ジュリア・ロバーツを主演に迎えて撮った、現代版『ローマの休日』
ハ~イ、皆さん、お元気?あたし、ジュリア・ロバーツよ。
『エリン・ブロコビッチ』(2000年)で念願のアカデミー主演女優賞も獲ったし、名実共に大女優ってカンジよね。ギャラはガッポガッポ入るし、演技派女優の肩書きも手に入れたし、向かうところ敵無しよ!胸パット入れて熱演した甲斐があったわ。
『ザ・メキシカン』(2001年)なんてクソ映画に出ちゃったのは、ジュリア一世一代の不覚だったけど、これからはもっと脚本を吟味して、大女優ぶりをニコール・キッドマンやジョディ・フォスターにみせつけてやるわ。今回は竹島ルイさんが忙しいってことなんで、代わりにあたしがこの映画についてお話するわね。
このストーリーって、要は『ローマの休日』(1953年)のパクリ…じゃなかった、インスパイアされているんだけど、あたしがハリウッドの大女優で、ヒュー・グラントが田舎のしがない本屋さんって設定なのよね。え、あたしの役柄がそのままですって?そうなのよ、まあ当然といえば当然なんだけど。
それであたしが偶然彼の本屋に訪れて、恋に落ちちゃうのよね。なんだかとってつけたような展開だし、あたし大女優なのにSPもなしであんな潰れそうな本屋に一人でノコノコ出かけていくし、冷静に考えると色々問題はあるんだけど、そこは無視してね。
中盤以降あたしがやたらエキセントリックな行動をひきおこすので、気弱なヒュー・グラントが引っ掻き回されちゃうんだけど、まああたし大女優だから仕方ないわよね。身分違いも甚だしいのに、あのボンクラ男はそーゆーところ気が付いてないのよ。
一貫して、あたし何考えているんだか分からないような描き方されてるんだけど、ハリウッド女優ってこんなもんよね。ヒュー・グラントのこと好きって言ってるのに、別のボーイフレンドとホテルでいちゃついちゃうし。
でも、この映画って格調高いものを感じさせるのよ。イギリスを舞台にしているからかもしれないけど、品のいいユーモアがあるのよね。むこうの役者さんもいい味だしてるわよ。
何ていうのかしら、独特の間があるのよね。アメリカ人みたいなストレートなズッコケ芝居じゃなくって、少しズラした空気っていうのかしら。それは演出にも言えるんじゃないかしら。
例えば、アタシ最後の方で、ヒュー・グラントにもう一度付き合ってもらおうと、彼の本屋に再び立ち寄るじゃない。
途中電話がかかってきて、彼がいない間におバカっぽい従業員が、あたしの相手をしててさ、「あなたの主演した『ゴースト』は最高でした」なんてのたまうのよ。『ゴースト/ニューヨークの幻』(1990年)に出てんのはデミ・ムーアだっつーの。ムキー!!失礼しちゃうわ!
でもね、告白の場面の最高に盛り上がるところで、意図的に空気をズラす演出をしているのよね。テンションをバカみたいにあげっぱなしにするんじゃなくて、ちゃんと映画のリズムを計っているのよ。そのあたりの計算がしたたかなロジャー・ミッチェルって監督さん、センス悪くないわね。
エルビス・コステロが歌い上げる『She』もと~ってもグー。まさにアタシにピッタリって感じね。ジュリア、この映画とってもロマンティックな映画に仕上がっていると思うわ。みんなも是非チェックしてみてね!
- 原題/Nottinghill
- 製作年/1999年
- 製作国/アメリカ
- 上映時間/123分
- 監督/ロジャー・ミッチェル
- 製作/ダンカン・ケンウォーシー
- 脚本/リチャード・カーティス
- 撮影/マイケル・コールター
- 音楽/トレヴァー・ジョーンズ
- 美術/スチュアート・クレイグ
- 編集/ニック・ムーア
- ジュリア・ロバーツ
- ヒュー・グラント
- リス・エヴァンス
- ジーナ・マッキー
- ティム・マキナリー
- エマ・チャンバーズ
- ヒュー・ボネヴィル
- ジェームズ・ドレイファス
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