近未来ピコピコ・テクノポップから、背伸びをしないナチュラルな音創りへ
2010年11月3日、Perfumeの結成10周年&メジャーデビュー5周年を記念して行われた「Perfume LIVE@東京ドーム『1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11』」、僕は喜び勇んで出かけたものだ。
5万人のオーディエンスの視線を360°浴びるように、中央に建てられたステージにPerfumeの3人が所狭しとダンスを繰り広げる。
結成当時の初々しさはキープしつつ、そのパフォーマンスはさらに洗練&深化の一途を辿っていた。ってな訳で小生、年甲斐もなくダンサンブルなナンバーに激しく腰をうねらせたんであります(疲れた)。
日本屈指のスーパーグループに成長したPerfumeは、前作『トライアングル』発売以降、バラエティー番組の露出はセーブしつつ、ライブを中心に活動。断続的にシングルをリリースしつつ、マカオやロサンゼルスでライヴを行うなど、ワールドワイドに活躍の場を広げていった。
そして満を持して2年4か月ぶりにリリースされたPerfumeの4thアルバムは、ニッポンの音楽力を世界に発信する心意気からか、その名もズバリ『JPN』(2011年)と題された。
キック・スネア・ハイハットが鳴り続けるブリービーなダンス・トラックは健在ながら、『JPN』が発するサウンドは『Perfume ~Complete Best~』(2006年)のような近未来ピコピコ・テクノポップではなく、『GAME』(2008年)、『トライアングル』(2009年)のようなクラブ・ミュージックでもない。
22歳の女の子たちの等身大の日常が描かれた、キュートなポップ・ソングたちである。ハードエッジなテクノ路線から遊離し、背伸びをしないナチュラルな音創りに原点回帰しているのだ。
個人を特定するのが困難なほど加工されていたヴォーカル・エフェクトは軽減され、「アンドロイドっぽい」と揶揄された質感も激変。M-6『時の針』に至っては、完全なナマ声が収録されている。
SPEEDに憧れてショウビズの世界に飛び込んだ三人の少女たちは、中田ヤスタカによって無個性、無機質なヴォーカロイドに改造されたが、雌伏の時を経て再び肉感的、感情的な歌声を取り戻したのだ。
KARAや少女時代といった「容姿」「ダンス」「ヴォーカル」を高次元で兼ね備えたK-POPが日本のヒットチャートを席巻する昨今、J-POPの「質と量」を保証し続けられる存在は、Perfume以外にありえない。
中田ヤスタカは、自らの個性でPerfumeの色を染め上げてしまう手法から、彼女たちの個性を活かしたサウンドにクリエーション・チェンジすることによって、その解答を導きだしたのだ。
- アーティスト/Perfume
- 発売年/2011年
- レーベル/徳間ジャパンコミュニケーションズ
- The Opening
- レーザービーム
- GLITTER (Album-mix)
- ナチュラルに恋して
- MY COLOR
- 時の針
- ねぇ
- 微かなカオリ
- 575
- VOICE
- 心のスポーツ
- Have a Stroll
- 不自然なガール
- スパイス
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