恋の魔法を本当の魔法で描いてしまう、ノーラ・エフロンの定番ラブコメ
主演のニコール・キッドマン&ウィル・フェレルが、ラジー賞で最悪カップル賞を受賞してしまうなど、巷ではえらく評判の悪い『奥さまは魔女』(2005年)。
過去に、『恋人たちの予感』(1989年)や『めぐり逢えたら』(1993年)を手がけたノーラ・エフロンの隠れファンとして(別に隠す必要もないんだが)、鑑賞することは己の義務と割り切り、DVDレンタルしてきました。
うーむ、なるほど。確かに問題が山積している映画ではありますな。
発想自体は、なかなか洒落ている。実はコレ、単なるテレビ版のリメイク作品ではない。すっかり落ちぶれてしまった元映画スターのジャック(ウィル・フェレル)が、『奥さまは魔女』新シリーズで人気回復をはからんと目論見み、魔女のサマンサ役に本物の魔女であるイザベル(ニコール・キッドマン)をオファーしてしまうという、いわば劇中劇のような形でドラマが進行するのだ。
だが、はっきりいってストーリーはハチャメチャ。「魔法を使わずして真実の愛は掴めるのか」というご大層なテーマを掲げている割には、ニコール・キッドマン演じる魔女はマジカル・パワーを使いまくってるし、ベテラン女優アイリス(シャーリー・マクレーン)が実は魔女らしいという伏線も何一つドラマに寄与しない。
オマケに架空の人物であるはずのアーサーおじさん(スティーヴ・カレル)までが登場し、二人の恋のキューピッド役を買って出るという破天荒ぶり。
ノーラ・エフロン映画はいつだって恋の魔法がふんだんにふりかけられているが、本当に魔法をかけるということで済ませちゃうのは、いかがなものか。
まあ、現実界と空想界と隔てるボーダーラインが溶解しているという設定自体、ノーラ・エフロンのラブコメ哲学をあからさまに表象しているんだが。
とまあいろいろイチャモンをつけたくなる映画ではありますが、マイケル・ケイン、シャーリー・マクレーン、ジェイソン・シュワルツマン、スティーヴ・カレルという芸達者は揃っているし、ノーラ・エフロン映画の魅力のひとつでもあるBGMのセンスもイケているし、何よりも観終わってハッピーな気持ちになれる映画であることは間違いない。
全盛期(顔面崩壊前)のメグ・ライアンが主演していたら、もっとチャーミングな映画になってたかもしれないけど。
- 原題/Bewitched
- 製作年/2005年
- 製作国/アメリカ
- 上映時間/103分
- 監督/ノーラ・エフロン
- 製作/ノーラ・エフロン、ルーシー・フィッシャー、ペニー・マーシャル
- 脚本/ノーラ・エフロン、デリア・エフロン
- 撮影/ジョン・リンドレイ
- 音楽/ジョージ・フェントン
- 美術/ニール・スピサック
- 編集/ティア・ノーラン
- 衣装/メアリー・ゾフレス
- ニコール・キッドマン
- ウィル・フェレル
- シャーリー・マクレーン
- マイケル・ケイン
- ジェイソン・シュワルツマン
- クリスティン・チェノウィス
- ヘザー・バーンズ
- ジム・ターナー
- スティーヴン・コルバート
- スティーヴ・キャレル
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