【思いっきりネタをばらしているので、未見の方はご注意ください。】
細分化されたカットの切り返しと手持ちカメラによるダイナミックな映像で、ハスミン(蓮實重彦)も意外とお気に入りのトニー・スコット監督作品。
ウォルター・マッソー&ロバート・ショウ主演によるサスペンス映画『サブウェイ・パニック』のリメイクなのだが、これがビックリするぐらいにヒドい出来。わざわざ誕生日に映画館までノコノコ出かけて行った自分を呪い殺したくなりました。
ニューヨークの地下鉄を武装グループが占拠して、身代金を要求するというというのが大筋のプロットなんだが、どー考えても犯人の行動がアホ丸だし。そもそもなぜ地下鉄をハイジャックしたのか、その戦略的アドバンテージが何も感じられず。
包囲した警官隊の砲撃によって仲間はあっさり殺されるし、リーダーのジョン・トラボルタは警察に余計なことをベラベラ喋り倒したせいで、身元をすぐに割られてしまう。
株式操作によって巨万の富を得たジョン・トラボルタが、デンゼル・ワシントンに銃口を向けられると「俺を撃て!」と言い放つなど、外国へ高飛びしたいのか死に急ぎたいのかもさっぱり分からず。
どうも彼の行動には自暴自棄な面があって、綿密な犯罪計画に基づいているとは到底思えないんである。収賄容疑で左遷させられているデンゼル・ワシントンにシンパシーを感じているらしいが、よくまあ1時間あまりでこれだけ強固な友情関係を築けるもんだ(デンゼルはそんなもん感じてないだろうけど)。
パソコンでビデオチャットしていた青年が事件解決のキモとなると思いきや、頭の悪そうなガールフレンドと愛の再確認をするだけでほとんど活躍しないなど、伏線も効果的に機能せず(武装グループもパソコンを見つけてニヤつくだけで、特に何のアクションも起こしていない)。
トニー・スコットのスタイリッシュな映像センスに酔いしれる前に、脚本のアラが気になって仕方がない作品であります。
まあ何よりも驚愕すべきは、ジョン・タトゥーロがビックリするぐらいにフツーのFBI捜査官役を演じていることにあるんだが。
- 原題/The Taking of Pelham 123
- 製作年/2009年
- 製作国/アメリカ
- 上映時間/105分
- 監督/トニー・スコット
- 製作/トッド・ブラック、トニー・スコット、ジェイソン・ブルメンタル、スティーブ・ティッシュ
- 製作総指揮/バリー・ウォルドマン、マイケル・コスティガン、ライアン・カバノー
- 原作/ジョン・ゴーディ
- 脚本/ブライアン・ヘルゲランド
- 撮影/トビアス・シュリッスラー
- 美術/クリス・シーガーズ
- 衣装/レニー・アーリッヒ・カルファス
- 編集/クリス・レベンゾン
- 音楽/ハリー・グレッグソン=ウィリアムズ
- デンゼル・ワシントン
- ジョン・トラボルタ
- ジョン・タトゥーロ
- ルイス・ガスマン
- マイケル・リスポリ
- ラモン・ロドリゲス
- ジェームズ・ガンドルフィーニ
- ジョン・ベンジャミン・ヒッキー
- ゲイリー・バサラバ
- トニー・パタノ
- アンジェヌー・エリス
- ジェイソン・バトラー・ハーナー
最近のコメント