キャメロン・ディアスが無駄にエロい、自分探し系女性ドラマ
“靴は口ほどに物を言う”。
全ての体重を預ける唯一の服飾品である靴は、持ち主のパーソナリティーが如実に表れます。人生とは、自分にぴったり合う靴を探す行為なのかもしれません。
ジェニファー・ウェイナーのベストセラー『イン・ハー・シューズ』(2005年)は、生真面目な姉ローズ、自由奔放な妹マギーの好対照な姉妹が、本当に自分に似合う靴=幸せを求めて模索するハートフル・ドラマ。この映画を観れば、貴女も自分自身がもっと好きになれるかも♪
…なーんて、女性誌の映画評みたいなノリで書き始めてみましたが、我ながら気持ち悪いのでもうヤメます。いやーしかしこの映画のキャメロン・ディアスは、実にイイ。何がイイって、無駄にエロいとこがイイ。
尻軽&軽薄&移り気なビッチ・ガール。水着シーンも満載で抜群のプロポーションをこれでもかと披露、『チャーリーズ・エンジェル』(2000年)以上にグラマラスな肢体をアピールしている(何せ初登場からファック・シーンだ!)。
コケティッシュな魅力を放つキャメロン・ディアスだから、嫌味のないキャラクターとして成立するけど、これフツーの女優だったら単なるサイテー女にしか見えない。
ジェニファー・ロペスあたりが演じていたら、私生活とシンクロしすぎて、作品が崩壊してしまう危険性もアリだ(いや、別に僕は彼女のプライベートを知り尽くしている訳ではないんですが。あくまでイメージです)。
キャメロン・ディアス演じるマギーは、自由奔放なキャラクターながら内面に癒せない傷を抱えていて、そのよるべない疎外感は“難読症”というハンディキャップによって表象される。
寝たきりとなった老教授に、エリザベス・ビショップの詩集を読んで聞かせてあげるシーンは、キャメロンがコンプレックスを克服して、自分自身が「再生」する場面でもある。
詩の実直な感想を述べたあと、教授に「Aプラスだ。頭のいい子だ」と誉められた時の、キャメロン・ディアスの屈託のない笑顔がまたイイ!ベタなシーンであるとは知りつつ、ちょっと感動してしまいました。
実は監督が『L.A.コンフィデンシャル』(1997年)のカーティス・ハンソンと知り、その作風のギャップにかなりアセったが、このテの映画にありがちな「心象風景に流れすぎて観客が置いてきぼりになる」みたいなことは一切ナシ。骨太かつ理知的な演出で、二人の女性の自立を丁寧に掬い上げていく。
『イン・ハー・シューズ』は、「自分探し系女性ドラマ」としての揺るぎない骨格を有した作品だ。そもそもタイトルの「In Her Shoes」というのが、「彼女の立場に身に置いてみる」という意味。
これ以上映画のテーマを端的に表したタイトルはないんではないか。
- 原題/In Her Shoes
- 製作年/2005年
- 製作国/アメリカ
- 上映時間/131分
- 監督/カーティス・ハンソン
- 製作/リサ・エルジー、キャロル・フェネロン、カーティス・ハンソン、リドリー・スコット
- 製作総指揮/トニー・スコット
- 原作/ジェニファー・ウェイナー
- 脚本/スザンナ・グラント
- 撮影/テリー・ステイシー
- 衣裳/ソフィー・デ・ラコフ
- 編集/リサ・ゼノ・チャージン、クレイグ・キットソン
- 音楽/マーク・アイシャム
- キャメロン・ディアス
- トニ・コレット
- シャーリー・マクレーン
- マーク・フォイアスタイン
- ブルック・スミス
- アンソン・マウント
- リチャード・バージ
- キャンディス・アザラ
- ケン・ハワード
- エリック・バルフォー
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