「『10番街の殺人』国家が奪った命の重みを問う、実録犯罪映画」という考察/解説レビューをCINEMOREに寄稿しました。
ジョン・レジナルド・ハリディ・クリスティ(以下、ジョン・クリスティ)。この名前は、1940年代後半から1950年代初頭にかけてイギリスを震え上がらせた。彼はロンドンのノッティング・ヒルにあるリリントン・プレイス10番地のアパートを拠点とし、妻のエセルを含む少なくとも8人の女性を絞殺。その手口の多くは、医療行為を装って女性をアパートに誘い込み、ガスを吸わせて意識を朦朧とさせたあと、首を絞めるという残忍極まりないものだった。
罪のない8人の女性を殺しただけではない。同じアパートに越してきたティモシー・エヴァンスの妻ベリルと、その娘ジェラルディンを殺害したジョン・クリスティは、巧妙な手口でティモシーを操り、全ての罪を彼になすりつける。その結果、裁判で有罪となったティモシーは絞首刑に処されることに。この事件は、イギリス史上最も悪名高い冤罪事件の一つ、「エヴァンス事件」として知られることになる。この悲劇的な冤罪事件がきっかけとなり、イギリスでは死刑制度廃止に向けた動きが急速に進んでいった。1971年に公開されたイギリス映画『10番街の殺人』は、この「エヴァンス事件」を題材にした実録犯罪映画である。
ちなみに、ブロードウェイ・ミュージカル「オン・ユア・トウズ」の劇中曲であり、後年ベンチャーズがカヴァーした楽曲も「10番街の殺人」だが、これとは全く関係がない(映画の原題は『10 Rillington Place』で、曲の原題は「Slaughter On Tenth Avenue」)。まぎわらしいったらありゃしない。
ぜひご一読ください!
DATA
STAFF
- 監督/リチャード・フライシャー
- 脚本/クライブ・エクストン
- 製作/マーティン・ランソホフ、レスリー・リンダー
- 撮影/デニス・クープ
- 音楽/ジョン・ダンクワース
- 編集/アーネスト・ウォルター
CAST
FILMOGRAPHY
- ミクロの決死圏(1966年/アメリカ)
- 10番街の殺人(1971年/イギリス)
- ソイレント・グリーン(1973年/アメリカ)
