ローズマリーの赤ちゃん/ロマン・ポランスキー

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じっくりと生理的恐怖を呼び起こす、神経質症ホラーの金字塔

『反撥』のカトリーヌ・ドヌーヴ、『テス』のナスターシャ・キンスキーがそうであったように、ロマン・ポランスキーは、狂気を内に秘めた神経質症な女性を描写するのが、十八番。となれば、そういう役柄では真打ち的存在のミア・ファローをこの作品に抜擢したのは、いわば必然というものである。

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一応ホラーにカテゴライズされる映画ではあるものの、ポランスキーは直感的なショック演出には頼らない。ヒッチコックのようなサスペンス描写に徹する訳でもない。主人公の心理を丁寧になぞりながら、じっくりと生理的恐怖を呼び起こすという、ある意味では一番イヤ〜なタイプの映画作家である。

ネバネバとした粘膜質なタッチに、観客は頭を掻きむしりたい衝動に駆られることだろう。これぞ、ポランスキーの思うツボ。たぶんこのオヤジは、女性を口説く時にもネチネチとしつこく迫るタイプに違いない。

そういうのって女性から嫌われるタイプだと思うんだが、その割にはいろんな女優との浮名を流していたりする。背も低いし、こんな貧相なルックスのオッサンがなぜモテるのか。世界七不思議のひとつである。…何だか話が脱線してしまったが、要はポランスキーはサイコロジカル・ドラマとしてこの作品を描いている、ということを言いたいのだ。

「悪魔の子を宿してしまう」というストーリーながら悪魔は一度も映像に出てこない。ポランスキーの狙いはいかに観客をミア・ファローに感情移入させられるか、彼女にふりかかる事件をリアルに体感させられることができるのか、という一点にある。

誰も信じられなくなったミア・ファローの心理状態に我々観客もシンクロして、次第に他の登場人物が全員悪魔信者にみえてしまうのは巧い。

そして衝撃のラスト。「母性」という得体の知れない装置は、結局あらゆる倫理を突き破ってしまう。この映画の真の恐怖はそこにある。

…ちなみにこの作品の舞台となっているマンションは、ジョン・レノンが暗殺された場所でもある、かの有名なダコタ・ハウスです。

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DATA
  • 原題/Rosemary’s Baby
    製作年/1968年
    製作国/アメリカ
    上映時間/137分
STAFF
  • 監督/ロマン・ポランスキー
  • 脚本/ロマン・ポランスキー
  • 製作/ウイリアム・キャッスル
  • 原作/アイラ・レヴィン
  • 撮影/ウィリアム・A・フレイカー
  • 音楽/クシシュトフ・コメダ
CAST
  • ミア・ファロー
  • ジョン・カサヴェテス
  • ルース・ゴードン
  • シドニー・ブラックマー
  • モーリス・エヴァンス
  • ラルフ・ベラミー
  • エリシャ・クック・Jr
  • パッツィ・ケリー
  • チャールズ・グローディン

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