ペ・ドゥナという俳優をスクリーンで観るにつけ、いつも思う。まるで地球に初めて舞い降りてきた宇宙人のように、好奇心に満ちた眼差しで世界をいつも見つめている、と。くりくりした目をさらにくりくりさせて、彼女は目の前の出来事を大切に、丁寧にすくい取っていく。
いわばそれは、自分がまだこの世界に馴染みきれていない、“異邦人”としての眼差し。だからこそ彼女の視線には、観察者としての純粋さが宿っている。『ほえる犬は噛まない』(2000年)では周囲が見過ごす小さな異変に気づく女性を、『子猫をお願い』(2001年)では社会に適応できず孤立する若者を、『空気人形』(2009年)では人間社会を初めて体験する“人間ならざる者”を、『クラウド アトラス』(2012年)では抑圧されたクローン人間を演じて、人の心の距離を、都市の孤独を、社会のひずみを照らし出す。
無垢な瞳に導かれて、我々は「彼女の視線を通じて世界を見つめ直す」という特異な体験へと誘われる。物語の内部に引き込まれるのではなく、ペ・ドゥナと共に世界そのものを体験する。なぜなら彼女は、内部にいながら外部の視線を持つ者ーー“異邦人”としての役割を常に担っているからだ。女子高校生たちが文化祭でブルーハーツを演奏するまでの数日間を描いた『リンダ リンダ リンダ』(2005年)もまた、その系譜に連なる作品。この映画で、ペ・ドゥナは韓国からやってきた留学生のソンさんを演じている。
ぜひご一読ください!
- 製作年/2005年
- 製作国/日本
- 上映時間/114分
- ジャンル/青春、ドラマ
- 監督/山下敦弘
- 脚本/向井康介、宮下和雅子、山下敦弘
- 製作/大島満、定井勇二、高野健一
- 製作総指揮/根岸洋之、定井勇二
- 撮影/池内義浩
- 音楽/ジェームス・イハ
- 編集/宮島竜治
- 美術/松尾文子、磯見俊裕
- 録音/郡弘道
- 照明/大坂章夫
- ペ・ドゥナ
- 前田亜季
- 香椎由宇
- 関根史織
- 三村恭代
- 山崎優子
- 湯川潮音
- 小林且弥
- 甲本雅裕
- 松山ケンイチ
- 小出恵介
- 藤井かほり
- リンダ リンダ リンダ(2005年/日本)
- リンダ リンダ リンダ(2005年/日本)
