ポップカルチャー系ライター 2025年7月の日記
7月1日(火)
安藤正臣さんをゲストに迎えた、マクガイヤーチャンネル『ジークアクス特集』観る。本物と偽物論やフード演出など「うわー勉強になるー」な内容で、特に90年代&00年代サブカル的問題設定の指摘はホントその通りだと思った。『デデデデ』にもあった宮台真司の「終わりなき日常を生きろ」感があった。
という訳で、引き続き1stガンダムを視聴中。
7月2日(水)
オランダ出身のエレクトロニック・アーティスト、ジュリアン・ミアーの『Gradually』を聴きながら、原稿書き書き。このアルバム、本当に素晴らしい。2025年のヘビロテ盤確定。
7月3日(木)
朝、原稿納品。お昼から銀幕にポップコーン『国宝』回収録。野津さんの長崎話が面白かった。
そのあと日比谷に移動して『ジュラシック・ワールド/復活の大地』試写。海外の評論家筋からは評判が悪いと聞いてたけど、いやいや全然面白いじゃんか。ありがとうギャレス・エドワーズ。ありがとうデヴィッド・コープ。
7月4日(金)
朝から名作『ONCE ダブリンの街角で』を視聴。ダブリンを舞台に、ストリート・ミュージシャンとチェコからの移民女性が織りなす物語。いやホント、とんでもない傑作ですねこれ。ジョン・カーニーの作家性がこの一本にぎゅっと詰まってる。
渋谷まで試写に行ったら、完全に日にちを間違えてた。おいおい!ワシの脳みそ、完全に腐っとるがな!仕方ないので、森の図書室というブックカフェに移動して角田光代の『空中庭園』や西村賢太の『苦役列車』を読む。
そのあとヒューマントラスト渋谷で『かたつむりのメモワール』鑑賞。孤独な女性グレースが、自らの呪いを解き放って自分を見つけるまでの物語。想像以上に陰鬱でブラックでヘビーだが、それはまさしく現実の照射。帰宅後、スペースで駄話。
7月5日(土)
原稿書き書き。全然進まぬ。
紗倉まなさんがCREA Webに寄稿した、「味方なの? アンチなの? 紗倉まなが“AVの世界”と“書くこと”をやめないワケ」というインタビュー記事がすごく良かった。
よく、AVは性犯罪を助長しているとも、その逆で性犯罪の抑制になっているとも言われますが、AVにネガティブな世間の意見に思わず頷いてしまうような作品は散見されますし、そうした企画を自分が演じるとなるとやはり悩んだりはします。ただ、仮に性癖が一般的なものと比べて歪んでいると看做されたり、倫理観が壊れていたとしても、そうした世界が存在することによって、社会に馴染めていない人たちのセーフティーネットにも同時になっているな、とも思うんですよね。
正しい、正しくないを二分法で断定するんじゃなくて、悩みながら世界に向き合おうとする姿にすごく共感してしまった。僕もこの世界が正しい方向に向かって欲しいと思う気持ちと、芸術作品は正しくなさを含んでいるからこそ救われる人がいるんじゃないか、といつも矛盾した感情を抱いているので。すいません、勝手にシンパシーを感じてます。
7月6日(日)
ようやっとU-NEXTで『THE LAST OF US』シーズン2を観る。第2話で衝撃の展開、第7話で驚愕の展開。復讐の連鎖に引き摺り込まれた悲劇。これ、ゲームもこういう展開なんですか?ヘビーすぎて立ち直れないわ。
7月7日(月)
六本木で『大長編 タローマン 万博大爆発』。試写。本来は作品関係者のための披露会だったようで、あちらこちらで挨拶&名刺交換をやってた。部外者のくせに一番前の席に座ってしまいすいません。
そのまま移動して、マクガイヤーチャンネルの収録。『選挙と鬱』特集ということで、青柳拓監督と水道橋博士を迎えてのトーク。おかげさまで面白い話をいっぱい聞けました。神回になったんじゃないでしょうか。
記念写真もパチリ。青柳監督、水道橋博士、ありがとうございました!
7月8日(火)
朝まで原稿書き、納品。自分、2本もコラム書いてやりましたよ。褒めてやってください。
そのあと六本木に移動して、『ラスト・ブレス』試写。僕はいつも情報を何もチェックしないまま試写に行くんですが、なんとなく雰囲気だけでブラムハウス系のホラーと思い込んでた。実際には、取り残された飽和潜水士をレスキューする救出劇だったんで、最初に「これは実話です」というキャプションが出てきて超びっくり。
Tverで『EIGHT-JAM』高橋幸宏特集を見て、細野さんの「それにしてもユキヒロはどこに行ったんだろう。いないことが不思議です」というコメントに涙して、高橋幸宏 featuring 東京スカパラダイスオーケストラの大名曲『WATERMELON』をひたすら聴き返す。幸宏さんがいない3回目の夏なんだなあ。
7月9日(水)
意外な大手からお仕事の依頼。最近執筆させてくれる媒体が減っていたので、本当にありがたい。精魂込めて書かせていただきます。今後ともよろしくお願いいたします。
日比谷に移動して『劇場版TOKYO MER 走る緊急救命室 南海ミッション』試写。実はテレビドラマ版も前作の劇場版も知らずに観たのだが、なるほどこれは確かにウケるのも納得。次から次へと危機的状況が畳み掛けられる展開、ほとばしるヒューマン、力ずくでねじ伏せられるような迫力がある。患者に不安を感じさせないように接する鈴木亮平のドクター芝居も見事。
そのあとTOHO CINEMAS日比谷で『ラブ・イン・ザ・ビッグシティ』鑑賞。巷の評判通り、すっごくキュートですっごくチャーミングな映画だった。素敵ガールのジェヒを演じるキム・ゴウン、素敵ボーイのフンスを演じるノ・サンヒョン(ちょっと大島育宙に似てる)の主演二人の魅力や、スウィート&ビターなストーリーはもちろん、滑り台に寝そべって夜空を見上げるジェヒの視界にフンスが入ってくるショットとか、キャリーケースが坂からゴロゴロ下っていくショットとか、靴に意味性を持たせる手際とか、イ・オニ監督の演出も素晴らしい。
帰宅して仕事しようと思ったが、眠気が凄くて何もできず。明日の俺が頑張るので今日の俺は寝ます。
7月10日(木)
ひたすら書く。ひたすら書く。ひたすら書く。
7月11日(金)
朝、原稿を2本納品。日比谷に移動するあいだ、知らないうちに2人組から5人組になってたWet Legの2nd『moisturizer』を聴く。ワイト島仕込みのポストパンクは、いつ聴いても中毒性高し。M-3「catch these fists」のイントロがフランツ・フェルディナンドの「Do You Want To」みたいでかっけえ。
STUDIO4°Cの新作アニメーション『ChaO』試写。『鉄コン筋クリート』(傑作)や『海獣の子供』(傑作)を世に送り出したSTUDIO4°Cが『人魚姫』を手掛けたら、そりゃこうなりますよねって感じのハイパーアニメーション。冷静に考えるとわりと真っ当なお伽話なんだが、デフォルメが凄すぎて顔も造形もパースもヘンだし、異様にカラフルだし、この熱量には圧倒される。
そのあとヒューマントラストシネマ有楽町で『顔を捨てた男』。『アプレンティス』、『サンダーボルツ*』で“過去を捨てて生まれ変わった男”を演じたセバスチャン・スタンが、今回もREBORNする物語。16mmのザラついたルック、周到な暗喩表現、彼の内面世界にアプローチする手法がいかにもA24!って感じの独特さで面白い。明らかに参照しているであろうリンチの『(The)Elephant Man』に対して、この映画は『(A)Different Man』で、不特定のものを表す=つまり誰にでも当てはまるタイトルになっているのが、すっごく巧み。
そのあとTOHO CINEMAS日比谷で『スーパーマン』。『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』の時からジェームズ・ガンは少年のように真っ直ぐな正義感の持ち主だと思ってたけど、この映画ではそれがMAXに振り切っている。正直言ってキャラも設定もだいぶ渋滞しているし決してスマートな映画じゃないけれど、ジェームズ・ガンの稚気と心意気で全部許してしまう。世界がいま一番必要としている言葉をアメリカ最大のヒーローに語らせるための129分。愛と希望の映画。
7月12日(土)
佐藤雅彦展を見に横浜美術館へ。超楽しかった。昆虫採集のように気になるものを徹底的に集めて、パターン化して、「作り方を作る」ルールを創り出すプロセスが、すっごく柔らかアタマな左脳的思考って感じ。整理整頓されたシンプルデザインにいつも心惹かれる理由が少しだけ分かった。
そのあと、前の会社の上司S部長と同僚O氏とM氏と合流して、野毛で飲み。知らないうちにS部長は還暦を迎えて会社を辞めることになり、O氏の子供は大きくなり、M氏は結婚してた。うーん、時の流れは早いものだなあ。結局7時間くらいくだらない話とすごくくだらない話とものすごくくだらない話をして、夜中に解散。お疲れ様でした。
7月13日(日)
映画ライターの村山さん、友人のM夫婦、H氏、K嬢とランチ会 @ 麻布十番ソウルフードハウス。ポークリブを食べながらあれやこれやの話をして、カフェ ラ・ボエムに移動してお茶を飲みながらあれやこれやの話をする。
エジンバラ出身ジョシュア・マニーのひとりプロジェクトBarry Can’t Swimの2ndアルバム『Loner』を聴く。バウンシーでカラフルなダンス・ミュージックなのに、明らかに生のドラムセクションがあったりして、エレクトロニックとオーガニックのバランス感覚が面白い。歌モノ・ダンストラックとしては、ポストMobyな感じ。
Noah Cyrusの『I Want My Loved Ones To Go With Me』も良かった。アークティック・モンキーズのマイク・クロッシー、PJハーディングと共にプロデュースした2ndアルバム。生まれ育ったナッシュヴィルへの感謝と祈りが捧げられたルーツ・ミュージック。フリート・フォクシーズのロビン・ペックノルドとデュエットしたM-2「Don’t Put It All on Me」も美しいが、政治家だった実の祖父ロン・サイラスの声をサンプリングしたM-7「Apple Tree」が圧巻。
7月14日(月)
なんか知らんうちに仕事が増えている。ありがたいことだけど、うまく処理しきれない。とりあえずひとつずつ片付けていこう。
キタニタツヤのポストをきっかけに、批評とは何ぞやという(何度目かの)議論が白熱している。ちょっと引用してみよう。
純粋な消費者(そのコンテンツの作り手でない人)がチョビ悪意でクリエイターに大ダメージ与えてる様を見るの超凹む 全ての人は「物知りな批評家」より「ショボい(ショボくとも)作り手」であってほしい 誰もがクリップスタジオペイントを3時間触って綺麗な線の引けなさを知るだけで、この世は…
僕は批評家というスタンスではないので、その界隈の方とは考え方は違うかもしれないけれど、例えるならクルマ本体が「作品」で、サスペンションとかカーステとか日々のカーライフをより豊かにするのが「批評」で、一緒に併走すればいいと思っている立場だ。正直、「批評」もひとつの「作品」なり!という考え方には至っていない。「作品」がなければ「批評」もない訳だから。
もちろんクルマによって、そのパーツが合わなかったり不具合を起こすことはあり得る。でも、その批判的な「批評」が蓄積されて、新しい「作品」の可能性の扉を開くことは全然ありえる。どのような形であれ、お互いに手を携えてシーンを盛り上げていければいいんじゃないかな、と思ってます。
7月15日(火)
朝、やっとこさ原稿を納品。日比谷に移動して、『Dear Stranger/ディア・ストレンジャー』試写。黒沢清映画の常連である西島秀俊(しかも廃墟の研究者という役)と、ディアオ・イーナン映画のミューズであるグイ・ルンメイが共演したら、想像以上に蠱惑的なサスペンスが出来上がった。普遍的な家族な話でありながら、真利子哲也監督が一貫して描いている暴力も(これまでとは別の角度で)きちんと刻印されている。多言語によるディスコミュニケーションという意味では、『ドライブ・マイ・カー』の延長線上にあるような作品なのでは。
そのあとヒューマントラスト渋谷に移動して、町山智浩さんが絶賛していた『ストレンジ・ダーリン』鑑賞。なるほどこりゃ凄い。6章形式なのに3章から始まる時系列操作(タランティーノ的)、手前と奥にピントが当たるディオプターレンズ(デパルマ的)、ヴィヴィッドな色彩設計(レフン的)、全てがツボ。調べてみたら、撮影監督が『プライベート・ライアン』に出てたジョヴァンニ・リビシだったのか。びっくり。
帰宅後、新宿ハードコア傑作選で公開される作品のひとつ『ハードコアの夜』を視聴。カルヴァン主義を信奉する男(聖)がポルノ業界(俗)と邂逅することで神の問題を捉え直すという構造が、完全にポール・シュレイダー。ラストの展開がめっちゃ『チャイナタウン』なのがびっくり。
テレビ東京のフェイクドキュメンタリーシリーズ「TXQ FICTION」第3弾『魔法少女山田』第1話鑑賞。次回以降も興味を惹きつけるクリフハンガーとして完璧なのでは。唄うと死ぬ歌という都市伝説→変なバラエティ番組→魔法少女アニメが怖い女子大生→まさかのトム・ブラウン→謎の自主映画って、面白過ぎるだろ!ジークアクスの次は山田祭り。
7月16日(水)
Netflixで『火垂るの墓』見て、Tverで『水ダウ』見て、YouTubeで参院選番組見て(爆笑問題・太田光が各党の代表にガンガン質問するやつ)、情緒めっちゃくちゃ。
古書防破堤で開催された南波克行さん×西田博至さん×篠儀直子さん(進行)の『メガロポリス』&『ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング』映画クロストークを配信で拝見。特に『メガロポリス』のスフィンクスの謎に関する考察にはシビれた。キケロが杖を捨てるタイミングにそういう意味を見出せるとは…確かに…。
7月17日(木)
日比谷で『映画クレヨンしんちゃん 超華麗!灼熱のカスカベダンサーズ』試写。信じられないかもしれないけど、「もしもトム・クルーズがボリウッド映画に出演したら?」みたいな作品だった。
そのあと移動して、「銀幕にポップコーン」の収録。『火垂るの墓』と「上半期ベスト3」の2本撮り。自分の好きな作品を上手にプレゼンできない病は、可及的速やかに治したい。
あとは「ポリタスTV」の「古川英気の米国民主主義点検 #1」を見たりする(なんと4時間の大ボリューム!!)。古川さんの解説がホントに明快で分かりやすくて、数年前からちょくちょく見させてもらっている。トランプ政権の現在、アメリカの現在を知るうえでとても勉強になりました。これが無料ってありがたすぎる。
7月18日(金)
内幸町で『近畿地方のある場所について』試写。映画ライター/コラムニストのアナイスさんがいらっしゃったので、隣の席で仲良く鑑賞(できるだけ僕がビビっていることが分からないように、身体を逆方向にねじまげてた)。特に前半はそうとう怖かった…。
そのあとカフェで少し話をし、新宿に移動して山田さん、野津さんの「銀幕にポップコーン」組と合流。お洒落チャイニーズに舌鼓を打ちながら、よもやま話。楽しかった!また飲みましょう。そしてカラオケ行きましょう。
帰宅後、必死に原稿書き。編集の皆様、納品遅れてしまってすいません。見捨てないでください。
7月19日(土)
やっとこさ原稿を納品。三連休アタマにメールしてしまって本当にすいません。次の原稿の調べ物をしつつ、今日はわりとダラダラモード。夜中にスペースで3時間ほど駄話。
7月20日(日)
投票に行って、軽く仕事して、サイゼリヤに行ってご飯食べる。それにしても暑い。暑い。暑すぎる。ってな訳で、EVISBEATSとNagipanのコラボアルバム『萃点』をずっと聴いていた。殺人的酷暑から僕たちをレスキューしてくれるのは、チルでローファイなこういう音楽。なにやら耳慣れないタイトルは、民俗学者・南方熊楠が遺した造語で、「さまざまな物事が集まる場所」という意味らしい。才能と才能が交差する場所、という解釈で良いのかしら。
あと、何か知らんうちにフィジカル・オンリーだったサム・ゲンデルの4曲入りEP『Run Club』が配信リリースされてた。ラオスの民族楽器ケーン(いわゆる口オルガンらしい)+ラップトップ・ミュージックによる極上ご機嫌オンガク。たまらんな。
夜、参議院選挙の結果を見る。まあどの党に投票するかは人ぞれぞれでいいんだけど、ここまで右から左までの幅広い価値観を「多様性」として受け止められるだけの覚悟が自分にあるかどうか、本気で考え込んでしまった。映画『教皇選挙』で、保守派のデデスコが「俺たち枢機卿だって、英語とかイタリア語とか、同じ言葉を喋る同士でグループを作ってるじゃんか。価値観が同じ者同士でつるんでるじゃんか。多様性なんて夢のまた夢だぜ(超意訳)」って言ってたのを思い出したり。
「みんな違ってみんないい」って言葉としては綺麗だけど、たぶん多様性って実際にはドロドロでギスギスで、怨念とヘイトが覆い被さってくる。それでも他者の言葉に真摯に耳を傾け、自分の価値観と照らし合わせていく必要がある。それだけの度量が本当にあるのか俺。今回の参院選は、ものすごく自分を試されている気がした。
7月21日(月)
Fred Again…の『Ten』で、Jozzyと共にフィーチャーされていたJim Legxacyの新作ミックステープ『black british music(2025)』を聴く。きらびやかなポップス、疾走感のあるギターロック、トライバルなアフロビーツを万華鏡のように横断する、おもちゃ箱のようなUKラップ。
Unknown Mortal Orchestraのジェイコブ・ポートレイトと共同プロデュースしたAlex Gの10thアルバム『Headlights』も聴く。耳馴染みよく聞けてしまうインディーロックだけど、よくよく耳を澄ますとノンコードトーン(非和声音)がバリバリ入ってる。アメリカーナを現代に甦らせた一枚。
マクガイヤーチャンネルの「緊急特番 町山智浩出演『スーパーマン』とジェームズ・ガンとアメリカのいま」、観る。隅から隅まできゃー勉強になるーな内容。『ジークアクス』とか『国宝』とか後半のダラダラ雑談トークも楽しい。むしろテーマを設けない雑談形式で定期的にやればいいのでは?と思ったり。
夜はTverで『ダブルインパクト〜漫才&コント 二刀流No.1決定戦〜』を視聴。どう考えてもななまがりが一番面白かったんだが、下位に沈んでがっかし。
あ、原稿もちゃんと書いてます。書いてます。書いてます。
7月22日(火)
朝、やっとこさ納品。あー疲れた。
「魔法少女山田」第2話見る。魔法少女の格好をして子供たちに勉強を教える中年男性の悲哀がほとんど『ザ・ノンフィクション』で、前回のトム・ブラウンからの急ハンドルっぷりにびっくり。「実は彼は子供が怖いらしい」というプチ情報がジワる。
夜は新宿の上海小吃で、マクガイヤーさん主催飲み会。初めましての方もチラホラ。いいトシした大人たちが舌鼓を打ちながら『スーパーマン』やら『ジークアクス』やらJホラーの話をし、移動してパフェを食べながらドウェイン・ジョンソンやらYMOの話。この年齢になってこういうトークができるのって素晴らしいっすね。あざした!また遊んでください。
7月23日(水)
昼から渋谷で『マルティネス』試写。偏屈おじさんの人生再発見ムービーというフォーマットに新奇性はないものの、主演を務めるフランシスコ・レジェスの圧倒的チャーム、ロレーナ・パディージャ監督の画面奥で芝居をさせる構図の切り取り方、ちょっとアンビエントな劇伴によって、すっごくフレッシュな手触りの映画に仕上がっている。ラストショットがとにかく美しい。
続いて、『六つの顔』試写。人間国宝の狂言師・野村万作の生涯を追ったドキュメンタリー…と思いきや、後半は狂言「川上」をまんま上映するという規格外スタイル。最近犬童一心って、田中泯の生き様に迫った『名付けようのない踊り』とか、バイタリティおじいちゃん密着型ドキュメンタリーに重心を置いているよね。
そのあと、ジャック・ロジエ監督が1970年に発表した『オルエットの方へ』を鑑賞。パリジェンヌの素敵ガールズが海辺の別荘でワチャワチャする前半から、ちょっとずつ関係性がギクシャクして倦怠ムードになり、日常に戻っていくアフターパーティ感までが最高。そして、ボートを押しながらダッシュするシーンとか海辺を馬に乗って駆け抜けるシーンとか、横移動のドリーショットが運動感に溢れていて本当に素晴らしい。ジルベールのクッキングシーンもめちゃめちゃチャーミング。50年以上昔の映画だけど、今年観た映画の中でトップクラスに好き。
という訳で今日は、映画美学校→ユーロライブ→ユーロスペースと、同じビルを下から上に移動した一日。餃子の王将で夕食を済ませて帰宅。
U-zhaanの新譜『Tabla Dhi, Tabla Dha』が最高。鎮座Dopenessとコラボした「Five Echo」でテンション上がり、Corneliusとコラボした「You & I」で宇宙に誘われ、青葉市子とコラボした「きこえないうた」でほっこりし、坂本龍一とコラボした「Tibetan Dance」で泣いてます。
7月24日(木)
六本木で『ホウセンカ』試写。『オッドタクシー』の監督/木下麦、脚本/此元和津也コンビによる、ファンタジックなヒューマンドラマ。まるで80年代の映画を観ているかのような、少しオールドファッションな感覚が逆に新しかったり。
京橋に移動して、『サッパルー!街を騒がす幽霊が元カノだった件』試写。この邦題考えた人天才すぎる。元カレのシアンが仲野太賀にクリソツだった。
帰宅して、フジロックの荷造りして、早めに就寝。5時にちゃんと起きれるのか自分。
あそうそう、ARuFaが作った星野源の『Mad Hope』MV見た。超エッジーでハイセンスだったらワンチャン星野源にフックアップされるかもという夢を抱かせちゃうのが星野源の憎いとこ。そういう意味では確かに、タモリ直系サブカルキングは彼かもしれん。
7月25日(金)
朝5時に起きて、いざフジロックへ!早い時間に越後湯沢駅に着いたこともあって、あまりシャトルバスで待たせられることもなく会場に向かうことができた。今回は初のキャンプなので(ドキドキ)、設営してから会場IN。7年ぶり6度目となる光景が広がっていた。
まずはFIELD OF HEAVENでキリンジ。リハの時は雨だったのに、本番になったらすっかり快晴になってた。「イカロスの末裔」から「非ゼロ和ゲーム」まで、新旧織り交ぜたセトリ。爽快なブラスセクションとファンクなベースラインに腰がくねる。泰行ver.の「Drifter」は思わず泣きそうになってしまった。
RED MARQUEEに移動して青葉市子。彼女は音楽家じゃなくてもはや魔法使いだと僕は認識しておりますが、文字通りマジカルなステージ。クソ暑い室内を、たった一人の演奏で一気に涼やかな空間に変えてしまった。タイムテーブルが出たとき、「むかし木道亭で演奏してた人がRED MARQUEE?」と訝ってたど、万華鏡スクリーン含めシアトリカルなセットが組まれていて、なるほどと納得。それにしても「いきのこり●ぼくら」って本当にいい曲だな…。
GREEN STAGEでVaundy。ほとんどメディア露出がないから(紅白くらい?)、なんとなくご機嫌なポップスターというイメージしかなかったけど、ライヴ見たら「トリまで体力温存してる?許さねえ」とかコメントがいちいち不遜で大胆不敵なビッグ・ロックスターで、むしろそれがいい感じ。そしてこの人のパフォーマンスは大きなステージによく映えますな。目の前で男の子女の子6人組が仲良く背中を揺らせて観ていたのが微笑ましかった。
Ezra Collectiveとどっち見ようか迷ってたけど、GREEN STAGEにとどまってFred Again..。機材トラブルで遅延したから、Ezraを見にFIELD OF HEAVEN行っても良かったんだけど、往復が面倒くさくて諦めた(体力ない)。で実際にライヴが始まったら、1時間30分の遅延を吹き飛ばす圧巻のステージ。卓を睨んでるだけなのかなと思ってたら、ほぼ生演奏で、客のアオリもあって、ハイタッチしながら花道抜けて、こんなに躍動的なパフォーマンスとは知らなかった。そしてこの人の音楽にはエモーションがある。感情に訴えかけるダンスミュージックとかマジ最強じゃないですか。
7月26日(土)
フジロック2日目、今日もいい天気である。GREEN STAGEの傾斜エリアに、日陰の最高の場所を確保したんで、今日はここから一歩も移動しない所存。あ、最後はどっか移動するけど。

まずはCA7RIEL & Paco Amorosoことカトパコ、いきなり炎をバックにマイケルジャクソンばり仁王立ちスタートで、そこから猥雑セクシーなエレクトロ・ヒップホップの乱れ打ち。70’sなグルーヴとハーモニーが官能的。溢れる性春!って感じ。
続いて君島大空。この人の音楽って、棒で脳を直接ぐりぐり掻き回されるような感覚があるんだけど、生で観たら棒どころかハンマーでカチ割られるような感じだった。バリバリの変拍子と変態的グルーヴ、ディストーションの強いギターでクラックラする。
続いてSTUTS。サウンドチェックで「Presence」かかってたので、始まる前からテンション↑。出てきたら、「僕のことを知らない人もたくさんいると思うので…」と、GREENを飾るアーティストとは思えないスーパー謙虚コメント。そのあとはDaichi YamamotoとかPUNPEEとかスチャダラパーとかtofubeatsとか鎮座DOPENESSとかKMCとか、とにかくゲストが豪華なこと!ずっと楽しい。
そして、いよいよ山下達郎。上から見ていたからはっきりわかったけど、ちょっと信じられないくらいに人で埋め尽くされていたし、動線が完全に止まっていた。こんなのフジロックで初めて見た光景かも。で、ヤマタツ先生がいつものように猫背で現れて、「Sparkle」のイントロをカッティングギターだけで演奏するやいなや、会場大興奮。カッティングだけでこれだけの熱狂を呼び起こすとは。「プラスティック・ラブ」でまさかの竹内まりやがサプライズ出演、そのままコーラス隊に加わって「Ride On Time」とか「恋のブギ・ウギ・トレイン」とかを歌ってくれてた。最後は僕がヤマタツで一番好きな曲「さよなら夏の日」をやってくれたので大満足。「綺麗なお姉さん手拍子してね、美しいおばさん手拍子してね」っていう、「別嬪さん、別嬪さん、1人飛ばして別嬪さん」みたいな客イジリはどうかなと思ったけど、まあ控えめに申し上げて伝説を目撃させて頂きました。
White StageでFour Tet見ようかなと思ったけど、なんだか問答無用に楽しい気分になりたくて、FIELD OF HEAVENでEGO-WRAPPIN’。いやもう最高ですね。今年で30周年なんだって。山下達郎も50周年。僕はフリーライターになってまだ2年。頑張らなあかん!HEAVENからの帰り道はいつものようにフォトジェニックだった。

深夜になって、パレスワンダーでさくらサーカスのパフォーマンスを観る。空中くるくるがホントにこっちに飛んできそうなくらいで「ちょ、ちょ」の連続。こういうのもフジロックのええとこ。オススメやで。

Xでフジロック関連のタイムライン漁ってたら、サンボマスターのライヴにヒロトとマーシーが登場して、ザ・クラッシュの「白い暴動」をやってたらしいね。動画見たら山口隆泣いてたもん。もはや「さんま・玉緒のお年玉!あんたの夢をかなえたろかTV」みたいなノリじゃんか。
7月27日(日)
フジロック3日目。まずはFIELD OF HEAVENでゆったりとShe Her Her Hers。涼やかでスペーシーなオルタナティブロック。この空間にぴったり。
そのあとは特に見たいやつがなかったので、GREEN STAGEへの迂回路の途中にある林で涼んでた。こういうのもフジロックのええとこ。わりとしっかりWHITE STAGEのMONO NO AWAREの演奏も聴こえてくる。

GREEN STAGEに移動して、森山直太朗をラスト10分だけ観たあと、Creepy Nuts。前方にいたそこそこご高齢の御婦人を踊り狂わせてたから、やっぱこの人たちって凄いんだな。後半はアリーナエリアで間近で彼らの音楽を体感。「オトノケ」マジでかっこいい曲だわ。
続いてLittle Simz。「俺、こんなに彼女の音楽が好きだったんだ!」ってことを改めて思わせてくれる最高のパフォーマンス。今年のベストアクトかも。ベーシックなラップの上手さ、Here We Goと言ってから最高のタイミングでイントロに入るクールさ、トンボを怖がるチャーミングさ(shit!って言ってた)、ぜんぶ最高。それにしてもサッカー日本代表のシャツ着てたの何で?しかも3番って、駒野のファンか?ちなみにドラムを叩いてたMorgan Simpson、元black midiの強者ドラマーです。
White Stageに移動して羊文学。観るのは単独に続いて2度目だけど、いつにも増してギターがラウドでグランジ感あった。「Burning」とか音圧ヤバすぎたし。そしてそれに全く負けない塩塚モエカのヴォーカル。「ありがと…」の声の小ささとのギャップったら!Little Simzとは違って、塩塚モエカは肩にセミが止まっても微動だにしなかったけど。
で最後は、HAIM。今年のフジロックは半分HAIM目的だったんで、当然前列で観た。想像以上に彼女たちはロックスター。ダニエルの立ち姿の美しさ、アラナの煽りっぷり、そして般若みたいな形相でブリービーなベースラインを爪弾くエスティ。3人が揃ってるだけで眼福。「Summer Girl」は泣いたよ。
帰り道のGreen Stageで、1950’s Western Caravan Orchestraの演奏に遭遇。尾藤イサオ81歳がゴキゲンに歌ったあと、今度は加藤登紀子81歳が「百万本のバラ」を歌ってた。僕もこういう元気な老人になりたい。
という訳で3日間のフジロック、これにて終了。ありがとう苗場。ありがとうフジロック。ありがとう木々たち(©ヨンス)。

…あ、なんかXで「参政党みたいな差別集団に投票した奴らフジロック来るな」みたいなコメント見かけたんで僕の意見を最後にちょっとだけ言わせてもらうと、もちろん音楽に政治性はあるしそれを否定する気はないけど、政治とは関係なくあらゆる党派・属性の人々が繋がることができるのも音楽の良さである訳で。まあ間違いなくフジロックは左派的空間だとは思うし(毎年津田大介さんがトークでやって来ているし)、保守的でアクチュアリティに重きを置いた考え方とはまるで違うのはわかるけど、真の多様性を考えるためにも開かれた場所であってほしい、と思ってます。というか今の時代にあって、音楽って「自由の最後の砦」くらいに思っているんで自分。
7月28日(月)
クタックタになって昼くらいに帰宅。少し仕事しようと思ったがカラダが言うことを聞かず、ほとんど寝てばっかりの一日になってしもうた。ごめんなさい、明日から働きます。
個人的フジロック事件簿ベスト5はこんな感じ。
5位:STUTSのベシャリが終始カミカミ
4位:リトル・シムズがご機嫌にラップしてたらトンボに襲われる
3位:塩塚モエカ肩にセミが止まっても微動だにせず
2位:竹内まりや降臨でおじさんたち大興奮
1位:尾藤イサオ81歳に見えない
フジロック関連のタイムラインを眺めてたら、日本人の母を持つブルックリン・ベースのシンガーソングライターMei Semonesの評判がえらく良くて、どれどれと思って聴いてみたら、カーディガンズみたいなアンビエント・ポップと小野リサみたいなボサノバをミックスさせたような、完全に僕好みのサウンドだった。という訳で1stアルバム『Animaru』をずっと流している。
夜中に『魔法少女山田』第3話観た。個人的妄想ですが、これは三田監督が新しい映画を撮るために山田を自殺に追い込み、「唄うと死ぬ歌」を拡散し、エサにかかった貝塚陽太を操ったのではないかと。貝塚のYouTubeの上層レイヤーとして三田のドキュメンタリー映画があって、そのドキュメンタリーの上層レイヤーとしてTXQ FICTIONがあるという、マトリョーシカ構造も巧み。
7月29日(火)
遅れてたぶんを取り戻すために、行きつけの喫茶店でせっせと原稿書き。一本納品してからの帰り道、近所にサーティワンアイスクリームができていたので、思わずチョコミントを買ってしまった。っていうか僕のなかで、サーティワンはチョコミント以外の選択肢がないのです。スーパーマリオとコラボしているらしく、やたら店内でマリオの音楽がかかってた。
仕事で市川崑版の『野火』観る。戦争という悲劇を徹底的に客観視する、市川崑流“反戦映画”。放り捨てられた銃と人の影がクロスして十字架が浮かび上がるとか、銃弾が飛び交うなか主人公が両手を挙げているとか(神への祈り&賛美)、神=救済を直接的な言葉ではなく、映像的な隠喩として忍ばせていくタッチが素晴らしい。
フジロックのパフォーマンスがあまりにも素晴らしかったので、Little Simzばっかり聴いてた。最新アルバム『Lotus』も良かったけど、2022年リリースの『NO THANK YOU』はホント名盤。今は袂を分かったプロデューサーinfloとのコラボが分子レベルで化学反応を起こしていて、特にM-2「Gorilla」とM-4「No Merci」は何度聴いてもブチあがる。
7月30日(水)
引き続き原稿書き。仕事の合間をぬって、えらく評判の高い『この夏の星を見る』を遅ればせながら観にいく。なるほど、確かに桜田ひよりはじめキャストは魅力的だし、「夏を迎え撃つ」とか「星をキャッチする」とかのパンチラインもバンバン出てくるが、東京・茨城・長崎の三ヶ所で展開されるコロナ禍青春グラフィティを均等に配分しているために、個々のエピソードがどうしても弱い。エモの爆発っぷりは認めるものの、逆にいえば感傷性だけに流れ過ぎている印象。すいません、あまりノレませんでした。
仕事で『サマーウォーズ』再見。何度か見返しているけど、いやー本当によくできているわこの映画。家族+仮想空間という細田守お得意のテーマが、絶妙な語り口で描かれている。見事です。
7月31日(木)
昼に原稿を納品。うん、これで今週はなんとか乗り切った感じ。週明けまでに2本原稿書かなきゃいけないけど、明日の僕と明後日の僕がなんとかしてくれるはず。
京橋に移動して『アフター・ザ・クエイク』試写。村上春樹の『神の子どもたちはみな踊る』を原作に、4つの物語が時空を超えて交錯するストレンジ・ストーリー。監督が『あまちゃん』や『その街のこども』の井上剛で、脚本が『ドライブ・マイ・カー』の大江崇允だから、間違いないことは間違いない。透徹なファンタジーでありながら、どこか死の匂いがする演出が素晴らしい。それにしても近年の日本映画における“謎の女”役は、全て唐田えりかがかっさらっている気がするんだが気のせいですか。
この前『近畿地方のある場所について』試写に行ったあと、
↑こんな感じで、ひらがなを縦読みしたら「みたらしぬ」になるという、だいぶIQの低いおふざけポストをしたら、
公式が引用ポストしてくれた。お恥ずかしい。。。。。















