レイ・ブラッドベリ原作のトリュフォー流SF映画
概要/原作は、アメリカの幻想文学作家レイ・ブラッドベリの同名小説。華氏451度とは、本が自然発火する温度のこと。
物語1/そう遠くない未来、国家は徹底した管理社会を実現するため情報統制や言論弾圧を敷き、あらゆる書物の所持を禁止していた。Fireman(消防士)として書物を焼き捨てる仕事に従事しているモンターグは、妻のリンダにうりふたつの女性クラリスと出会ったことから、読書の喜びを知る。
物語2/しかし妻の密告によって書物の隠蔽が明るみとなり、消防隊長を殺害して逃走。行き着いた先は、後世に書物が残せるようにと書かれている内容を一言一句暗記する“本の人々”が住む世界だった。終幕。
構造1/焚書というモチーフから、ややもすれば言論の自由を訴えた作品と見られがちだが、ブラッドベリ自身「テレビによる文化の破壊を描きたかった」と語っている通り、薄っぺらい洗脳プログラムしか提供できないテレビというメディアへの強烈な批判が根底にある。でっちあげの報道番組でモンターグが死んだことになるというオチは、視聴者の満足を得る為に事実をねつ造してしまうことを皮肉っているかのようだ。
構造2/SF映画にカテゴライズされる作品でありながら、トリュフォーは徹底して派手な視覚的効果を廃している。レトロモダンな近代建造物が立ち並ぶロケーションの妙や、ホワイトを基調にしたニコラス・ローグによる整然としたカメラによって、スタイリッシュな映画であらんとしている。ロケッティアみたく、ジェット噴射で警察官がパトロールしているシーンだけは妙に浮いていますが。
補足1/燃やされる本のなかに、かつてトリュフォーも批評家として参加していたカイエ・デュ・シネマ誌があるが、その表紙を飾っているのが『勝手にしやがれ』(1959年)のミューズであるジーン・セバーグ。後に訣別するジャン・リュック・ゴダールとの関係を暗喩しているかのようだ。
補足2/オープニングで一切のクレジットが表示されず、ナレーションのみでスタッフ紹介されるのは、書物が禁止されている世界では、ストーリーの暗唱のみが後世への唯一の伝達手段であるという、映画の内容を忠実になぞっているからだ。このセンス、イカしてます。
- 原題/Fahrenheit451
- 製作年/1966年
- 製作国/イギリス
- 上映時間/112分
- 監督/フランソワ・トリュフォー
- 原作/レイ・ブラッドベリ
- 脚本/フランソワ・トリュフォー、ルイ・リシャール
- 音楽/バーナード・ハーマン
- 撮影/ニコラス・ローグ
- 美術/シド・ケイン
- 衣装/トニー・ウォルトン
- 製作補/ミッキー・デラマー
- 製作/ルイス・M・アレン
- オスカー・ウェルナー
- ジュリー・クリスティ
- シリル・キューザック
- アントン・ディフィリング
- ジェレミー・スペンサー
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