フルメタル・ジャケット

フルメタル・ジャケット [Blu-ray]

ファック!ファック!!ファ~~~~~~ック!!!

という訳で、初っ端からテンション高めでお送りしております。『フルメタル・ジャケット』でございます。最後まできちんとレビューを読みやがれ、このオカマ野郎ども!!このクサレ(自粛)ども!!(自粛)が(自粛)で(自粛)しやがれ!!ファ~~~~~~ック!!!

『プラトーン』『サイゴン』『友よ、風に抱かれて』『ハンバーガー・ヒル』『カジュアリティーズ』『7月4日に生まれて』と、雨後のタケノコのごとく’80年代後半はベトナム戦争映画が乱発された時期だった訳だが、恐らくこの『フルメタル・ジャケット』の不幸は、公開が完全にベトナム・フィーバー期と重なってしまったことにある。

’87年当時において、扱われたテーマは明らかに食傷気味だったのだ。その意味で、ニューヨーク・ニューズデイによる「ベトナムは単なる背景に過ぎない」という映画評は、的確にこの作品の本質を突いている。

この映画、構造的には『時計じかけのオレンジ』の同工異曲。「手の付けられない反社会的不良少年が、ルドビコ式心理療法によって人畜無害な模範的少年に変身する」というプロットを反転させて、「人畜無害な好青年が、海兵隊での徹底的訓練によって殺人マシーンに育て上げられていく」に組み替えただけ。

キューブリックのフィルモグラフィー全般に言えることだが、この『フルメタル・ジャケット』においてもモチーフはやはり“狂気”である。それを前傾化させるフックとして、ベトナムという舞台は選択されたに過ぎない。

この作品においてキューブリックが特に腐心したのは、圧倒的な言葉の力だ。いや、言葉の暴力と呼んだほうが正確か。例えば後年製作されたモダン・ホラー『シャイニング』のジャック・ニコルソンは、まるで鉄が錆びていくがごとく、ゆっくりと狂気に蝕まれていった。その誘因はゴーストという超常現象であるからして、狂気を増幅させる装置として言葉は介在しない。

しかし、『フルメタル・ジャケット』は言葉の洪水だ。海兵隊訓練基地の鬼教官を演じるリー・アーメイの、マシンガンのようにまくしたてる罵詈雑言、悪態の嵐!ヴィンセント・ドノフリオ演じるデブ訓練兵は真正面から集中砲火を浴びてしまい、最終的に神経をやられてしまう。言葉が介在すると、精神を食い荒らす浸食即効性は高まるのだ。

もともとこの作品、戸田奈津子センセイが翻訳を担当されたらしいのだが、劇中を彩るファッキンワードをずいぶん控えめな表現で和訳してしまったために、キューブリックの逆鱗に触れてしまったというのは有名な話。当時ハリウッドに在住していた映画監督の原田眞人が超鬼畜ワードに再翻訳して、ようやく日本での上映が認められたんだとか。

「BORN TO KILL」を「見敵必殺」と訳すセンスなんぞ、戸田センセイには難しかろう。逆に言えばこの映画、それだけ言葉に依存した作品なのだ。ヒマな人は一度、『フルメタル・ジャケット』のセリフを全部上品な言葉に和訳してみるといい。確実に退屈でつまらない映画になるはずである。

戦闘シーンをそれまでの定石だったジャングルではなく、市街地にもってきたのがイカすとか、ステディカムとクレーンによる滑らかなカメラ移動が実にダイナミックだとか、ローリング・ストーンズの『Paint It Black』の使い方が超クールだとか、『フルメタル・ジャケット』に美辞麗句を並べ立てるファクターはいくらでもあるが、やはりこの作品は「言葉」の映画だ。

ファッキンワードが映画全体を規定しているかのような作品だ。なので賞賛の言葉も当然Fワードでならなくてはいけない。

ファック!ファック!!ファ~~~~~~ック!!!

DATA
  • 原題/Full Metal Jacket
  • 製作年/1987年
  • 製作国/アメリカ
  • 上映時間/116分
STAFF
  • 監督/スタンリー・キューブリック
  • 製作/スタンリー・キューブリック
  • 脚本/スタンリー・キューブリック、マイケル・ハー、グスタフ・ハスフォード
  • 製作総指揮/ジャン・ハーラン
  • 原作/グスタフ・ハスフォード
  • 撮影/ダグラス・ミルサム
  • 音楽/アビゲイル・ミード
  • 美術/アントン・ファースト
  • 編集/マーティン・ハンター
  • 録音/エドワード・タイズ
CAST
  • マシュー・モディン
  • アダム・ボールドウィン
  • ヴィンセント・ドノフリオ
  • R・リー・アーメイ
  • ドリアン・ヘアウッド
  • ケビン・メジャー・ハワード
  • アーリス・ハワード
  • エド・オーロス
  • ジョン・テリー
  • キアソン・ジェキニス

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