広島出身の少女たちによって繰り広げられる、トキメキとキラメキに満ちたテクノ・ポップ
大本彩乃(のっち)、樫野有香(かしゆか)、西脇綾香(あ~ちゃん)の3人から成るテクノポップ・アイドルユニット、Perfume。
アクターズスクール広島出身の彼女たちは、広島限定のローカルアイドルとして活動しており、楽曲製作を元「爆風スランプ」のパッパラー河合が務めていた。
当時のPVを見返してみると、正直言ってルックス、楽曲、ダンスともにいなたい印象はぬぐえない。しかしアミューズに事務所を移籍するやいなや、彼女たちの快進撃が突如始まるのである。
思い返してみれば、僕とPerfumeとの出会いは2006年の11月、武蔵野美術大学の文化祭においてであった。
この学び舎で3年間学んだ僕は(二浪したうえに三年目で中退したのであります)、久々に母校に足を踏み入れた訳であるが、まず目についたのが「ムサビに足りないものはアイドルだ!」との張り紙。
思えば、他の大学が人気お笑いタレントやロック・バンドを呼んで、楽しげなイベントを数多く催していたにもかかわらず、武蔵美といえば中沢新一のトークショーや明和電機のミニ・ライヴなど、地味すぎるラインナップ。
そんな苦節を経て最終的に「アイドルを呼ぶ」という結論に達した実行委員会の面々に対し、まずはその英断を讃えたいと思う。さらに、あまたのアイドルのなかからPerfumeをセレクトしたことも絶賛に値する。
今じゃRhymesterの宇多丸や掟ポルシェ(ロマンポルシェ)、木村カエラ嬢すらもファンであることを公言し、NHKのエコキャンペーンのCMにも起用されている彼女たちだが、この時点ではアキバ系の一部&マニアックなクラブ系。
しかし、トキメキとキラメキに満ちたテクノ・ポップを熱唱しながらくねくねと踊り回る姿はワールド・ワイドに可愛すぎ。同行したS嬢はそのあまりの可愛さに悶絶、失神寸前であった。デビューアルバムが『Perfume ~Complete Best~』(2007年)というタイトルなのもスゴいが、コンテンツもスゴい。
特にCapseleでクラブ・シーンを牽引する中田ヤスタカがコンポーザーを務める楽曲は、新しいアイドル・ユニットの在り方を明快に提示している。アイドルとは完成された存在ではなく、常に他者の想像によって補完される存在でなくてはならない。
「近未来テクノ3部作」とも言われる『リニアモーターガール』、『コンピューターシティ』、『エレクトロ・ワールド』で歌われるリリックは、あまりにも平板であまりにも前時代的なSF観ではあるが、高いリテラシーを有するリスナーはその隙間を想像力で埋め合わせ、”自分だけの楽曲”として補完する。
Capseleほどエッジのきいたクラブ・ミュージックではなく、ピコピコ感多め、スペーシー感高めにチューニングされたトラックが、その一助を担うのだ。
例えば宇多田ヒカルあたりとはプロモーションに投下できる金額がケタ2つぶんくらい違うんだろうが、チープながらもレトロ・フューチャーなセンスをたたえたPVは多幸感高し。
ちなみに僕はのっちが一番カワイイと思います。
- アーティスト/Perfume
- 発売年/2007年
- レーベル/徳間ジャパンコミュニケーションズ
- パーフェクトスター・パーフェクトスタイル
- リニアモーターガール
- コンピューターシティ
- エレクトロ・ワールドエレクトロ・ワールド
- 引力
- モノクロームエフェクト
- ビタミンドロップ
- スウィートドーナッツ
- ファンデーション
- コンピューター ドライビング
- Perfume
- wonder2
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