『悪魔のシスター』の考察/解説レビューをCINEMOREに寄稿しました

『悪魔のシスター』観客をピーピングトムへと引き摺り込む、とびっきりの悪夢」という考察/解説レビューをCINEMOREに寄稿しました。

道徳観や倫理観を思考停止に陥らせ、他人の生活を強制的に覗き見させること。ブライアン・デ・パルマは我々観客を共犯者に仕立てて、ピーピングトム(覗き魔)へと引き摺り込む。

『ファントム・オブ・パラダイス』(74)では、愛する女性が別の男性に抱かれる姿を主人公が天窓から覗いて、むせび泣く。『ミッドナイトクロス』(81)では、冒頭からカメラが大学の女子寮に忍び込む。『ボディ・ダブル』(84)では、隣家でセクシーに踊る女性の姿を、主人公が夜な夜な望遠鏡で覗き見る。かつてアルフレッド・ヒッチコックが実践してみせた「見る(覗く)/見られる(覗かれる)」という本質的な映画構造を、デ・パルマはより下劣に、より猥雑に、より露悪的に描き出す。

彼の原点ともいえる初期作『悪魔のシスター』(73)でも、覗き見スピリットはスパークしている。何せ冒頭から流れるのは、「覗き屋トム(PEEPING TOMS)」という謎のTV番組。男性が近くにいるにも関わらず、美女がどんどん脱いでいくというドッキリが仕掛けられる。果たして青年は彼女に、「1:存在を知らせるのか」、「2:黙っているのか」、「3:出ていくのか」。世にもサイテーな3択クイズが出題される。

ぜひご一読ください!

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