【思いっきりネタをばらしているので、未見の方はご注意ください。】
まずは、僕と吉高由里子との出会いから語らせていただきましょう。
まずは、『蛇とピアス』。全裸もいとわない体当たり演技が話題となったが、当時は僕も「根性のありそうな女優が出てきたなー」というくらいの認識であった。
その後映画『カイジ 人生逆転ゲーム』、テレビドラマ『東京DOGS』と順調にキャリアを重ねてきたんだが、僕がノックアウトされたのがハイボールのCM。
「ハイボ~~ル!」「たーのしー!」と満面の笑顔&ヘン顔を披露、「何という天真爛漫ぶり!」と僕のハートは完全に持っていかれてしまったんである。
日本テレビ系列のトーク・バラエティー『しゃべくり007』に彼女が出演した時は、ネプチューン、くりいむしちゅー、チュートリアルの面々とお約束の「恋人ごっこ」を披露したのだが、これがまた天下無双の可愛らしさ。
徳井義実と一緒に、「む~~~!」と謎の奇声をあげながらラブラブぶりを発揮して、「ヤバい!ゆりたん可愛い!ゆりたん可愛い!」と完全に僕のハートを射抜いたんである。
って訳で、『婚前特急』。五股をかけている池下チエこと吉高由里子が、親友の結婚をきっかけに5人の彼氏を「査定」して、評価の低い順に関係を清算しようとする、なかなか感情移入しにくい、というよりも、相当に酷い役柄を演じている。
しかしながら彼女の天性の無邪気さと一撃必殺のスマイルで、さほど「嫌な奴」感が感じられないばかりか、むしろチャーミングなキャラクターとして躍動しているのが凄い(吉高原理主義者として、多分に小生の偏見もありましょうが)。
しかし、「5人の彼氏を査定する」というのがメインプロットでありながら、学生の野村健二(吉村卓也)、美容室オーナーで既婚者の三宅正良(榎木孝明)、多趣味な出口道雄(青木崇高)はほとんど物語に関与せず。
観ている側は最初から「ははあ、このヒトたちと結ばれる話ではないのね」というのが初期段階で判明。バツイチの西尾みのる(加瀬亮)なんぞ、彼女の恋の引き立て役でしかない。
逆に、パン屋工場で働く田無タクミ(浜野謙太)が、小太り体型でルックスは冴えず、金はないわ盗癖はあるわでいいとこなしキャラでありながら、吉高から別れを告げられると「俺たちそもそもつきあってねーじゃん」と地雷発言。
カラダの関係だけは続けようとするくせに、想いを寄せるパン工場社長の娘との仲はとりもってほしいと哀願するわで、吉高の怒り(&嫉妬)を買うことから、「ははあ、結局この査定結果最低点のカレと結ばれる話なのね」というのが、これまた初期段階で判明してしまう。
この田無も冷静に考えると相当に嫌な奴、というよりも人間失格キャラだと思うんだが、そこはSAKEROCKのハマケンこと浜野謙太が演じているだけあって、どこか憎めないチャーミングな役柄に膨らましている。結局この映画、役者のプレゼンスに相当救われている映画ともいえる。
とはいえ、映画的にイケてる瞬間も少なくなく、時折ハッとするような映像がインサートされていて、思わずドキッとしてしまう。
例えば終盤で、府中に住んでいるハマケンの家に吉高由里子が向かうシーンがあるのだが、フツーなら数秒で済んでしまうであろうこの場面に、長廻しを多用して前田弘二監督はじっくり時間をかけている。
強風が吹き荒れるなか、徒労感に満ちた、しかしながら何かしらの確信を抱いた吉高の表情が実に良くて、クライマックスの強風状態(ハマケンとの取っ組み合い)への伏線としてもグー。
で、結論としては、やっぱり吉高由里子カワイイ!ハマケン、チャーミング!ってことに尽きる映画でありまして、僕は楽しく鑑賞できましたです。
- 製作年/2011年
- 製作国/日本
- 上映時間/107分
- 監督/前田弘二
- プロデューサー/根岸洋之、定井勇二、日下部雅謹
- 脚本/高田亮、前田弘二
- 撮影/伊藤寛
- 美術/谷内邦恵
- 衣裳/馬場恭子
- 編集/佐藤崇
- 音楽/きだしゅんすけ
- 照明/金子康博
- 録音/高田伸也、山本タカアキ
- 吉高由里子
- 浜野謙太
- 杏
- 石橋杏奈
- 青木崇高
- 吉村卓也
- 吉岡睦雄
- 宇野祥平
- 白川和子
- 榎木孝明
- 加瀬亮
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