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floating pupa

高橋幸宏と仲間たちの風通しの良さ。自由な空気を思い切り吸い込んだ、キュートなポップ・ソングス

かつてサディスティック・ミカ・バンドやYMOなど、ポップ・シーンにその名前を刻むスーパー・バンドに在籍したことのある高橋幸宏だが、考えてみると彼がイニシアチブをとってバンドを牽引したという歴史はない。

黒船

ミカ・バンドは加藤和彦が音楽の主導権を握っていたし、YMOは細野晴臣がプロデューサーの役割を担っていた。高橋幸宏の呼びかけによって、高野寛、権藤知彦、堀江博久、高田蓮、原田知世というメンバーが集結したpupaもまた、幸宏主導による新バンドに非ず。

それぞれが楽曲やアイディアを提供するというフラットな関係性で繋がっている。この風通しの良さが、自由な空気を思い切り吸い込んだキュートなポップ・ソングを創りだす原動力になっている。

もともと高橋幸宏の紡ぐ音楽は洗練されているんだけど、神経症的というか、スマートなんだけどオプティミズティックな高揚感に欠けるというか、生来の完璧主義が邪魔をして、僕の耳にはやや硬派すぎる印象があった。

何せ彼は、高校在学中からスタジオミュージシャンとして活動していたのだから、必要以上にサウンド・オリエンテッドになるのは当たり前。

音楽に対する敬虔な態度という意味では、細野晴臣や坂本龍一以上かもしれない(細野はもともと漫画家を志していたし、坂本にいたっては、音楽活動はどこかアルバイト感覚だったと発言している)。

しかしpupaでは、権藤知彦によるユーフォニウム、高田蓮によるペダル・スティール、そして“アンチ・エイジングの権化”原田知世による無垢なヴォーカリゼーションと邂逅することによって、神経症的サウンドは温かみのある有機的サウンドに刷新され、深い緑と紺碧の空に覆われた、暖色系の風景を呼び覚ましていく。つまり、とってもハート・ウォーミングなのだ。

出囃子的なM-1『Jargon ~What’s pupa~』からして、コーネリアスのSENSUOUS SYNCHRONIZED SHOWにも通じる、スタイリッシュかつテンション↑なオープニング。

M-3『Creaks』ではエレクトリック・バグパイプが高らかに鳴り響き、M-8『How?』は、いかにも高野寛らしいアコースティックなサウンドが奏でられる。

バラエティー豊かなアイディアを次々と繰り出しつつも、『floating pupa』(2008年)は全体として非情に慎ましやかで、しなやかさを感じさせるアルバムに仕上がっている。

DATA
  • アーティスト/pupa
  • 発売年/2008年
  • レーベル/EMIミュージック・ジャパン
PLAY LIST
  1. Jargon~What’s pupa~
  2. At Dawn
  3. Creaks
  4. Anywhere
  5. Tameiki
  6. Unfixed Stars
  7. Glass
  8. How?
  9. Laika
  10. floating pupa
  11. marimo
  12. Sunny Day Blue
  13. New Order
  14. Home Of My Heart
  15. Cicada

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