ニュールンベルグ裁判/スタンリー・クレイマー

ニュールンベルグ裁判 [DVD]

多重視点からあぶりだされる第二次世界大戦の悲劇

『ニュールンベルグ裁判』に関する1ダース

  1. ニュールンベルグ裁判は、東京裁判と並ぶ二大国際軍事裁判の一つであり、史上初めての戦争犯罪に対する裁判である。連合国のアメリカ、イギリス、ソ連、フランスから2名ずつ判事が選任され、敗戦国ドイツを裁いた。
  2. リヒャルト・ワーグナーの楽劇『マイスタージンガー』の舞台としても知られる都市ニュールンベルグは、130万人以上の観衆の前でヒットラーが演説を行うなど、ナチスが台頭した時代に党大会が開かれた場所でもあった。連合国がドイツを裁く場としてこの都市を選んだのは、当然の帰結だったんである。
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  3. 裁判は1945年11月20日から1946年10月1日にかけて執り行われ、以下のような判決がくだされた。
    死刑…マルティン・ボルマン、ハンス・フランク、ヴィルヘルム・フリック、ヘルマン・ゲーリング、アルフレート・ヨードル、エルンスト・カルテンブルンナー、ヴィルヘルム・カイテル、ヨアヒム・フォン・リッベントロップ、アルフレート・ローゼンベルク、フリッツ・ザウケル、アルトゥル・ザイス=インクヴァルト、ユリウス・シュトライヒャー
    終身刑…ヴァルター・フンク、ルドルフ・ヘス、エーリヒ・レーダー
    禁固刑…カール・デーニッツ(10年)、コンスタンティン・フォン・ノイラート(15年)、バルドゥール・フォン・シーラッハ(20年)、アルベルト・シュペーア(20年)
    無罪…ハンス・フリッチェ、フランツ・フォン・パーペン、ヒャルマール・シャハト
  4. 映画『ニュールンベルグ裁判』は実際の裁判をベースにしながら、司法関係者を全て架空の名前に設定するなど、フィクション的要素も取り入れたドラマである。
  5. 本作はアカデミー賞9部門にノミネートされ、作品賞は逃したものの、ドイツ側の弁護人を演じたマクシミリアン・シェルが主演男優賞、アビー・マンが脚色賞を受賞した(ちなみに作品賞に輝いたのは『ウエスト・サイド物語』)。
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  6. 裁判長ダン・ヘイウッド役のスペンサー・トレイシーをはじめ、リチャード・ウィドマーク、バート・ランカスター、マレーネ・デートリッヒ、ジュディ・ガーランド、モンゴメリー・クリフトという超豪華キャストが多数出演。『スター・トレック』のカーク艦長ことウィリアム・シャトナーもこっそり出てます。
  7. ルドルフ・ピーターセンを演じたモンゴメリー・クリフトは、役に惚れ込んでノー・ギャラで出演したというエピソードもあるぐらいの大熱演。交通事故で顔面を負傷し、整形手術を受けたというそのルックスは、もはや往年のハンサム・ガイの面影はなし。だが逆に、脂肪がついてオッサン化したその容貌には、断種手術を受けたという悲運の男の狂気がたたえられている。
  8. あまりアクションのない法廷劇ではあるが、監督のスタンリー・クレイマーはここぞという時に急激なズームアップを使い、観客を俳優の内面に引き込もうとする努力をしている。だがちょっと多用しすぎているので、その効果が後半は機能していないような気も。
  9. ナチス高官夫人役をマレーネ・ディートリッヒが演じているが、実際にヒットラーはこの大女優がお気に入りだったらしく、何度もドイツに戻るように要請したんだとか。しかし、本当はナチス大嫌いのディートリッヒはそれを断ってアメリカの市民権を取得。ヒットラーの逆鱗に触れてしまい、ドイツ国内では彼女が出演した映画は上映禁止になってしまった。
  10. ヘイウッド裁判長は、判決を読み上げる前にこう語る。「この法廷が必要だと思うのは、正義、真実、そして人間の命の重さです」。だがその正義の意味は絶対の強度をもって映画内で説かれることはない。186分という長い上映時間のあいだ、我々観客は常に“正義”という不確かなものの意味を問い続けることになる。
  11. 原作者でもあるアビー・マンによるシナリオは、裁判長側、検事側、弁護士側と、視点を随時入れ替えながら、徹底的に戦争責任という問題を相対化させようとする。多重視点からあぶりだされる真実を描く、それが「ニュールンベルグ裁判」の最大の狙いである。
  12. マレーネ・ディートリッヒが、「ドイツ語はとても美しい。ドイツ語の歌詞はもっと悲しい歌なの」と語って『リリー・マルレーン』を口ずさむシーンが印象的。「美しくて悲しい」、それもまたこの映画の本質を貫いているような気がする。
DATA
  • 原題/Judgment at Nuremberg
  • 製作年/1961年
  • 製作国/アメリカ
  • 上映時間/186分
STAFF
  • 監督/スタンリー・クレイマー
  • 製作/スタンリー・クレイマー
  • 原作/アビー・マン
  • 脚本/アビー・マン
  • 撮影/アーネスト・ラズロ
  • 音楽/アーネスト・ゴールド
CAST
  • スペンサー・トレイシー
  • バート・ランカスター
  • リチャード・ウィドマーク
  • モンゴメリー・クリフト
  • マクシミリアン・シェル
  • マレーネ・ディートリッヒ
  • ジュディ・ガーランド
  • ウィリアム・シャトナー
  • ケネス・マッケンナ
  • エド・ビンズ
  • アラン・バクスター
  • マーティン・ブラント

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