ロジェ・ヴァディムが新妻のジェーン・フォンダを主演に迎えて描く、典型的な不倫モノ
『獲物の分け前』(1966年)というタイトルからして、アラン・ドロンやジャン・ポール・ベルモンドが出てきそうな、男臭いハードボイルド映画を想像してしまうが、全然違います。
フランス自然主義文学の代表的作家、エミール・ゾラの中篇小説『はらわた』を原作にした、典型的な不倫モノである(何でこんな邦題にしたんだろう)。
20歳も年上のヤリ手実業家アレクサンドル(ミシェル・ピッコリ)と結婚した若く美しいルネ(ジェーン・フォンダ)は、夫の先妻の息子マクシム(ピーター・マッケナリー)とやがて禁断の恋に堕ち、狂ったようにセックスをしまくる。
夫と別れてマクシムと一緒になる決心をするも、愛する彼はブルジョワジーの娘さんと結婚してしまうという、まあなかなか救いようのない映画である。
当時ジェーン・フォンダと新婚ホヤホヤだったロジェ・ヴァディムは、若く美しい妻の肢体を存分にスクリーンに映し出し、セックス・シーンになると温室の水面がゆらめかせたりして、エロティシズムの創出に余念がなし。
マクシムは中国人に中国語を習い、部屋の内装もチャイニーズ・テイストで統一するという美意識の持ち主という設定なので、情事のたびに音楽が妙にエスニック風味になったりするのが、不思議な倦怠感を生み出している。
そういえば、ジェーン・フォンダが顔面パックしている状態で、中国の伝統演劇である京劇の格好をしたマクシムが襲いかかるというシーンがあるんだが、これって「お互いマスクをしている=表面上のだけの関係」という暗喩だったのか。
だとすれば、軽い情事のつもりが本気になってしまったジェーン・フォンダの行く末が悲劇だったのは、さもありなん、ということなのかもしれない。
- 原題/La Curee
- 製作年/1966年
- 製作国/フランス
- 上映時間/98分
- 監督/ロジェ・ヴァディム
- 脚本/ロジェ・ヴァディム、ジャン・コー
- 製作/ロジェ・ヴァディム
- 音楽/ジャン・ブシェティー、ジャン・ピエール・ブルテール
- 撮影/クロード・ルノワール
- 編集/ヴィクトリア・メルカントン
- ジェーン・フォンダ
- ミシェル・ピッコリ
- ピーター・マッケナリー
- ティナ・マルカン
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