愛のむきだし/園子温

愛のむきだし [Blu-ray]

つまるところ、“愛”。ゼロ年代の最後に登場した、日本映画の異形なる傑作

変態。変態。変態。変態。変態。変態。変態。変態。変態。変態。変態。変態。変態。変態。変態。変態。変態。変態。変態。変態。変態。変態。変態。変態。変態。変態。変態。変態。変態。変態。変態。変態。変態。変態。変態。変態。変態。変態。変態。変態。変態。変態。変態。変態。変態。変態。変態。変態。変態。変態。変態。変態。変態。変態。

僕も普段から周囲によく「変態」と呼ばれるんだが、『愛のむきだし』の主人公ユウ(西島隆弘)は、その比ではない。おそらく一日に千回くらいは「変態」と呼ばれているんじゃないか。

敬虔なカソリック神父である父親(渡部篤郎)にカマってもらいたい一心から、自ら罪を犯しては懺悔に赴くという倒錯的行動がもはや変態なのだが、パンチラを盗撮するわ、女装するわ、勃起しまくるわで、最終的に「盗撮王子」と崇められる始末。

鬼才・園子温監督が撮り上げた237分の大作『愛のむきだし』(2008年)は、変態バンザイ、変態上等、変態礼賛。エンターテイメントならぬ、ヘンターイメント・ムービーなんである。

そもそもは、長野在住のサブカル好事家T氏が2009年の暮れに東京に来襲し、新宿で映画談義を交わした際、「僕の邦画ベストワンは『愛のむきだし』ッス!これ観ないとマジやばいッス!」と、半径10メートルにツバを撒き散らしながら熱く語っていたので、「それなら」と今回DVDを借りてみた次第。

さすがに4時間を超える映画はキツいなー、とやや消極的スタンスだったんだが、スーパー・ハイテンションなストーリー展開&超濃厚なキャラクターに釘付け状態。確かにコイツは凄まじいフィルムだ!

何がスゴイって、映画のテイストが数十分単位でコロコロ変わる節操のなさ。ユウがあらゆるテクニックを駆使してパンチラを盗撮しまくるシークエンスは、『少林寺三十六房』的香港アクション映画だし、片思い女子が実は妹だったと判明し、一つ屋根の下に暮らすなんて展開は、あだち充風のラブコメ世界観。

ユウたちが砂漠で十字架を背負う幻想的カットなんぞ、完全に若松孝二的素描。もはや何でもアリ状態である。

んで、結局237分を費やして園子温が言いたかったコトとは、結局“愛”なのだ!つまるところ“愛”なのだ!むきだしの“愛”なのだ!変態であることを受け入れ、好きな女の子の前では勃起してしまうことを受け入れたうえで、ユウはヒロインに首を絞められながら、「心の底から愛してるー!」と叫ぶ。

『新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君に』(1997年)で、シンジがアスカの首を絞めるシーンを彷彿とさせる展開に、思わず眩暈。「愛してる」という陳腐化された言葉をヴィヴィッドに響かせるには、237分という助走時間が必要だったのだ。

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『新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君に』(庵野秀明)

役者陣もマーベラス。特に、元Folder5というアイドル崩れ的出自ながらも、フジテレビ女子アナの平井理央にちょっと似ているラブリー・フェイスと、ガール同士のベロチューキスも厭わない女優根性で、壮絶ヒロインのヨーコを演じきった満島ひかりに小生フォーリン・ラヴ。いやー日本映画界に新たなミューズが降臨しましたね。

しかしもっと驚いたのは、ユウやヨーコを新興宗教に引き込むコイケ役の安藤サクラ。爬虫類のような粘着的演技の向こう側に、歪んだ狂気が見え隠れ。さすが奥田瑛二と安藤和津の実娘、そのポテンシャルはタダ者ではない。

『愛のむきだし』は、ゼロ年代の最後に登場した、日本映画の異形なる傑作である。クエンティン・タランティーノが観たら、号泣しながら絶賛するに違いなし。この映画もまた、ジャンク・ムービーとしての構造を有しているのだから。

DATA
  • 製作年/2008年
  • 製作国/日本
  • 上映時間/237分
STAFF
  • 監督/園子温
  • プロデューサー/梅川治男
  • エグゼクティブプロデューサー/横濱豊行、河井信哉
  • 原案/園子温
  • 脚本/園子温
  • 撮影/谷川創平
  • 美術/松塚隆史
  • 編集/伊藤潤一
  • 音楽/原田智英
  • 照明/金子康博
CAST
  • 西島隆弘
  • 満島ひかり
  • 安藤サクラ
  • 渡部篤郎
  • 渡辺真起子
  • 中村麻美
  • 板尾創路
  • 吹越満
  • 尾上寛之
  • 岩松了

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