ブレア・ウィッチ・プロジェクト/ダニエル・マイリック、エドゥアルド・サンチェス

ブレア・ウィッチ・プロジェクト デラックス版 [DVD]

全世界興行収入2億4050万ドルを記録し、POV手法を一般化させたインディーズ・ホラー

超低予算のインディーズ・ムービーでありながら、当時まだ新興のメディアだったインターネットによるプロモーション戦略が功を奏して、メジャー公開の運びになったのが、この『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』(1999年)。

6万ドルという超低予算だったにも関わらず、全米では1億4000万ドル、全世界では何と2億4050万ドルもの興行収入を記録。誰も予想しなかった大ヒット映画となった。

ストーリーは単純そのもの。「メリーランド州に伝わるブレア・ウィッチ伝説」を追い求めて(もちろんこの伝説は映画のための創作)、映画学校の学生三人(ヘザー、ジョシュ、マイク)が魔女が棲むという森へ出かける。

学生たちが撮影しているカメラの映像が、そのまま我々の見る主観になっている、というアイディア(POV映像)がミソとなっている訳だが、そのアイディア自体はそれほど目新しいものではない。

最近でも井坂聡監督の『FOCUS』という映画がそうだった訳だが、『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』の成功はホラーというジャンルでこの手法を使った点にある。

最後まで学生たちの主観で構成される映像は、それ故に決定的なショック描写を意識的に排除している。真の恐怖は我々観客のイマジネーションにゆだねられる訳で、何がコワイって実はこれが一番コワイのである。

しかしこの映画の最大の弱点は、「なぜカメラは廻り続けるのか」という根本的な問題を解決できていないことにある。

製作者もその点は熟知していたようで、病的なほどに撮影にこだわるヘザーに対して、ジョシュやマイクが異論を唱えるシーンが劇中にも登場するが、さすがに中盤を過ぎるころからは撮影し続けるモチベーションが全く意味不明。このような手法を使った映画である限り、この問題がクリアしないようでは話にならないと思うのだが。

これは映画作品として論じるよりも、ひとつのムーヴメントとして捉えるべきだろう。そういう意味でも後年製作されたパート2は明らかに時代遅れだった。

DATA
  • 原題/The Blair Witch Project
  • 製作年/1999年
  • 製作国/アメリカ
  • 上映時間/81分
STAFF
  • 監督/ダニエル・マイリック、エドゥアルド・サンチェス
  • 脚本/ダニエル・マイリック、エドゥアルド・サンチェス
  • 製作/グレッグ・ヘイル、ロビン・カウイ
  • 製作総指揮/ボブ・アイック、ケビン・J・フォックス
  • 撮影/ニール・フレデリクス
  • 音楽/トニー・コーラ
  • 美術/ベン・ロック
CAST
  • ヘザー・ドナヒュー
  • マイケル・ウィリアムズ
  • ジョシュア・レナード
  • ボブ・グリフィン
  • ジム・キング
  • サンドラ・サンチェス
  • エド・スワンソン

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