2025/2/3

『ドリーミン・ワイルド 名もなき家族のうた』(2022)の考察/解説レビューをCINEMOREに寄稿しました

『ドリーミン・ワイルド 名もなき家族のうた』4/4拍子のリズムで描かれる音楽の奇跡」という考察/解説レビューをCINEMOREに寄稿しました。

夢はいつの日か実現する
時に4/4拍子のリズムで
(名もなき者)

音楽デュオのドニー&ジョー・エマーソンを描いた映画『ドリーミン・ワイルド 名もなき家族のうた』(22)は、こんな一節で幕を開ける。実際に彼らが世間から注目を浴びるようになったのは、初めてアルバムをリリースしてから33年経った2012年のことだった。

ワシントン州の田舎町フルーツランドで育った二人。父親ドンが運転するトラクターから聴こえてくるラジオの音楽に熱中し、やがて楽器の練習や作曲に取り組むようになる。特に弟ドニーの音楽的才能は、父親を驚かせるものだった。ドンは彼らのために10万ドルを注ぎ込んで自家製のスタジオを作り、息子たちはレコーディングに没頭。1979年にアルバム「Dreamin’ Wild」を完成させる。

ひょっとしたらこのレコードをきっかけに、スターへの道が切り拓かれるかもしれない。ティーンエイジャーのエマーソン兄弟は期待に胸を膨らませたが、現実はひとっとびのサクセス・ストーリーとはいかなかった。プレスされた2,000枚のレコードは、母親が手売りで捌くのがやっと。息子たちの夢に投資した父の借金は破産寸前まで膨らみ、1,600エーカーあった土地は瞬く間に減っていく。思い描いていた夢は呪いへと転化して、少年たちの心に深い傷を残す。やがて大人になったドニーは、妻と共にプライベート・スタジオを経営。ジョーは農場に残った。

ぜひご一読ください!

FILMOGRAPHY