『ゴジラ-1.0』の考察/解説レビューをクイック・ジャパン・ウェブに寄稿しました

【ネタバレ考察】『ゴジラ-1.0』という「貧乏くじ」を山崎貴はどのように“リビルド”したのか」という考察/解説レビューをクイック・ジャパン・ウェブに寄稿しました。

ファンには有名な話だが、東宝には各部署の精鋭が一堂に会してゴジラのさらなる認知と収益拡大を目指す、ゴジラ戦略会議(通称ゴジコン)なるものが存在する。東宝の重要なIPであるゴジラを、今後どのように育て、展開させていくのか。製作委員会方式(複数の会社が出資して損益をリスクヘッジする仕組み)を採用しない東宝の単独出資だからこそ、ゴジラの情報を集約・解析し、時代に対応した戦略を練りに練ってきた。

『ゴジラ FINAL WARS』(2004年)以来12年ぶりに制作された『シン・ゴジラ』(2016年)は、その戦略の中核を成すビッグ・プロジェクトだった。総監督・脚本を庵野秀明、監督・特技監督を樋口真嗣が務めたこの作品は、キャスト329人、スタッフ1000人以上という人員が投入され、2016年の邦画2位となる興行収入82.5億円を記録。批評的・興行的に大成功を収めた。

『シン・ゴジラ』は、決して怪獣映画の王道を行く作品ではない。むしろこれまで東宝が手がけてきたゴジラ・シリーズの中で、一際異彩を放っている。庵野秀明のインタビュー発言によれば、東宝のプロデューサーは彼に「主人公の恋人や家族の問題などの人間ドラマを入れてほしい」という趣旨の依頼をしていたという(※)。不特定大多数のゴジラ・ファンに対して顧客満足度を高めるには、当然のアプローチだろう。しかし、彼はそれを頑として聞かなかった。それどころか、庵野は市井の人々をいっさい登場させず、キャラクターを政府関係者に絞り込んで、会議、会議、また会議という官僚的な手続きのディスカッション・ドラマに仕立て上げてしまう。

ぜひご一読ください!

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