『暗くなるまで待って』って、何だかタイトルがエロいですよね。『暗くなるまで待って』ですよ、アナタ。「恥ずかしいから、暗くしてよ、もう…」みたいな感じじゃないですか。
僕だったら、そう言われたらおとなしくスタンドの明かりを消しますね。んで、いい感じになってからまた明るくしますね。「もう…暗くしてって言ったじゃない…」と相手が不満を訴えても、「俺、お前の顔をちゃんと見てたいんだよ」とか言っとけば。「もう…バカ…」みたいな展開になって、万事オーケーです。
何言ってんだ俺。
ブロードウェイの人気舞台劇を映画化した『暗くなるまで待って』は、別にそんな変態ドラマではなく、アラフォーを迎えてなお美しいオードリー・ヘップバーンが、慎ましくも聡明な盲目の主婦を熱演するサスペンス・ドラマである。
監督にテレンス・ヤング、音楽にヘンリー・マンシーニなど実力派スタッフを迎え、世間的には評価の高い映画なのだが、どーも個人的には演出にメリハリが感じられず、キャリントン夫妻による脚色にもあまり感心できない。
とりあえず思いついた不満を下記にザーっと書き記してみます。未見の方はご注意を。
- グロリアが逆ギレしてキッチン用品を片っ端から放り投げ、その後和解して散らばった用品を容器にひとつひとつ片付けるシーン。そのなかに鋭利な包丁があるので、てっきり後半になってこれが武器として機能するかと思いきや、ヘップバーン嬢が悪漢を刺すシーンでは、それとはまた別のキッチンにある包丁を使っているので、伏線として機能していない。
- 人形にオルゴール機能が内蔵されているという設定が、グロリアが盗んだという事実が露見するだけで、サスペンスに全く付与しない。
- 悪漢にフィルムの定着液を浴びせるシーンがあるのだが、定着液が人体にどのような影響を及ぼすのかという説明シーンが一切ないので、かなり唐突に見えてしまう。
- 夫のサムが帰るまでに冷蔵庫の霜とりをしなければならない、という設定がその後サスペンスとして機能するかと思いきや、全く何も機能しない。
- カメラ・ポジションに変化がなく、特に寝室側でドラマが進行しないので、カットの構図も限定されてしまっている。
- ロートを演じるアラン・アーキンがやたら胡散臭すぎる芝居をしているのだが、そのロートが別人に化けるシーンのほうがマトモでナチュラルな演技をしているので、何だか訳が分からない。
- グロリアが可愛くない。
以上です、編集長!
- 原題/Wait Until Dark
- 製作年/1967年
- 製作国/アメリカ
- 上映時間/107分
- 監督/テレンス・ヤング
- 製作/メル・フェラー
- 原案/フレデリック・ノット
- 脚本/ロバート・キャリントン、ジェーン・ハワード・キャリントン
- 撮影/チャールズ・ラング
- 編集/ジーン・ミルフォード
- 音楽/ヘンリー・マンシーニ
- オードリー・ヘップバーン
- エフレム・ジンバリスト・ジュニア
- アラン・アーキン
- サマンサ・ジョーンズ
- リチャード・クレンナ
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