そんな貴女に『ボディガード』(1992年)はおすすめです。クールでダンディなボディガードを熱演するケビン・コスナーが、命をかけて美しき歌姫ホイットニー・ヒューストンを守るという筋だては、まさにロマンチック・サスペンスの王道と呼んで良ろしかろう。
ただし、これにはケビン・コスナーとホイットニー・ヒューストンに感情移入できることが、必須条件となる。さもなくば、前頭部の剥げ具合が気になってしょうがないボディガードが、エキセントリックで鼻持ちならないショービジネス界のスターをいやいや守るという、しょーもないウンコ話に見えてしまうことだろう。
特にホイットニー・ヒューストン演じるレイチェルの自己中心的なワガママが、乙女心の裏返しではなく、単に嫌な奴に見えてしまうのはかなり問題。たぶん、彼女の地が思いっきり表出してしまっているからであろう、と推察します。
本作のシナリオを担当していのは、『白いドレスの女』(1981年)で監督デビューを果たし、『レイダース/失われたアーク《聖櫃》』(1981年)や、『スター・ウォーズ/帝国の逆襲』(1980年)といったエンターテインメント大作も手がけている、ローレンス・カスダン。
元々はスティーブ・マックイーン&ダイアナ・ロスを想定して執筆されたが、マックイーンが出演を辞退して企画が頓挫。なんやかんやあって、その15年後となる1992年にようやく映画化されることとなった。
ローレンス・カスダンは言わずもがなの巨匠であらせられるが、本作に限っていうと、どーにも真犯人の動機がよく分からなかったり、ストーリー上重要なポイントになる「レイチェルとその姉との関係描写」が中途半端だったり、サスペンス映画としてアラが多すぎ。盟友ケビンの見せ場を描くことに注力しすぎたせいか?
ちなみにこの『ボディガード』、再度ケビン・コスナー主演で続編を企画したのだが、そのヒロイン役としてオファーを受けていたのが、何とダイアナ妃だったらしい。彼女の突然の事故死により、それは叶わぬ夢になってしまった訳だが、ひょっとしたらリアル・プリンセスの銀幕デビューという物凄い展開もあり得たのだ。
やっぱハリウッドは考えることのスケールが違うわ。
- 原題/The Bodyguard
- 製作年/1992年
- 製作国/アメリカ
- 上映時間/135分
- 監督/ミック・ジャクソン
- 製作/ローレンス・カスダン、ジム・ウィルソン、ケヴィン・コスナー
- 脚本/ローレンス・カスダン
- 音楽/アラン・シルヴェストリ
- 美術/ジェフリー・ビークロフト
- 編集/リチャード・A・ハリス
- 脚本/ロバート・アーブレック
- 撮影/アンドリュー・ダン
- ケヴィン・コスナー
- ホイットニー・ヒューストン
- ゲイリー・ケンプ
- ビル・コッブス
- ラルフ・ウェイト
- トーマス・アラナ
- ミシェル・レイマー・リチャーズ
- マイク・スター
- クリストファー・バート
- デヴォーン・ニクソン
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