ジョン・マッデン&グウィネス・パルトローのコンビが再びタッグを組んだ、深刻な数学者モノ
かつては数学界の天才ともてはやされたものの、晩年は精神に変調をきたしてしまったシカゴ大学の教授ロバート(アンソニー・ホプキンス)。
その娘キャサリン(グウィネス・パルトロー)は甲斐甲斐しく世話をするが、「父親の最後のライフワーク」に協力していくうちに、やがて数学界を揺るがすひとつの大きな「発見」をしてしまう…。
『プルーフ・オブ・マイ・ライフ』(2005年)は、ピュリッツァー賞、トニー賞を獲得した舞台劇『プルーフ』を完全映画化した、シリアスな人間ドラマ。
『恋におちたシェイクスピア』(1998年)でアカデミー賞を受賞した、監督ジョン・マッデン&主演グウィネス・パルトローのコンビが、再びタッグを組んだことでも話題になった。
数学をモチーフにしたドラマというのはけっこうあって、『グッド・ウィル・ハンティング』(1997年)、『ビューティフル・マインド』(2001年)、『博士の愛した数式』(2006年)など秀作も多し。
そして、そのいずれも主人公のキャラ設定が「数学に関しては天才的才能をみせるものの、対人関係を築くのは苦手な変わり者」というのは興味深い。
…いや、逆か。「対人関係を築くのは苦手な変わり者」を設定するにあたって、最も分かりやすい役柄が数学者、ということかもしれない。
しかし『プルーフ・オブ・マイ・ライフ』では、親父の数学者のみならず、主役のグウィネス・パルトローも情緒不安定という設定なものだから、彼女の主観に寄り添っていくカメラも極めて不安定。
いまが「現在」なのか「過去」なのか時制もハッキリせず、グウィネス・パルトローの行動原理もサッパリ分からないのだから、観ている我々としてはなかなか深刻な事態である。
彼女にとって「人生を取り戻す手段」とは何なのか、ジェイク・ギレンホールに数学的証明のない“信頼”を勝ち得たかったのは、彼を本気で愛していたからなのか、そして何よりも彼女にとって「数学」とは何なのか。物語を転がすにあたって最も基本的なファクターが致命的に作動していない。
監督のジョン・マッデンは、彼女の心象風景に心血を注ぎすぎて、俯瞰的視座をオザナリにしてしまった結果、多くの説明不足を招いてしまった。
あ、あと、僕はグウィネス・パルトローのハニカミ顔がけっこう好きだったりするので、終始眉間にシワを寄せて深刻顔の彼女は、個人的にあまり好きくなかったりします。
ちなみに、当時デニス・クエイドの奥さんだったメグ・ライアンをラッセル・クロウがコマしたことで有名な『プルーフ・オブ・ライフ』という映画があるが、本作とはタイトルが似ているだけで何の関連もありませんので、念のため。
- 原題/Proof
- 製作年/2005年
- 製作国/アメリカ
- 上映時間/99分
- 監督/ジョン・マッデン
- 製作/ジョン・N・ハート・Jr、ロバート・ケッセル、アリソン・オーウェン、ジェフ・シャープ
- 製作総指揮/ジュリー・ゴールドスタイン、ジェームズ・D・スターン、ボブ・ワインスタイン、ハーヴェイ・ワインスタイン
- 原作/デヴィッド・オーバーン
- 脚本/デヴィッド・オーバーン、レベッカ・ミラー
- 撮影/アルウィン・H・カックラー
- プロダクションデザイン/アリス・ノーミントン
- 衣装/ジル・テイラー
- 編集/ミック・オーズリー
- 音楽/スティーヴン・ウォーベック
- グウィネス・パルトロー
- アンソニー・ホプキンス
- ジェイク・ギレンホール
- ホープ・デイヴィス
- ダニー・マッカーシー
- ロシャン・セス
- ゲイリー・ヒューストン
- コリン・スティントン
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