True/中島美嘉

TRUE

微熱系エロスを芳香させる、中島美嘉デビューアルバム

中島美嘉はエロい。

でもそのエロさが、いわゆるデイーヴァ系(SILVAとか小柳ゆきとか)のエロさとは一線を画していて、そこはかとなくエロいのである。つまりは、微熱系エロス。分っかるかなー。分かんないねーだろーなー。

Dio―中島美嘉フォト&エッセイ集
『Dio―中島美嘉フォト&エッセイ集』(中島美嘉)

たとえば、J-WAVEのゲストに中島美嘉が来た時、何と彼女は女子高生ルックにコスプレしてきたのだ。このくったくのない大胆さ。以下J-WAVEの公式サイトからの抜粋で、その時の様子を紹介。

前回のゲストの際ピストンさんの「ライブの衣装に制服とか着たらどうだ!?」って提案を覚えくれていた美嘉ちゃん。「着てきたよ!!」って、チェックのスカート、シャツに、ベスト、さらにはルーズソックス姿で登場。

「このまま家から来ちゃった!!なんかアガる!!」って本人もちょっと嬉しそう。でもって新曲「Love Addict」は、セックス依存症の女の子の「愛」を歌ってるっていうから、これまた意味深。

どーですかお客さん、ナットクできましたか。とってもエロいですねー。ちなみにチェックのスカートはドンキホーテで買ってきたらしいんだが、まあそんな話はどうでもよくて、ポイントは「着てきたよ!!」という、驚く程フツーのテンションなセリフ。

さらには「このまま家から来ちゃった!!なんかアガる!!」なんていう発言は、何かのプレイとしか思えない。

彼女は、受け入れる女の子なのだ。それも打算なく、アッケラカンと受け入れる。彼女の記念すべきデビューアルバム、『TRUE』(2002年)の豪華作家陣を見よ。

冨田恵一、秋元康、吉田美奈子、VERBAL(m-flo)、テイ・トウワ…。一見ゴッタ煮とも思える豪華な作曲・作詩陣のナンバーを、中島美嘉という個性で咀嚼し産出するのではなく、あるがままを受け入れて音に昇華する。

その意味で中島美嘉はいい意味でフラットだし、底知れない歌姫であるとも言えよう。プロデューサーという仮面を冠った脂ギッシュなオヤジどもは、次にどんなコスプレで(どんな楽曲で)彼女を遊ばせるか、ほくそ笑んでいるに違いない。

だから中島美嘉を聴くということは、色虐的に彼女をいたぶることと道義である。ためらう必要はない。彼女はそれを欲しているのだ。

彼女は、援交という性的コミニュケーションがデフォルトとなった島国・ニッポンが産み出した、21世紀型ミューズである。コギャル的無節操さを備え、カラーコンタクトで野性味を帯びた、不敵な面構え。

華奢な肢体から発せられる低温質でダウナーなヴォーカル。時々見え隠れする「少女としての青さ」、非健康体ゆえの「危うさ」が楽曲にドラッギーなパワーを与えている。

DATA
  • アーティスト/中島美嘉
  • 発売年/2002年
  • レーベル/ソニーミュージックエンタテインメント
PLAY LIST
  1. AMAZING GRACE (album version)
  2. WILL (album version)
  3. ONE SURVIVE (album version)
  4. HEAVEN ON EARTH
  5. DESTINY’S LOTUS
  6. Helpless Rain
  7. I
  8. TEARS(粉雪が舞うように・・・)
  9. TRUE EYE
  10. CRESCENT MOON
  11. JUST TRUST IN OUR LOVE (album version)
  12. STARS (album version)
  13. A MIRACLE FOR YOU

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