CRANBERRIESやZONBIESをも彷佛とさせる、大阪発ブリティッシュ・ロック
お父さん、知ってますか。矢井田瞳ですよ。ダリンダリ~ン、って歌ってるあのコですよ。
ブリティッシュ(いや、アイリッシュ?)・ロックっぽい空間的な広がりを感じさせる音楽性は、日本人アーティストとしては希有。
「大阪」というホームタウンでの活動をメインにすえる地域密着型ミュージシャンでありながら、MEIJAとのコラボレーションやUK向けベストアルバムの発売など、その音楽活動はワールドワイドな展開をみせている。
彼女の最大の武器は、圧倒的なヴォーカリゼーション。CRANBERRIESやZONBIESをも彷佛とさせる、独特のファルセット。くぐもったような歌唱スタイル(誰とは言わないけど)が全盛の時代にあって、つきぬけるような彼女の歌声は実に新鮮だった。
ブリティッシュ・トラッドやブラジリアン・ミュージックなど、ワールド・ミュージックのような彼女の楽曲を完璧に歌いこなせるのは、彼女自身しかいない。だから、カラオケに群がるにわかヤイコ共よ!!ヘンに真似して彼女の歌を歌うのは止めたまえ。聞かされるこっち側はえらい迷惑だ。
彼女が綴るリリックは、実に個人的で内省的(曲自体の持つ空間的な広がりとは好対照である)。極め付けは『I LIKE』というナンバーだ。
I like dark sky and dry ground
I like park in the night
I like black coffee in the morning
ママの作ったシチューが好き
I like France especially Paris
I like going shopping by motorbike
I like eating even if I’m fu
パパの作ったラーメンが好き
(I LIKE)
いわく「母さんのつくったシチューが好き、お父さんのつくったラーメンが好き」。彼女のフェイバリットを羅列しただけの歌詞でありながら、単なるプライベートソングの範疇には納まらない。
自分の立つ足場をしっかりと踏みしめながら、ポジティヴなメッセージを発信し続ける。ややマイナー調のアップテンポナンバーを、ここまで爽やかにアッケラカンと表現できるのは彼女以外にいないのではいか。等身大の歌詞ながら、その世界観は大平洋をも飛び越えるのだ。
現役女子大生としてデビューして早2年。デビュー当初は「椎名林檎のソックリさん」なんて言われたけど、凡庸ではないその才能は確実に世間に浸透した。現代最強のポップクイーン、「ヤイコ」はこれから何処へ行くのか。
僕的にはカワイイから応援しちゃうぞ。
- アーティスト/矢井田瞳
- 発売年/2000年
- レーベル/東芝EMI
- How?(U.K.ミックス)
- Everything Is In Our Mind
- B’coz I Love You
- Your Kiss
- My Sweet Darlin’
- Girl’s Talk
- もしものうた
- ねえ
- 大阪ジェンヌ(インストゥルメンタル)
- I like(U.K.ミックス)
- Nothing
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