桜の木の下/aiko

桜の木の下

男の自尊心をくすぐる、aikoが仕掛けた甘美な罠

aikoは、男をたらしこめる悪女である。小柄な体躯と可愛いルックス、そしてキュートな歌声を武器に、世の男性諸君を骨抜きにしてしまう。おそるべし、aiko。TOKIOの国分太一がメロメロになるのも分かるぜ。

『桜の木の下』(2000年)は、そんな彼女のウィッチぶりが存分に発揮されたアルバムだ。ここで紡ぎ出される物語は、女性上位の時代にあって珍しいぐらいに奥ゆかしい、スウィートガールの純情ラブストーリーである。

しかし騙されてはいけない!男にとって「カワイーなコイツ、放っておけねーよ」と思わせてしまう魔法が、そこには秘められているのだ。

例えば、彼女の代表曲である『カブトムシ』の歌詞からは明らかに「男性にすりよっている女性像」が見え隠れする。

すなわち彼女は彼氏のことがだーーーーい好きなのであって、例えるならそれは「甘い匂いに誘われたかぶとむし」のようなのである。彼女は彼氏のことがだーーーーい好きなので、思わず「少し背の高いあなた」に自分の「おでこ」を寄せてしまうのである。

かように一途で可愛らしいな女のコに、男性諸君がメロメロにならない訳がない。これまた大ヒットとなった「桜の時」も同様である。「右手を優しくつないで」、「また違う幸せなキスをするのがあなたであるように」なんて言われちゃってるのだ。

ここまで素直に愛情を表現されると、男は自尊心がくすぐられて悪い気がしない。これは確信犯なんだ、aikoに俺達は騙されているんだ…。分かっていても、その甘美な罠にはまっていく。

関西便を駆使して、あくまで自然体を強調するaiko。しかし全ては計算しつくされている。男にとって最高のフェアリーテールである「健気で純粋な女のコ」を、自らの肉体と声によって実体化しているのだ。

おそるべし、aiko。大塚愛と声の区別がつかないぜ。

DATA
  • アーティスト/aiko
  • 発売年/2000年
  • レーベル/ポニーキャニオン
PLAY LIST
  1. 愛の病
  2. 花火
  3. 桜の時
  4. お薬
  5. 二人の形
  6. 桃色
  7. 悪口
  8. 傷跡
  9. Power of Love
  10. カブトムシ

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