『コーヒー&シガレッツ』(2003)の考察/解説レビューをCINEMOREに寄稿しました

『コーヒー&シガレッツ』カフェインとニコチンの文化学」という考察/解説レビューをCINEMOREに寄稿しました。

カフェインとニコチン。この二つは、20世紀の都市文化を象徴する嗜好品だった。

コーヒーは、ヨーロッパのカフェに思想家や作家を呼び寄せ、議論や創作を生み出すための“触媒”。パリでもっとも古く、知識人の社交場として名高いサン=ジェルマン=デ=プレに、サルトルやボーヴォワールが腰を下ろす姿を思い浮かべればわかるだろう。テーブルに置かれたカップそのものが、思想、会話、芸術の誕生を連想させるアイコンとなったのだ。

一方でタバコは、アメリカのジャズクラブやフィルム・ノワールを連想させる。紫煙に包まれたサックス奏者、煙草をくわえた探偵やギャングスター。そこには退廃、孤独、都会の夜といったイメージが凝縮され、吸う仕草そのものがクールを演出する。コーヒーが理性の象徴なら、タバコは虚無の象徴。相反するものを同じテーブルに並べることで、知と孤独、対話と退廃が奇妙に同居する文化的風景が生まれた。

この都市文化のエッセンスをそのまま映画にしてしまったのが、ジム・ジャームッシュの『コーヒー&シガレッツ』(03)だ。モノクロの画面に並ぶカップと灰皿、漂う煙と会話。11本の短編から成るエピソードでは、俳優やミュージシャンたちがコーヒーとタバコを前にさまざまなやり取りを繰り広げる。

ぜひご一読ください!

DATA
  • 原題/Coffee and Cigarettes
  • 製作年/2003年
  • 製作国/アメリカ
  • 上映時間/97分
  • ジャンル/オムニバス
STAFF
  • 監督/ジム・ジャームッシュ
  • 脚本/ジム・ジャームッシュ
  • 製作/ジョアナ・ビセンテ、ジェイソン・クリオット
  • 撮影/フレデリック・エルムス、エレン・クラス、ロビー・ミュラー、トム・ディチロ
  • 編集/ジム・ジャームッシュ、ジェイ・ラビノウィッツ、メロディ・ロンドン、テリー・カッツ
  • 美術/マーク・フリードバーグ、トム・ジャームッシュ、ダン・ビショップ
CAST
  • ロベルト・ベニーニ
  • スティーブン・ライト
  • ジョー・リー
  • サンキ・リー
  • スティーブ・ブシェーミ
  • イギー・ポップ
  • トム・ウェイツ
  • ジョー・リガーノ
  • ビニー・ベラ
  • ビニー・ベラ・Jr.
  • ルネ・フレンチ
  • E・J・ロドリゲス
  • アレックス・デスカス
  • イザック・ド・バンコレ
  • ケイト・ブランシェット
  • メグ・ホワイト
  • ジャック・ホワイト
  • アルフレッド・モリーナ
  • スティーブ・クーガン
  • GZA
  • RZA
  • ビル・マーレイ
  • ビル・ライス
  • テイラー・ミード