィア・ミルズ
  • ジェームズ・スペイダー
  • ハル・ホルブルック
  • ジョン・C・マッギンレイ

アーカイブ

メタ情報

最近の投稿

最近のコメント

カテゴリー