- 『哀れなるものたち』ヨルゴス・ランティモス
- 『悪は存在しない』濱口竜介
- 『チャレンジャーズ』ルカ・グァダニーノ
- 『シビル・ウォー アメリカ最後の日』アレックス・ガーランド
- 『ルックバック』押山清高
- 『コヴェナント 約束の救出』ガイ・リッチー
- 『パスト ライブス/再会』セリーヌ・ソング
- 『関心領域』ジョナサン・グレイザー
- 『夜明けのすべて』三宅唱
- 『めくらやなぎと眠る女』ピエール・フォルデス
- 『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 後章』黒川智之
- 『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 前章』黒川智之
- 『ARGYLLE/アーガイル』マシュー・ヴォーン
- 『WALK UP』ホン・サンス
- 『Chime』黒沢清
- 『憐れみの3章』ヨルゴス・ランティモス
- 『落下の解剖学』ジュスティーヌ・トリエ
- 『ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ』アレクサンダー・ペイン
- 『ソウルの春』キム・ソンス
- 『ナミビアの砂漠』山中瑶子
- 『ルート29』森井勇佑
- 『青春18×2 君へと続く道』藤井道人
- 『メイ・ディセンバー ゆれる真実』トッド・ヘインズ
- 『デューン 砂の惑星PART2』ドゥニ・ヴィルヌーヴ
- 『オーメン ザ・ファースト』アルカシャ・スティーブンソン
- 『梟-フクロウ-』アン・テジン
- 『マッドマックス:フュリオサ』ジョージ・ミラー
- 『SUPER HAPPY FOREVER』五十嵐耕平
- 『違国日記』瀬田なつき
- 『化け猫あんずちゃん』久野遥子、山下敦弘
- 『リンダはチキンがたべたい!』キアラ・マルタ、セバスチャン・ローデンバック
- 『マミー』二村真弘
- 『インサイド・ヘッド2』ケルシー・マン
- 『ミッシング』吉田恵輔
- 『告白 コンフェッション』山下敦弘
- 『ゴールド・ボーイ』金子修介
- 『マンティコア 怪物』カルロス・べルムト
- 『プリシラ』ソフィア・コッポラ
- 『宝島』ギョーム・ブラック
- 『セーヌ川の水面の下で』ザヴィエ・ジャン
- 『コット、はじまりの夏』コルム・バイレッド
- 『アイアンクロー』ショーン・ダーキン
- 『Cloud クラウド』黒沢清
- 『デッドプール&ウルヴァリン』ショーン・レヴィ
- 『エイリアン:ロムルス』フェデ・アルバレス
- 『アメリカン・フィクション』コード・ジェファーソン
- 『キングダム 大将軍の帰還』佐藤信介
- 『ツイスターズ』リー・アイザック・チョン
- 『フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン』グレッグ・バーランティ
- 『きみの色』山田尚子
- 『マリウポリの20日間』ミスティスラフ・チェルノフ
- 『ぼくのお日さま』奥山大史
- 『十一人の賊軍』白石和彌
- 『ヒットマン』リチャード・リンクレイター
- 『デ ジャ ヴュ』ダニエル・シュミット
- 『ダム・マネー ウォール街を狙え!』クレイグ・ギレスピー
- 『フォールガイ』デヴィッド・リーチ
- 『12日の殺人』ドミニク・モル
- 『ボーはおそれている』アリ・アスター
- 『瞳をとじて』ビクトル・エリセ
- 『異人たち』アンドリュー・ヘイ
- 『碁盤斬り』白石和彌
- 『カラーパープル』ブリッツ・バザウレ
- 『ブルーピリオド』萩原健太郎
- 『僕らの世界が交わるまで』ジェシー・アイゼンバーグ
- 『インフィニティ・プール』ブランドン・クローネンバーグ
- 『悪魔と夜ふかし』キャメロン・ケアンズ、コリン・ケアンズ
- 『ペナルティループ』荒木伸二
- 『蛇の道』黒沢清
- 『新米記者トロッ子 私がやらねば誰がやる!』小林啓一
- 『スパイダー 増殖』セバスチャン・バニセック
- 『墓泥棒と失われた女神』アリーチェ・ロルヴァケル
- 『ファントスミア』ラヴ・ディアス
- 『対外秘』イ・ウォンテ
- 『ブレインウォッシュ セックス-カメラ-パワー』ニナ・メンケス
- 『クワイエット・プレイス:DAY 1』マイケル・サルノスキ
- 『ベイビーわるきゅーれ ナイスデイズ』阪元裕吾
- 『箱男』石井岳龍
- 『マダム・ウェブ』S・J・クラークソン
- 『アクアマン/失われた王国』ジェームズ・ワン
- 『ゴジラ-1.0/C』山崎貴
- 『からかい上手の高木さん』今泉力哉
- 『海街奇譚』チャン・チー
- 『ジョン・ウィリアムズ 伝説の映画音楽』ロラン・ブーズロー
- 『漫才協会 THE MOVIE ~舞台の上の懲りない面々~』塙宣之
- 『侍タイムスリッパー』 安田淳一
- 『かくしごと』関根光才
- 『システム・クラッシャー』ノラ・フィングシャイト
- 『美と殺戮のすべて』ローラ・ポイトラス
- 『クレヨンしんちゃん オラたちの恐竜日記』佐々木忍
- 『恋するプリテンダー』ウィル・グラック
- 『本心』石井裕也
- 『バティモン5 望まれざる者』ラジ・リ
- 『雨の中の慾情』片山慎三
- 『猿の惑星/キングダム』ウェス・ボール
- 『あんのこと』入江悠
- 『ボブ・マーリー:ONE LOVE』レイナルド・マーカス・グリーン
- 『ジョン・ガリアーノ 世界一愚かな天才デザイナー』ケビン・マクドナルド
- 『お隣さんはヒトラー?』レオン・プルドフスキー
- 『このろくでもない世界で』キム・チャンフン
- 『同感 時が交差する初恋』ソ・ウニョン
- 『大いなる不在』近浦啓
- 『ラストマイル』塚原あゆ子
- 『ブルックリンでオペラを』レベッカ・ミラー
- 『ネクスト・ゴール・ウィンズ』タイカ・ワイティティ
- 『ブリーディング・ラブ はじまりの旅』エマ・ヴェステンベルク
- 『No.10』アレックス・ファン・バーメルダム
- 『ゴーストバスターズ/フローズン・サマー』ギル・キーナン
- 『ヴェノム:ザ・ラストダンス』ケリー・マーセル
- 『朽ちないサクラ』原廣利
- 『アバウト・ライフ 幸せの選択肢』マイケル・ジェイコブス
- 『ザ・ウォッチャーズ』イシャナ・ナイト・シャマラン
- 『オールド・フォックス 11歳の選択』シャオ・ヤーチュアン
- 『湖の女たち』大森立嗣
- 『コットンテール』パトリック・ディキンソン
- 『ゴールデンカムイ』久保茂昭
- 『シン・デレラ』ルイーザ・ウォーレン
- 『オッペンハイマー』クリストファー・ノーラン
- 『フェラーリ』マイケル・マン
- これまでマイケル・マンは「男の戦い」を描いてきた
- マイケル・マンはスターを撮る監督であり、それ以外はモブキャラとして後景化する
- フェラーリ役のアダム・ドライバーは、自動車レースを見守る観察者という立ち位置
- 若手レーサーが「戦い」を体現するが、モブキャラゆえにレースそのものは物語の中心から外れる
- 真の「戦い」は、アダム・ドライバーとペネロペ・クルス夫婦の攻防
- レースではなく夫婦のやりとりを「戦い」の場に設定したのは、マイケル・マン自身が高齢となり、観察者としての自覚を持ったから
- 『エス』太田真博
- 『チルドレン・オブ・ザ・コーン』フリッツ・カーシュ
- 『劇場版ブルーロック -EPISODE 凪-』シュンスケ・イシカワ
- 『マッチング』内田英治
- 『HAPPYEND』空音央
- 『スオミの話をしよう』三谷幸喜
- 『室井慎次 敗れざる者』本広克行
- 『ファイブ・ナイツ・アット・フレディーズ』エマ・タミー
ひとりの女性が性と知と愛の歓びを知っていくプロセスを、ヨルゴス・ランティモスらしいクセツヨなストーリー、音楽、美術で描く一大絵巻。エマ・ストーンが船上で踊るヘンテコダンスが脳裏に焼き付いて離れない。
不穏な緊張感が弛みなく持続し、かと思えば上質なユーモアが不意に織り込まれ、陶酔的な絵の力に心を鷲掴みにされる、至高の106分。濱口竜介監督の作劇術にただただ圧倒されっ放し。凄すぎて言葉が見つかりません。
最高。テニスのように主導権が移り変わる三角関係、とんでもないカメラポジションで試合を捉えるルカ・グァダニーノの演出、ラリーと完全同期したトレント・レズナーとアッティカス・ロスのEDM。もう見事としか言いようがありません。
イギリス人監督が描くアメリカの分断と崩壊。観ているうちに自分自身も内戦に放り込まれて、倫理観も主義主張も溶けて消え失せていく。圧倒されました。間違いなく2024年最重要作。
回想する(look back)という作劇上の構成を軸にしつつ、文字通り我々観客が藤野と京本の背中を見る(look back)映像作品として設計されていて、原作以上のエモさに胸が締め付けられた。全カット、全シーンが胸アツ。
これ大傑作じゃね?ガイ・リッチーっていつも超絶ハイテンポと英国風式ユーモアで話をこねくり回す印象があったんだが(すいません)、こんなに硬派な実録モノを撮れるとは。ストーリー展開は目を見張るし、アクションもケレン味がある。見事。
ある男女の物語で、都市の映画で、英語や韓国語が入り乱れてるのに、大事な言葉は心の奥にしまう会話劇。タイトルのPASTとLIVESの間にスペースが妙に空いているのは、二人が会えなかった時間を表しているのだろう。本当に愛おしい作品。
PVやCMなどビジュアリストで鳴らしてきたジョナサン・グレイザーが、映像そのものではなく、その背景音として聞こえてくるものに物語の中心を据えた、凄まじい実験作。遠景中心の平面的な構図が独特のトーンを生みだしている。映画館マスト案件。
希望と慈しみの映画。16ミリフィルムのザラついたルックで、ぼうっと浮かび上がる街灯が夜空のように瞬き、自転車に乗る松村北斗を眩い光が包み込む。もうこのシーンだけで5億点。
村上春樹の『かえるくん、東京を救う』、『バースデイ・ガール』、『かいつぶり』、『ねじまき鳥と火曜日の女たち』、『UFOが釧路に降りる』、『めくらやなぎと、眠る女』の6つの短編を、オムニバスではなく一本の長編として翻案した大傑作。性と死とファンタジーに彩られたハルキ・ムラカミの世界を、完璧に再現。
デデデデ後章、ダダダ大傑作。もう一度言います。ダダダ大傑作。
デデデデ前章、ダダダ大傑作。もう一度言います。ダダダ大傑作。
二転三転どころか四転五転。ずーっと気持ちよく裏切られ続ける、至高の2時間19分。ブライス・ダラス・ハワードのおばさん体型が妙にリアルで良い感じ。
凄まじい映画だった。地上4階建てのビルを舞台に、文字通りある映画監督が人生の階段を上っていく(フロアが上がっていく)。でもキャリアは下り坂、訪れる中年の危機。それでいて筆致はあくまで軽やか。最近のホン・サンス映画では一番好きかも。あと、フロアが上がるごとに時間が経過している設定なんだけど、一箇所とんでもない仕掛けが施された場面があって、もはや夢なのか未来なのか多元宇宙なのかも分からないトンデモ演出で、もうこのシークエンスだけで5億点!ってなった。ホントにどうかしてるよ、ホン・サンスって。
これまでの黒沢的恐怖演出をグツグツ煮込んで、その核となるものだけを抽出して、「CURE」的モチーフをふりかけたような、驚愕の45分。いい意味で<脈絡のない>映画。
巨匠の地位を確立してもなお、ヨルゴス・ランティモスがやりたい放題やってくれるヘンテコ・アンソロジー。奇想天外なプロットを奇想天外のまま描き、ヘンに腑に落ちる展開にさせない強烈なインディーズ精神とユーモア感覚に興奮しっぱなし。最高です。
切り口が無限にありすぎて、逆に何を語ればいいのかを見失ってしまう映画。芸術なんてものはすべからく己の主観でしか判断できないものだが、そこを確信的に突いてくる。
数々のロードムービーを撮ってきたアレクサンダー・ペイン。今作は、学校内で偏屈な歴史教師と悪ガキ生徒がクリスマス休暇を過ごす<逆ロードムービー>…と思わせて、次第にロードムービーへと飛躍していく構成が見事。泣いた。
こりゃ凄い。ドキュメンタルではなく、あえてフィクショナルな味付け。当時国軍保安司令官だったチョン・ドゥファンが中心となって起こした1979年の軍事クーデター(12.12軍事反乱)を、「こんなに面白くしちゃっていいんですか」というくらいの一大エンターテインメントに。パク・チョンヒ大統領暗殺と光州事件を繋ぐ、2024年に届けられた「韓国のいちばん長い日」。
テンション↑の河合優実を急激ズームするとか、隣の人の会話が気になって友達の話全然聞いてない感じとか、漫画みたいな鼻血ツーとか、カナという女の子の生態観察映画としてめっちゃ面白い。映画的な運動というよりも生物としての運動感に惹かれる。あと、こういう展開になったら普通はこうなるよねというクリシェをことごとく跳ね除けていて、アンチドラマティックを突き通す感じが逆にドラマティックというか、全く先が読めないというか。河合優実が家でウロウロしているだけで絵が持つって普通に凄いと思う。
生の彼岸に死があるのではなく、すべてがごっちゃに入り混じった奇想天外ワールドを、ファンタジックに、シュールに、しかもロードムービーという形式で表出してしまう森井勇佑の演出術。実はデヴィッド・リンチ的な資質の持ち主かも。
観に行った映画館がほぼ若い女性で、ラストシーンではみんなすすり泣いていた。真っ当にして正当な岩井俊二トリビュート映画。
これ完全にホラーですよね?気づけばナタリー・ポートマンとジュリアン・ムーアの立ち位置が入れ替わってる。飛行機のエンジン音がけたたましく鳴る。要領を得ない会話。一向に正体を現さない真実。鏡越しに映る二人のショットには震えた。
ポールが救世主として覚醒していく物語であると同時に、チャニの内面にもかなりフォーカスしているあたりに、ドゥニ・ヴィルヌーヴの叙事詩的ストーリーテリングの確かさを感じる。実は「オッペンハイマー」と同趣のモチーフが使われているのも興味深し。IMAX必須案件。
すいませんでした、コレ完全にナーメテーター案件でした。アンバーがかった色合いの70年代フィルム感、絶妙なフレーミング、恐怖を倍増させる音響設計。王道のホラー演出が冴え渡る、見事な作品。
舞台はほぼ朝鮮王朝時代の宮廷のみ、数日間の出来事という空間・時間を限定させた作りが巧妙。当初は事件に関わろうとしない盲目の鍼医の姿が、見て見ぬ振りをして生きるメタファーとして機能している。仁祖を演じるユ・へジンのネットリ芝居も良き。
かつて西部劇で多用された復讐譚フォーマットに則りながら、“でもその先にあるものとは何ぞや?”と79歳を迎えた御大ジョージ・ミラーが問いかける新しい神話。個人の怒りを単なる物語として消費することへの忌避感を感じる。
単なる現在・過去の回想形式ではなく、時空の端っこをふたつつまんで繋いだような、SUPER不思議なバカンス映画。漂う胡蝶の夢感にゾクゾクする。あとタイトルが秀逸すぎ。
突き抜けた青空ではなく、雲がかったアイボリーな空。10代の少女のあらゆる矛盾と混沌をその身体に収める朝(早瀬憩)。劇中歌「あさのうた」がいつまでも脳内をリフレインする。
夏の田舎で過ごすオフビート青春物語と思ったら、後半とんでもない展開が待ってた。チャリ盗まれたあんずちゃんのリアクションが神ってて、つまり森山未來の演技が神ってて、あそこだけでも50回くらいリピートしたいくらい良い。
とにかくカラフルでクレイジーなフレンチ・アニメ。レイモン・サヴィニャックにも似た、遊び心満載のイラストに生命が吹き込まれて、あっちにこっちに走り回る。これ、『大人のためのグリム童話 手をなくした少女』のセバスチャン・ローデンバックが共同監督を務めているのね。そりゃ傑作なのも納得だわ。
なるほど、これは和歌山毒物カレー事件を扱った社会派ドキュメンタリーとか一大スクープとか言う前に、とてつもないエンタメ映画だ。端正な切り口に見せかけて、フィルムに狂気が充満している。そして監督自身が一線を超えてしまう展開に驚愕。
全世界興行収入が最速で10億ドルを突破して、ピクサー史上最大のヒット作に。実際に観てみたら、天才のアイデアを元に天才がシナリオを書いて天才が演出したみたいな映画だった。一部の隙もないエンタメの極致。もう全人類観に行けば良いです。
エグいくらいの情け容赦なさと、柔らかな光で包み込んだような優しさで、観ている我々の情緒をあっちにこっちに引っ掻き回す。吉田恵輔監督、いよいよイ・チャンドンのような風格を帯びてきた。
怖すぎ密室エンタテインメント。作り手と演じ手の力量がモロに出てしまうこの題材で、軽々と最長不倒距離を叩き出したことに拍手。とにかくヤン・イクチュンの一挙手一投足に“息もできない”。
特に序盤はセリフだけで状況説明する描き方が多少気になったものの、殺人犯と少年たちによる巧みなコンゲーム・サスペンスとして見事。かつて『1999年の夏休み』を手がけた金子修介らしい青春映画の香りが良き。
カルロス・べルムト監督の前作『マジカル・ガール』が表に闇が吹き出す映画とするなら、こちらは闇がギリギリまで表に浮上しない映画。現代社会における欲望のあり方について考えさせられる、極めて現代的な作品。
かつてマリー・アントワネットの孤独と狂騒を軽やかに描いたソフィア・コッポラが、舞台を60年代のメンフィスに移し替えて、プレスリーの妻プリシラの物語を描く。あえてプレスリーの曲を使わない音楽センス、余韻を残さずにシーンを繋ぐエディット感覚が最高。太陽が燦々と降り注ぐ家の中で、それでもプリシラが常に日陰に佇むショットがとにかく美しい。
エリック・ロメール監督『友だちの恋人』の舞台としても知られるパリ郊外のレジャー・アイランドを舞台に、様々な人々の様々なヴァカンスを描く。ドラマなのかドキュメンタリーなのか分からず観てたら、ナンパしている男子に「ナンパ撮らせて」って言って撮影するスタイルらしい。夏の開放感も終わりゆく寂しさもある最高のヴァカンス映画。
環境問題に肉薄した、新しいカタチの『ジョーズ』。サメ映画の可能性ってまだまだあるんですね。てっきりパリ・オリンピックの開会式でも、セーヌ川で大パニックに陥る寸劇をやってくれるとか思ってたら、全然そんなことなかった。そりゃそうだ。
“親戚に預けられた少女の、ひと夏の物語”という手垢つきまくりの内容を、超正攻法で描く。精妙に設計された構図、ドキュメンタルなタッチで時折インサートされる幻想的なショット。“走る”という映画的運動感。ベタ展開だけど最後は絶対泣く。
被写界深度の浅いレンズで、肉体の躍動を生々しく捉える映像センスが並外れていると思ったら、『マーサ、あるいはマーシー・メイ』のショーン・ダーキン監督だった。精神と肉体の軋みを的確に表現するザック・エフロンの演技も素晴らしい。
人里離れた場所に奇怪な訪問者がやってくるキャビン系ホラーと思いきや、後半になるとVシネ時代の黒沢清的不条理と暴力がスパークする、超エンタメ映画だった。古川琴音がとても古川琴音っぽい役柄で、岡山天音がとても岡山天音っぽい役柄なのも良き。
究極のノスタルジー喚起映画。過去のX-メンシリーズをリアルタイムで併走してきたガチ勢への鎮魂の歌。ディズニーの21世紀フォックス買収をマルチバースとして捉えた発想が優勝です。主題歌がまさかのマドンナ「Like a Prayer」。PVの説明に“異人種間の欲望”とあるんだが、まさしくデッドプーとウルヴァリンのことだろうし、だからトムとジェリーみたいなイチャイチャが永遠と続く訳で。
なるほど、これはロッテントマトで評価が高いのも納得。リドリー・スコットの偉大なる第一作のタッチを、フェデ・アルバレスがケレン味をプラスして踏襲。巧みに他のシリーズ作品にも目配せしているも憎い。状況描写が雑なのがやや気になるが、ここまでやってくれれば文句なし。「プリシラ」や「シビル・ウォー」にも出演している主役のケイリー・スピーニーは、2024年の顔確定!
冗談で書いたステレオタイプな黒人小説がベストセラーになるという、80年代だったらコメディ一辺倒になりそうな題材を、非常にバランス良く設計した理知的な作品。ジャズの使い方もナイス。
山﨑賢人や吉沢亮をさしおいて、王騎・大沢たかおがずーーっと画面を支配する、大沢たかおのための大沢たかお映画。顔のクローズアップではなく背中のアップで感情を揺さぶる演出がエモい。シリーズ集大成にふさわしい最終章(でも続くよね?)。
これ構造は完全に「ジョーズ」。メインキャラが3人であること、主人公がニューヨークからやってきたこと、そしてトルネードをXXXでやっつけようとしていること。監督のリー・アイザック・チョンは、製作総指揮のスピルバーグにオマージュを捧げてる。
月面着陸はウソだったというアポロ疑惑を、まるで80年代の小粋なアメリカ映画のような軽やかさで描く、虚実入り乱れまくりロマコメ。あと、スカヨハ可愛い。スカヨハ可愛い。スカヨハ可愛い。
すいません、これが初山田尚子作品です。影平ルイというキャラがいて、やたら「ルイくんルイくん」と呼ばれるのが恥ずかしかった。バンドでやる音楽が80年代エレクトロポップだったり、途中でUnderworld「Born Slippy」がかかったり、音楽センス尖りまくりでは。
ロシアがウクライナへ侵攻し、報道関係者が次々と戦地から脱出。そんななか、現状を世界に伝えるためにたった一人カメラを回し続ける、ウクライナ人ジャーナリストによる生々しい記録。それでもロシア高官が「フェイクニュース」と断言する姿に、ポスト・トゥルースの時代に我々が生きていることを実感させられる。
お話云々の前に、眩い光が漏れるなか、少女がスケートリンクでフィギュアスケートをする照明に圧倒された。スタンダードサイズを選択したのは、彼女たちの動きを流れるように撮りたかったから?と思ったり。ワンショットワンショットの充実度がハンパない。あと、主人公の男の子と女の子にほとんどセリフを言わせない、潔いまでの情報の抑制ぶりにも驚いたし、池松壮亮が車の中でなぜかルー・リードっぽいロックを聴いている音楽センスにも驚いた。
「仁義なき戦い」で知られる反骨の脚本家・笠原和夫のプロットを白石和彌が映像化した、“幕末のスーサイド・スクワッド”。仲野太賀史上最もかっこいい仲野太賀が拝める。実生活でも僧侶になった千原せいじの坊主役がおいしすぎ。
いまノリにノっているグレン・パウエルが、普段は大学教授、副業で囮捜査の偽ヒットマンというトンデモキャラを熱演。リンクレイターっぽい謎の哲学要素もあるクライム・コメディ。
夢のように美しい被写体が(特にキャロル・ブーケ!)、夢のように美しい瞬間に佇み、その一瞬を現実としてフィルムに焼き付けるダニエル・シュミットの手つきが、映画と完全にシンクロ。ロマネスクな香りに酔わされる。
ゲームストップ株騒動を題材に、個人投資家たちが強大なヘッジファンドに宣戦布告する胸熱ドラマ。クレイグ・ギレスピーの軽快で切れ味鋭い演出に唸らされる快作。やっぱポール・ダノ出演作にハズレなし!
とにかくご陽気な2時間。そしてKISSの「I Was Made for Lovin’ You」とか、AC/DCの「Thunderstruck」とか、フィル・コリンズの「Against All Odds」とか、おっさんが好きな懐メロ大会。
未解決事件を解き明かそうとする欲望と、男性強権的な警察機構の歪みがクロスオーバーして、捜査自体がジェンダーバイアスを表象するものになっていく、鋭角的なサスペンス。組織の内側を象徴するロードバイク、犯罪の象徴としての黒猫の使い方が巧みすぎる。
ホアキン・フェニックスの地獄巡りが179分間続く、アリ・アスターのフィルモグラフィーの中でも群を抜いて頭のおかしい作品。構図といい編集といいサウンドデザインといい、全てが不穏。そして変。
映画が単なる体験(記憶)ではなく、人々の魂に触れうる芸術なのかを、びっくりするくらいに直裁に語ったシネマ讃歌。前半は正直かったるいなーと思って観てたら、後半からメキメキ面白くなっていく。ビクトル・エリセってバリバリの現役映画作家なんだな。
残酷なのに優しく、恐ろしいのに甘美なファンタジー。高低と内外という空間設計を駆使して、世にも奇妙な物語を端正に紡ぐアンドリュー・ヘイの映像センスに惚れ惚れ。原題の「All Of Us Strangers」に作り手の意思が感じられる。
落語演目「柳田格之進」に仇討ちの要素をミックスした野心作。牧歌的なシークエンスもあれば、60年代時代劇のような殺気漂うチャンバラもあり。白と黒の碁石のように、優しさと恐ろしさが同居した草彅剛のクローズアップが全てを持って行ってしまう。
エモーショナルなミュージカルとして素直に感動するし、何よりも赦しと贖罪の物語になってる。マジでスピルバーグ版よりも良いのでは。H.E.R.が出演していることには驚いたが、『愛と青春の旅立ち』のルイス・ゴセットJrの登場にはもっと驚いた。
八虎たちがサッカーの試合を見に行くときの、夜の渋谷駅東口2階デッキを引きで捉えたショットの美しさ。水族館のシーンで、エモーショナルな場面なのにあえて表情を捉えるのではなく、劇伴も流さず周りの雑音も入れず、声だけを拾ってバックショットでとらえるという抑制の効いた演出。萩原健太郎の演出家としての手腕に感嘆しきり。
母親は真っ赤な車の中でクラシックを聴き、息子は自称オルタナティブなロックを弾き語り、父親は静かに読書にいそしむ。表面上の会話はあるけど、みんな自分の世界にどっぷりと浸かって、相手に寄り添うこともしない。ジェシー・アイゼンバーグが、初監督とは思えないくらいにみずみずしい演出で世界が交わる神々しい瞬間を切り取る、ステキ映画。泣ける。
クローンというギミックで「本当の自分とは」という自己認識を揺るがす、シュールな幻想譚。ブランドン・クローネンバーグのサイケでエキセントリックな映像美が爆発。そしてミア・ゴスは今作でもミア・ゴスっぷりを発揮してます。
『古畑任三郎』で超能力者(石黒賢)が生放送で死体発見する話+『エクソシスト』みたいな、ファウンドフッテージもの。日本だったら『このテープもってないですか?』の大森時生が深夜にやりそうな、企画勝ちな一本。デビッド・ダストマルチャンがハマり役すぎる。
タイムリープというSF的モチーフを用いて、情念というエモーショナルな物語に昇華させた意欲作。説明とセリフを極限なまでに削ぎ落とし、常に鑑賞者に思考を促し続けるエッジーな演出にシビれる。
1998年に発表した作品を黒沢清自らリメイク。不条理を超えてシュール・コメディの域に達していたオリジナルと比べて、今回は王道なリベンジ・サスペンス。哀川翔→柴咲コウへの置換によって、えもいわれぬ虚無感がアップしてます。
監督を務めるのが大傑作『恋は光』の小林啓一だから、間違いなし。文芸部に入りたかったのに、なぜか新聞部に入部した女子高校生の青春グラフィティと思わせて、報道とは何か、社会正義とは何かを描く骨太ドラマ。櫻坂46藤吉夏鈴がキラッキラしてる。
とてつもないスピードで毒クモが増殖・巨大化する、フランス産パニック映画。密室系ホラーとして超優秀。「バティモン5 望まれざる者」で描かれていた貧困層のアパート立ち退きを、動物パニックとして戯画化した社会派映画とも読み取れる。
過去(夢)と現代(現実)が錯綜する構成、埋葬品を売りさばくというストーリー、突然早回しになったり観客に向かって登場人物が語りかける語り口も興味深いが、実はフェミニズムの文脈で語れるテーマかと。70年代のヨーロッパ映画を彷彿とさせるルックも良き。
劇伴なし×カメラ固定×モノクロの246分。腐敗した権力を穿つ、非常にストレートな語り口の作品。ある意味で叙事詩的な「ランボー」。
悪人だらけの権力バトル。欲望剥き出しのポリティカル・サスペンス。ここまでやってくれるから韓国映画は面白い。もし日本でリメイクするなら、政治家ヘウン役はピエール瀧、権力者スンテ役は柄本明、ギャングのピルド役は笠松将でお願いします。
多くの映像作品はMAZE GAZE(男性からの眼差し)によって、女性が客体化されているという事実を、理知的・論理的に解き明かしていくドキュメンタリー。その感覚だけは忘れないようにしたい。
ニューヨークを舞台にしたことでポスト・アポカリプスものとしての深度がマシマシ。ついでにニャンコが大冒険を繰り広げる猫映画としての深度もマシマシ。スピンオフとして大正解の一作。
正直過去2作は、ちさと&まひろのZ世代ダラダラトークがコメディ芝居としてトゥーマッチに見えてしまってあまり好きではなかったのだが、今作は何よりもアクション映画として秀逸。シネマスコープに相応しいエンタメ作。
ダンボールを頭から被った変態中年が敵と戦う昭和特撮的バトルものと思いきや、ATGのような不条理エロスの世界に突入し、最後は「エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君に」に終着する、全方位的オモシロ映画だった。
なんでRotten Tomatoのスコアがあんなに低かったんだ。戦闘能力を有さない主人公たちのアメコミ映画という新基軸で、普通に楽しめたんですけど。
『ドクター・モローの島』みたいな設定から、『マトリックス レボリューションズ』のイカ型戦闘機を彷彿させる展開になり、そこに『ロード・オブ・ザ・リング』的なエッセンスもまぶしていく。かなり節操のない話を、悪趣味テイストを入れつつ、一本の作品にまとめあげてしまうジェームズ・ワンの情報処理能力に脱帽。
禍々しくはあっても、決して生々しくはない。モノクロになることによって、山崎貴監督作品に通じる“人工的世界観”が、逆に浮き彫りになってしまっている、ある意味で不幸な作品。
世のボンクラどもに「学生時代に僕を馬鹿にしてしていたあの子も、きっと俺のことが好きだったに違いない」というご都合主義的歴史解釈・脳内歴史改変をさせてしまう、たいへん罪作りな映画でした。
さびれた港町で繰り広げられる、ラビリンス的宇宙。過去と現在の往還。夢と現実の混濁。向かい合わせでカブトガニを貪り食うシーンが強烈に脳裏に残る。
「未知との遭遇」のあの有名な5音を自ら紹介するところで、「(最後の音が)“そして” や ”でも”などの接続詞のように感じる。シで音を止めればドを期待するだろ?つまり5度の音階は次の音を期待させる」という超わかりやすい説明が最高。
映画が面白い面白くないの前に(面白いですけど)、映画館でお客にチケット代を払わせて、大掛かりな漫才協会のプロモーションを展開させてしまう戦略に舌を巻く。硬直化した社団法人に大きなメスを入れていく改革派・塙宣之の凄さに首を垂れるのみ。
抱腹絶倒のコメディだと意気込んで観に行ったら(もちろんそのような要素が大きいのだが)、特に後半は意外とシリアス・モード。現代にタイムスリップしてきた侍の姿を通して、オワコンと化した時代劇とそれに抗う者たちというテーマが前景化していく。冒頭から思いっきりアフレコ丸出しで驚いたのだが、かつての時代劇オマージュってことですか?
『生きてるだけで、愛。』もそうだったけど、関根光才監督は壊れた関係性にグラデーションをかけて、揺らぎを与えるのが抜群に巧い。主演の杏の演技はもちろんだが、『ガンニバル』の猟奇おじさんと真反対な役を演じる酒向芳のいい人っぷりが良き。
施設に入れられても逃避行を繰り返し、居場所を求めてもがき続ける9歳の女の子の強烈な記録。題材としてはかなりエグいのに、高速ビートなサウンドと淡い色調のカメラで、ポップな冒険譚という印象に。そして清涼感すら感じるラストの切れ味!
写真家ナン・ゴールディンの姿を通して、70年〜80年代のNYアンダーグラウンドカルチャー史と、製薬会社との闘争を並行して描くドキュメンタリー。彼女にとって芸術が闘争であり闘争が芸術であるからして、トリッキーな構成も実は必然的な選択。見事。
予告からもジュラシック・パークみがあることは分かってたけど、それ以上にロスト・ワールドみが強くて、ゴジラみ強し。それでいてちゃんと感動に着地させるのだから、脚本を務めたモラルさんの力量に感服しきり。
恋と海と太陽と歌とダンスと(面積少なめの)水着と嘘と嫉妬と情熱がフーワフーワ!フーワフーワ!(語彙力)
田中裕子はAIになっても磁場が凄い。
怒れる映画作家ラジ・リが、その怒りを真っ当に表出した移民たちの物語。その怒りの矛先をどう向けるべきかを、ラストシーンで雄弁に語っている。
原作がつげ義春だし、監督が片山慎三だし、アングラなエロス全開の白昼夢ムービーだと思っていたら(実際そうなのだが)、メランコリックな抒情性をたたえたラブストーリーだった。森田剛がいよいよ怪優としての存在感を発揮している。
オープンワールド系のお話だなと思ってたら、ウェス・ボールって映画版「ゼルダの伝説」の監督をやるんですね。納得。
貧困、クスリ、暴力、その身体に全ての地獄背負った少女が、他者と繋がることで光を見出そうとする物語。糸の切れた凧のように、居場所を求めて彷徨い続ける河合優実の表情を見ているだけで、胸が締め付けられる。あと、佐藤二朗がいつも通りの佐藤二朗芝居をしているのに、入江悠がその奥に潜むドロドロした部分を冷徹に見つめたことによって、清濁合わせ飲んだキャラクターになっているのが良き。
シビル・ウォーの危機をMCU的な超能力ではなく音楽の力で融和へ導いた実在のヒーローの伝記映画…ってそれ、今最も世界に必要な作品じゃないですか。今年のスローガンはONE LOVEでいきましょう。ピース。
反ユダヤ主義的暴言でクリスチャン・ディオールのデザイナー職を失った、“ファッション界の革命児”ジョン・ガリアーノのドキュメンタリー。ケイト・モスとかナオミ・キャンベルとか、90年代を彩ったファッション・ミューズが出てきてちょっと感動。あと、声のトーンといい、抑揚の付け方といい、ガリアーノの喋り方がめっちゃ演劇的。他者から自分がどう見られているかを考えているか故に、まるでサーカスの団長が前口上をしているような話し方なのがオモロい。全体の3/4までは彼のサクセス・ストーリーになっているので、すっかり彼のキャラクターに魅了されたところで、不意打ちのように暴言が映し出される構成も巧み。
雨後のタケノコのごとく作られるヒトラーものだが、反戦メッセージをしっかり伝えつつ、おっさんの友情を描いたハートウォーミング映画になってるのが新規軸。とりあえず隣にウド・キアが引っ越してきたら普通に怖いと思う。
貧困、格差、暴力が蔓延する社会の理不尽を容赦なく描く、韓国版『グッドフェローズ』。何よりも、映画初主演となるヨンギュ役のホン・サビンが凄い。あの虚ろな眼差し。彼を見ていると、昔の青春映画の香りがする。
タイトル通り時空を超えた甘酸っぱい恋愛映画…と思いきや、想像の斜め上に展開していく切な系。ポエティックな雨の描写が良き。主演のチョ・イヒョン、ちょっと唐田えりかに似てる。
認知症の藤竜也と息子の森山未來の失われた絆を描く物語…というよりも、時系列を複雑に入れ替えつつ、”その時何があったのか”をミステリー的な語りで描く。画と音楽に不穏さが充満してる。とにもかくにも藤竜也の演技が圧巻。
物流というシステムに着目して、我々も歪んだ超資本主義に加担しているという告発的構造は、さすが野木亜紀子。だが繋ぎ目が性急すぎる編集(特に前半)はちょっと気になる。あ、あと火野正平と宇野祥平が親子という設定は天才かと(笑)。
大人のラブコメ。神経質でスランプ気味の作曲家というインテリ像はウディ・アレン的だが、監督のレベッカ・ミラーは体温の高いファミリー・ドラマとして構築。場を全て掌握してしまうアン・ハサウェイの飛び道具的キャラには目を見張った。
ワールドカップ予選史上最悪の0-31の大敗を喫した米領サモアチームの奇跡を、タイカ・ワイティティがユーモアたっぷりに描くヒューマン・コメディ。マイケル・ファスベンダー、『ザ・キラー』の殺し屋との落差が凄すぎるだろ。
ユアン・マクレガーと、実の娘で俳優・プロデューサーのクララ・マクレガーが親子役を演じるロードムービー。以上。
2024年屈指の<どうかしている映画>。これ以上は何もいえません。
中西部の田舎町を舞台にした前作から、摩天楼にやってきた今作は80年代のオリジン要素満載。本シリーズはNYという都市を描いた作品であることに気付かされる。家族の物語でありつつ都会派コメディ感が戻ってきた!
第1作が正統派アクション、第2作がアボット&コステロみたいなコメディだったのに対し、今回はまさかのロードムービー形式。意外とこのシリーズは、あの手この手でパターンを変えてくる。
『孤狼の血』シリーズで知られる柚月裕子の警察ミステリーを映画化。非常によく練られたストーリーだし、役者陣も見事だとは思うが、少々演出が野暮ったいのが気になる。
熟年夫婦のW不倫と聞くとドロドロ恋愛話になりそうだが、大人の余裕で痛快ロマコメになっちゃうのが凄い。リチャード・ギアの娘役がエマ・ロバーツというプリティ・ウーマンを意識した配役も巧み。ギアは永遠のアメリカン・ジゴロだな。
シャマランの血は争えない。
台湾ニューシネマの系譜を正統に継ぐ、優しさと厳しさが同居した一本。富豪の人妻ヤン・ジュンメイを演じる門脇麦の目力!
歪んだ支配欲に駆られた男女と、50人もの死者をだした薬害事件と、介護施設で起きた殺人事件。3つの糸が1つに収斂していかないのはなんでだろ。
エディット感覚やショットの切り取り方にパトリック・ディキンソン監督の才気を感じることはできるが、ワン・シークエンスの余韻だけで映画を引き延ばしているかのような感じもあり。とにもかくにも、人生に絶望している男を演じさせたらリリー・フランキーの右に出る者はなし。
白石を演じる矢本悠馬。アシㇼパ役の山田杏奈。そしてもちろん、もちろん主人公の杉元佐一を演じる山﨑賢人。とにかくキャスティングが神がかってます。
超有名童話を残虐と殺戮のバイオレンス・ホラーに転化。後半はいじめっ子たちを次々と血祭りに上げる「キャリー」状態。どいつもこいつも絵に描いたような嫌な奴なのがマル。
とにかく混乱した。とてつもない映像を目の当たりにしているはずなのに、映画的カタルシスはゼロ。残念ながらノーランとは一生分かり合えないのかも。
『フォードvsフェラーリ』のような痛快レース映画というよりは、妻のペネロペ・クルスとヒリヒリするような攻防戦が繰り広げられる、ハードな『マリッジ・ストーリー』。濃厚だけどストーリーに吸着力はなくて、いまいちノリきれなかった。たぶんマイケル・マンは意図的に自分の作家性を放棄している。整理すると、
クローズアップ、ミディアムショット、グループショットを秒速で切り替えるカット割り、微妙に噛み合わない会話、何気ない小道具の使い方。“自らの逮捕経験に基づく長編作”と聞き社会派映画と思いきや、実は演劇的な群像劇。僕もこんな仲間が欲しかった。
スティーブン・キング原作の田舎ホラー。サスペンス描写が盛り上がってきた!と思ったら、ピーター・ホートン&リンダ・ハミルトンのほんわかドライヴ・シーンとカットバックさせるものだから、全然恐怖が持続しない。トウモロコシ畑に水を撒く終盤の展開も、いまひとつ理由がよく分からず。女の子の名前がサラというのは、やっぱりサラ・コナーにちなんだものですかね?公開時期的に絶対違いますけど。
才能礼賛主義で究極にホモソーシャル的な、サッカー版「イカゲーム」。
俯瞰のワンシーンワンカットとか、時々とんでもなく映画的なショットがインサートされてビックリする。
僕にはNot For Meな作品だった。管理社会に対する若者からの異議申し立てというテーマが真正面すぎるし、戯画化されすぎてるし、会話も陳腐に聞こえる。彼らが渇望する自由ってハグしたりタバコを吸う程度なのか?若者たちの演技はナチュラルで素晴らしいです。
いえ、特にスオミについて話すことはないです。
遅々として進まない物語、表層的で稚拙な会話。「踊る」シリーズの“再始動”は喜ばしいものの、君塚良一のシナリオはすでにオワコンであることを白日の元に晒してしまった。「山」という暗号に「川」と答えるシーンがあって、いくらなんでもそのセンスはヤバすぎる。
ブラムハウスのB級ノリが全部悪い方向にふれてしまった。
AWARDS
- 作品賞
- 『オッペンハイマー』 クリストファー・ノーラン
- 『アメリカン・フィクション』 コード・ジェファーソン
- 『落下の解剖学』 ジュスティーヌ・トリエ
- 『バービー』 グレタ・ガーウィグ
- 『ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ』 アレクサンダー・ペイン
- 『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』 マーティン・スコセッシ
- 『マエストロ: その音楽と愛と』 ブラッドリー・クーパー
- 『パスト ライブス/再会』 セリーン・ソン
- 『哀れなるものたち』 ヨルゴス・ランティモス
- 『関心領域』 ジョナサン・グレイザー
- 監督賞
- クリストファー・ノーラン (『オッペンハイマー』)
- ジュスティーヌ・トリエ (『落下の解剖学』)
- マーティン・スコセッシ (『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』)
- ヨルゴス・ランティモス (『哀れなるものたち』)
- ジョナサン・グレイザー (『関心領域』)
- 主演男優賞
- キリアン・マーフィー (『オッペンハイマー』)
- ブラッドリー・クーパー (『マエストロ: その音楽と愛と』)
- コールマン・ドミンゴ (『ラスティン: ワシントンの「あの日」を作った男』)
- ポール・ジアマッティ (『ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ』)
- ジェフリー・ライト (『アメリカン・フィクション』)
- 主演女優賞
- エマ・ストーン (『哀れなるものたち』)
- アネット・ベニング (『ナイアド 〜その決意は海を越える〜』)
- リリー・グラッドストーン (『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』)
- ザンドラ・ヒュラー (『落下の解剖学』)
- キャリー・マリガン (『マエストロ: その音楽と愛と』)
- 助演男優賞
- ロバート・ダウニー・Jr. (『オッペンハイマー』)
- スターリング・K・ブラウン(『アメリカン・フィクション』)
- ロバート・デ・ニーロ(『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』)
- ライアン・ゴズリング(『バービー』)
- マーク・ラファロ(『哀れなるものたち』)
- 助演女優賞
- ダヴァイン・ジョイ・ランドルフ (『ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ』)
- エミリー・ブラント (『オッペンハイマー』)
- ダニエル・ブルックス (『カラーパープル』)
- アメリカ・フェレーラ (『バービー』)
- ジョディ・フォスター (『ナイアド 〜その決意は海を越える〜』)
- 脚本賞
- ジュスティーヌ・トリエ、アルチュール・アラリ (『落下の解剖学』)
- デヴィッド・ヘミングソン (『ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ』)
- ブラッドリー・クーパー、ジョシュ・シンガー (『マエストロ: その音楽と愛と』)
- サミー・バーチ (『メイ・ディセンバー ゆれる真実』)
- セリーヌ・ソン (『パスト ライブス/再会』)
- 脚色賞
- コード・ジェファーソン (『アメリカン・フィクション』)
- グレタ・ガーウィグ、ノア・バームバック (『バービー』)
- クリストファー・ノーラン (『オッペンハイマー』)
- トニー・マクナマラ (『哀れなるものたち』)
- ジョナサン・グレイザー (『関心領域』)
- 金熊賞
- 『Dahomey』 マティ・ディオップ
- グランプリ
- 『Yeohaengjaui pilyo』 ホン・サンス
- 審査員賞
- 『L’Empire』 ブリュノ・デュモン
- 監督賞
- ネルソン・カルロス・デ・ロス・サントス・アリアス (『Pepe』)
- 主演俳優賞
- セバスチャン・スタン (『A Different Man』)
- 脚本賞
- マティアス・グラスナー (『Sterben』)
- パルムドール
- 『Anora』 ショーン・ベイカー
- グランプリ
- 『All We Imagine as Light』 パヤル・カパディア
- 審査員賞
- 『エミリア・ペレス』 ジャック・オーディアール
- 監督賞
- ミゲル・ゴメス (『グランド・ツアー』)
- 男優賞
- ジェシー・プレモンス (『憐れみの3章』)
- 女優賞
- アドリアナ・パズ、ゾーイ・サルダナ、カーラ・ソフィア・ガスコン、セレーナ・ゴメス (『Emilia Perez』)
- 脚本賞
- コラリー・ファルジャ (『The Substance』)
- 2024年、2023年、2022年、2021年、2020年、2019年、2018年、2017年、2016年、2015年、2014年、2013年、2012年、2011年、2010年、2009年、2008年、2007年、2006年、2005年、2004年、2003年、2002年、2001年、2000年、1999年、1998年、1997年、1996年、1995年、1994年、1993年、1992年、1991年、1990年、1989年、1988年、1987年、1986年、1985年、1984年、1983年、1982年、1981年、1980年、1979年、1978年、1977年、1976年、1975年、1974年、1973年、1972年、1971年、1970年、1969年、1968年、1967年、1966年、1965年、1964年、1963年、1962年、1961年、1960年、1959年、1958年、1957年、1956年、1955年、1954年、1953年、1952年、1951年、1950年、1949年、1948年、1947年、1946年、1945年、1944年、1943年、1942年、1941年、1940年、1939年、1938年、1937年、1936年、1935年、1934年、1933年、1932年、1931年、1930年、1929年、1928年、1927年、1926年、1925年、1924年、1923年、1922年、1921年、1920年
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