「『コーヒー&シガレッツ』カフェインとニコチンの文化学」という考察/解説レビューをCINEMOREに寄稿しました。
カフェインとニコチン。この二つは、20世紀の都市文化を象徴する嗜好品だった。
コーヒーは、ヨーロッパのカフェに思想家や作家を呼び寄せ、議論や創作を生み出すための“触媒”。パリでもっとも古く、知識人の社交場として名高いサン=ジェルマン=デ=プレに、サルトルやボーヴォワールが腰を下ろす姿を思い浮かべればわかるだろう。テーブルに置かれたカップそのものが、思想、会話、芸術の誕生を連想させるアイコンとなったのだ。
一方でタバコは、アメリカのジャズクラブやフィルム・ノワールを連想させる。紫煙に包まれたサックス奏者、煙草をくわえた探偵やギャングスター。そこには退廃、孤独、都会の夜といったイメージが凝縮され、吸う仕草そのものがクールを演出する。コーヒーが理性の象徴なら、タバコは虚無の象徴。相反するものを同じテーブルに並べることで、知と孤独、対話と退廃が奇妙に同居する文化的風景が生まれた。
この都市文化のエッセンスをそのまま映画にしてしまったのが、ジム・ジャームッシュの『コーヒー&シガレッツ』(03)だ。モノクロの画面に並ぶカップと灰皿、漂う煙と会話。11本の短編から成るエピソードでは、俳優やミュージシャンたちがコーヒーとタバコを前にさまざまなやり取りを繰り広げる。
ぜひご一読ください!
DATA
STAFF
- 監督/ジム・ジャームッシュ
- 脚本/ジム・ジャームッシュ
- 製作/ジョアナ・ビセンテ、ジェイソン・クリオット
- 撮影/フレデリック・エルムス、エレン・クラス、ロビー・ミュラー、トム・ディチロ
- 編集/ジム・ジャームッシュ、ジェイ・ラビノウィッツ、メロディ・ロンドン、テリー・カッツ
- 美術/マーク・フリードバーグ、トム・ジャームッシュ、ダン・ビショップ
CAST
FILMOGRAPHY
- コーヒー&シガレッツ(2003年/アメリカ)
- ブロークン・フラワーズ(2005年/アメリカ)
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