2025/11/4

『フランケンシュタイン』(2025)の考察/解説レビューをCINEMOREに寄稿しました

『フランケンシュタイン』ギレルモ・デル・トロが描く、信仰と恐怖と父性のオペラ」という考察/解説レビューをCINEMOREに寄稿しました。

これはもう確実に藤子不二雄先生のせいなのだが、筆者の場合フランケンシュタインの怪物のイメージは、漫画『怪物くん』のフランケンで固定されてしまっている。四角く大きな頭部、真一文字の縫い跡、頭の両側にはボルトのような金具。厚い眉と半開きの目、どこか無愛想でぼんやりしている表情。大柄で筋肉質だが、動きや仕草はのんびり。そして何をきかれても「フンガー」としか喋れない。メアリー・シェリーの原作では怪物を造った人物こそがヴィクター・フランケンシュタイン博士であり、怪物にはそもそも名前がないのだが、筆者にとってはこの勘違いを生み出してしまった元凶も藤子不二雄先生である。どれだけ影響力がデカいんだ、藤子不二雄。

元をただせば、1931年に公開された映画『フランケンシュタイン』でボリス・カーロフが演じた“怪物”の造形が、ビジュアル・イメージを決定づけた。メイクアップを担当したジャック・ピアースが生み出した平らな頭、首のボルト、縫い目、沈んだ目、重い歩き方といった特徴は、メアリー・シェリーの原作には存在しない創作。フランケンシュタイン博士が自ら生み出した怪物をどのように形容しているか、原作から引用してみよう。

「黄色い皮膚は、その下にある筋肉や動脈の動きをほとんど隠すことはなく、髪の毛は黒く光って流れるようで、歯は真珠のように真っ白です。しかしこのような輝かんばかりの特徴も、潤んだ目をよけい恐ろしく際だたせるばかり。その目は陰鬱な薄茶色の眼窩とほとんど同じ色ですし、やつれた顔やまっすぐ引かれた黒い唇も、やはりおどろおどろしく見えるだけです」(*1)

確かに我々が頭のなかでイメージしているような描写はない。それでも映画が世界中で大ヒットしたことで、「フランケンシュタイン=四角い頭の怪物」という誤解が普遍化してしまった。藤子不二雄先生をはじめ、後の漫画家やアニメ作家たちもこの映画版の造形を踏襲し、ギャグや親しみを加えながら定着させた結果、私たちの中の〈フランケン像〉はもはやカーロフの面影なしには語れない。

ぜひご一読ください!

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