2025年 映画ランキング&レビュー|竹島ルイのベスト100+α

竹島ルイの独断と偏見による2025年 映画ランキングです。ランキングは常に暫定的なので、明日にも変わるかもしれません。悪しからず。
  • ワン・バトル・アフター・アナザー[DVD]
    ワン・バトル・アフター・アナザーポール・トーマス・アンダーソン

    観ているあいだ、頭のなかでずっと「ヤバい、スゴい、ヤバい、スゴい」を反芻し続けた162分。超ド級の傑作。

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  • 無名の人生/鈴木竜也[DVD]
    無名の人生鈴木竜也

    未曾有の映像体験。光と闇と青春と老いと戦争と暴力と孤独と絶望と愛と無軌道と神とパンデミックと家族が描かれていて、ラストはほとんど『オネアミスの翼』のよう。

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  • ドリーミン・ワイルド 名もなき家族のうた/ビル・ポーラッド[DVD]
    ドリーミン・ワイルド 名もなき家族のうたビル・ポーラッド

    ちょっと信じられないくらいに素晴らしかった。音楽の才能に溢れた弟と凡庸な兄という物語に、ケイシー・アフレック(兄:ベン・アフレック)とボー・ブリッジス(兄:ジェフ・ブリッジス)が出ているだけで、もう落涙。バンドShe & Himのメンバーで、「(500)日のサマー」のサマー役でもお馴染みズーイー・デシャネルも出演。キャスティングが絶妙です。

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  • ブルータリスト/ブラディ・コーベット[DVD]
    ブルータリストブラディ・コーベット

    まさしく巨大な建造物のような映画。プロローグ、第一部、第二部、エピローグの四階建建築に、宗教/国家/家族etc.をぶち込んで、トンマナも気にせずカメラワークや音楽を大胆に変えていく。威風堂々たる大作というよりは狂気の怪作。

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  • Flow/ギンツ・ジルバロディス[DVD]
    Flowギンツ・ジルバロディス

    水没した世界を舞台に1匹の黒猫が冒険を繰り広げる大傑作アニメ。太古の地球に迷い込んだような世界観に完全にやられました。『ロボット・ドリームズ』もそうだったけど、セリフがないことで逆に映像への没入度がマシマシに。これからのスタンダードになるかも。

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  • 今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は/大九明子[DVD]
    今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は大九明子

    ちょっとびっくりするくらい凄い映画だった。全てのショットが神々しくて、全てのショットに魔法がかかっている。これだけ演出に痺れた日本映画は『悪は存在しない』以来かも。大九明子恐るべし。

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  • 『みんな、おしゃべり!』河合健
    みんな、おしゃべり!河合健

    ろう者・クルド人という言語格差を社会問題だけに収めず、終盤ほぼサイレントにすることで、映画の成り立ちそのものに迫っている(最後は、映写機のようなカタカタ音が鳴ってる)。しかも抱腹絶倒のコメディ。凄い!

  • 『旅と日々』三宅唱
    旅と日々三宅唱

    つげ義春の短編漫画を元にした、前半=夏・官能的、後半=冬・牧歌的な、旅のスケッチ集。三宅唱、なんだか物凄いステージまでやってきた。シム・ウンギョンがナレーションで語る「言葉から逃れようとして旅に出る」という感覚、すっごく分かる。

  • 『ウェポンズ』ザック・クレッガー
    ウェポンズザック・クレッガー

    間違いなく2025年を代表するホラー映画。面白すぎてアラレちゃん走りで劇場をあとにしました。

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  • 教皇選挙/エドワード・ベルガー[DVD]
    教皇選挙エドワード・ベルガー

    バチカンという最も保守的な空間を舞台に、多様性という言葉の意味を鋭く問いかける衝撃作。前作『西部戦線異状なし』もそうだったけど、エドワード・ベルガー監督は一枚絵としてのビジュアルの強度と、不安煽りまくりの音響の感性が並外れている。

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  • アフター・ザ・ハント/ルカ・グァダニーノ[DVD]
    アフター・ザ・ハントルカ・グァダニーノ

    ルカ・グァダニーノが暴くのは、大学キャンパスで発生した性加害事件そのものではなく、事件がどのように認識され、語られ、拡散し、収束していくかというプロセス。権力を持つという冷酷な現代のリアリズムを、極めて現代的な視座と、熟成の域にある演出術で描く、見事な作品。

  • 罪人たち/ライアン・クーグラー[DVD]
    罪人たちライアン・クーグラー

    確実に映画館マスト案件。豚や鶏がまるごと入ったドロドロのスープに香辛料をふりかけたような、濃厚すぎるサバイバルホラー。時間が捩れる中盤のワンシーンワンカットには拍手喝采したくなった。批評的で音楽的でライアン・クーグラーの野心が隅々にまで行き渡っている。

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  • 『トリツカレ男』髙橋渉
    トリツカレ男髙橋渉

    最高 of 最高。たくさん勇気を貰える映画だった。ありがとう。僕ももっとトリツカレ人生を歩んでいくよ。

  • 『Dear Stranger/ディア・ストレンジャー』真利子哲也
    Dear Stranger/ディア・ストレンジャー真利子哲也

    黒沢清映画の常連である西島秀俊(しかも廃墟の研究者という役)と、ディアオ・イーナン映画のミューズであるグイ・ルンメイが共演したら、想像以上に蠱惑的なサスペンスが出来上がった。普遍的な家族な話でありながら、真利子哲也監督が一貫して描いている暴力も(これまでとは別の角度で)きちんと刻印されている。多言語によるディスコミュニケーションという意味では、『ドライブ・マイ・カー』の延長線上にあるような作品なのでは。

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  • ドールハウス/矢口史靖[DVD]
    ドールハウス矢口史靖

    これはもうJホラーの歴史に刻まれるレベルの大傑作なのでは。ストーリーが進むにつれてギアが2段、3段と上がっていく展開には目を見張るし、隅から隅までしっかりエンターテイメントしてる。矢口史靖監督恐るべし。ある意味でホラー版サバイバルファミリー。

  • 『オルエットの方へ』ジャック・ロジエ
    オルエットの方へジャック・ロジエ

    パリジェンヌの素敵ガールズが海辺の別荘でワチャワチャする前半から、ちょっとずつ関係性がギクシャクして倦怠ムードになり、日常に戻っていくアフターパーティ感までが最高。そして、ボートを押しながらダッシュするシーンとか海辺を馬に乗って駆け抜けるシーンとか、横移動のドリーショットが運動感に溢れていて本当に素晴らしい。ジルベールのクッキングシーンもめちゃめちゃチャーミング。1970年の映画だけど、今年観た映画の中でトップクラスに好き。ジャック・ロジエ恐るべし!

  • ラ・コシーナ/厨房/アロンソ・ルイスパラシオス[DVD]
    ラ・コシーナ/厨房アロンソ・ルイスパラシオス

    搾取、移民、プロチョイス、差別etc.をNYの大型レストラン厨房に凝縮させた、超社会批評エンターテインメント。メキシコの俊英・ルイスパラシオス監督の、演出の手数の多さに驚かされる。

  • ガール・ウィズ・ニードル/マグヌス・フォン・ホーン[DVD]
    ガール・ウィズ・ニードルマグヌス・フォン・ホーン

    『異端の鳥』を思い起こすほどの地獄めぐりっぷりに驚愕し、デンマークで実際に起きた事件を元にしているということを後で知ってさらに驚愕。ドローン系の電子音楽を使うセンスにもシビれる。ダグマーが何度もいう「いいことをしたね」というセリフは、おそらく自分自身を納得させるための言葉なんだろう。

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  • 『ひゃくえむ。』岩井澤健治
    ひゃくえむ。岩井澤健治

    たった一人で「音楽」を創り上げた岩井澤健治監督が、やはり100M走という個人競技を描きつつ、中盤で男女混合の800mリレーを挟むことで、共同作業をメタに可視化。そして何よりも実験精神と熱い情熱がほとばしってる。そんな映画、最高じゃんか。

  • ストレンジ・ダーリンJ・T・モルナー

    ノーマークだったんだけど、町山智浩さんが絶賛していたので鑑賞。なるほど、こりゃ凄い。6章形式なのに3章から始まる時系列操作(タランティーノ的)、手前と奥にピントが当たるディオプターレンズ(デパルマ的)、ヴィヴィッドな色彩設計(レフン的)、全てがツボ。撮影監督、『プライベート・ライアン』に出てたジョヴァンニ・リビシだったのか。

  • 秋が来るときフランソワ・オゾン

    タイトルからして、ある老婦人の人生の黄昏を描く優しさ満開映画と思いきや、サスペンフルなタッチで贖罪を描く濃厚ドラマだった。剛柔併せ持つオゾンの演出にため息。冒頭のマグダラのマリアのくだりに、本作のテーマが込められている。

  • クィア/QUEERルカ・グァダニーノ

    ウィリアム・S・バロウズの自伝的小説を、ルカ・グァダニーノが映画化するんだから一筋縄ではいきません。ミステリアスな青年アラートンにゾッコンなダニエル・クレイグがひたすら可愛い、マジック・リアリズム的『ベニスに死す』。

  • サブスタンスコラリー・ファルジャ

    男性の有害な眼差し&女性の商品化という問題を、やりたい放題ボディ・ホラーとしてパワフルに昇華した、2025年屈指の問題作。あからさまな『シャイニング』の引用には笑った。

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  • 吉田大八

    筒井康隆の同名小説を吉田大八監督がモノクロで映画化。独居老人の日々をリアリスティックに描く日常系と思いきや、シュールな妄想譚へと急ハンドル。鋭角に物語を切り取っていく吉田大八の並々ならぬ感性と切れ味、そして松尾貴史の異様な存在感!

  • 顔を捨てた男[DVD]
    顔を捨てた男アーロン・シンバーグ

    『アプレンティス』、『サンダーボルツ*』で“過去を捨てて生まれ変わった男”を演じたセバスチャン・スタンが、今回もREBORNする物語。16mmのザラついたルック、周到な暗喩表現、彼の内面世界にアプローチする手法がいかにもA24!って感じの独特さで面白い。明らかに参照しているであろうリンチの『(The)Elephant Man』に対して、この映画は『(A)Different Man』で、不特定のものを表す=つまり誰にでも当てはまるタイトルになっているのが、すっごく巧み。

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  • プレデター:バッドランド/ダン・トラクテンバーグ[DVD]
    プレデター:バッドランドダン・トラクテンバーグ

    すっっっっっっっっっっっっっっっっっげえ面白いじゃんか!!!これがつまらんと言う奴の気がしれんわ!!!そこのお前!俺が相手になったる!!!

  • ファーストキス 1ST KISS塚原あゆ子

    ぶったまげた。松たか子と松村北斗が画面に収まっているだけで愛おしすぎるし、相変わらず名言連発の坂元裕二脚本はチャーミングだし、抑制の効いた塚原あゆ子の演出は見事だし、光に溢れた四宮秀俊による撮影は絶品。恋愛映画の新たな傑作。あと、この映画の硯カンナ&硯駈という名前もそうだけど、「カルテット」の巻真紀(まきまき)とか、大豆田とわ子とか、坂元裕二作品におけるキャラの秀逸な名前問題は今後も考えていきたいテーマ。

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  • DROP/ドロップクリストファー・ランドン

    のっぴきならない状況に追い込まれ、殺人計画に加担させられるという映画はこれまでゴマンとあったけど、これはスマホのDROP機能に目をつけた時点で戦略勝ち。展望レストランという密室シチュエーション、半径15メートル以内に謎の監視者がいるという設定が巧み。面白過ぎて途中からニッコニコですわ。

  • あの歌を憶えているミシェル・フランコ

    死屍累々の超理不尽ムービー『ニューオーダー』の監督ミシェル・フランコの新作とあって身構えていたら、容赦ない冷徹さはありつつも滋味深い優しさもミックスされた素晴らしいヒューマンドラマ。彼は次回作が最も気になるフィルムメーカーになった。

  • 『選挙と鬱』青柳拓
    選挙と鬱青柳拓

    水道橋博士の参院選出馬に密着した映画。最高に面白い選挙ドキュメンタリーであり、還暦レジェンド芸人の青春映画であり、心の病気に向き合った記録であり、そして《裏》三又又三ムービーだった。最後に青柳監督が博士に投げかける言葉が胸アツすぎる。

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  • キムズビデオアシュレイ・セイビン、デイヴィッド・レッドモン

    うわ、最高かよこの映画。伝説のレンタルビデオ店について関係者インタビューする映画と思いきや、途中から舞台がイタリアになってマフィアまで絡んでくる、実はリアル・オーシャンズ11みたいな映画。キムさんの「ゴダールは映画の神だ。だから君たちは正しいことをした」のセリフは泣いた。ひとつだけ自慢すると、僕は90年代に知り合いに連れられてキムズビデオに行ったことがあります。

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  • 『マルティネス』ロレーナ・パディージャ
    マルティネスロレーナ・パディージャ

    偏屈おじさんの人生再発見ムービーというフォーマットに新奇性はないものの、主演を務めるフランシスコ・レジェスの圧倒的チャーム、ロレーナ・パディージャ監督の画面奥で芝居をさせる構図の切り取り方、ちょっとアンビエントな劇伴によって、すっごくフレッシュな手触りの映画に仕上がっている。ラストショットがとにかく美しい。

  • MaXXXine マキシーンタイ・ウェスト

    タイトルにXが三つ並ぶことで『X エックス』シリーズ3作目であることを明示しつつ、テイストは80年代的スプラッターホラー。ヒッチコックやポランスキーの影を感じさせつつ、デパルマを意識した猥雑演出が超楽しい。

  • トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦ソイ・チェン

    復讐×友情がスパークする最高の香港アクション、全人類見るべき。九龍城砦で男たちが覇権を争うというプロットはハイロー感あるし、谷垣健治によるアクション演出は爽快無比。御年73歳サモハンも普通に強い。

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  • ルノワール早川千絵

    相米慎二の『お引越し』を早川千絵監督がアートハウス系にフルモデルチェンジさせたような、ひとりの少女の目を通して家族・社会・孤独を描く物語。一応ルノワールの有名な絵画「可愛いイレーヌ」が出てきたりはするのだが、正直タイトルの意味がよく分からず、印象主義でよく使われる筆触分割(異なる色を隣に並べる手法)みたいに、現実と時間と空間が分割する映画だからなのかな、と。厩舎に紛れ込むショットとか、客船を真俯瞰から捉えたショットとか、主人公のフキがカーテンの奥で幽霊のように佇んでいるショットとか、撮影監督・浦田秀穂によるワンショットワンショットの切れ味がナイフのように鋭い。

  • アプレンティス ドナルド・トランプの創り方アリ・アッバシ

    繊細でウブな若者が、悪名高き弁護士ロイ・コーンから「勝つための3つのルール」を学び、我々の知っているドナルド・トランプへと変貌していく。自らをKILLER(殺人者)と呼ぶ男が世界から耳目を集めるという展開は、『聖地には蜘蛛が巣を張る』と同じ。80年代ドキュメンタリーのようなラフな映像の切り取り方に、アリ・アッバシの天才的センスを感じる。『ボーダー 二つの世界』、母国イランを舞台にした『聖地には蜘蛛が巣を張る』ときて、『THE LAST OF US』『アプレンティス ドナルド・トランプの創り方』とアメリカを舞台にした作品を手がけたのは、アリ・アッバシがこの国を「死にゆく超大国」と捉えたから?

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  • 『シャドウズ・エッジ』ラリー・ヤン
    シャドウズ・エッジラリー・ヤン

    評判通りの大傑作。ラリー・ヤンのカット割多すぎ&超ハイテンポ演出には時々振り落とされそうになるけど(というか一部よく分からんところもあったけど)、エモーションがハンパないのでさほど気にならず。『シャドウズ・エッジ』というタイトルって、コレまでのジャッキー・チェン映画の過去の影(暴力)に足を取られながら、それでも最後の一線に立っている、という状態を指しているんだろか?ある意味70歳を迎えたジャッキーだからこそ付けられたタイトルな気もする。

  • 『フォーチュンクッキー』ババク・ジャラリ
    フォーチュンクッキーババク・ジャラリ

    タリバンが復権したことをきっかけに亡命し、カリフォルニア州フリーモントのフォーチュンクッキー工場で働くアフガニスタン女性の物語。不眠症という設定だったり、濃厚な政治性だったり、もっとハードな内容になっても良さそうなところを、モノクロ/スタンダードサイズ/正面・真横の切り返しショット/オフビート・コメディ演出で、キュートなガール・ミーツ・ボーイ映画になっているのがマル。ブリティッシュ・フォークの伝説的歌手Vashti Bunyanの「Diamond Day」が使われてたり、「一流シェフのファミリーレストラン」のジェレミー・アレン・ホワイトが出てたり、なんかそういうところがいちいちツボだったりします。

  •  『ハウス・オブ・ダイナマイト』キャスリン・ビグロー
    ハウス・オブ・ダイナマイトキャスリン・ビグロー

    キャスリン・ビグローが問い続ける“システムの暴力”の集大成的作品。ミサイルがアメリカに着弾するまでの18分間を、3つの視点で描く“終末の羅生門”。ゲティスバーグの戦いが映し出されるのは、敵が外にいるのではなく内部に宿ることの隠喩。

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  • ふつうの子ども/呉美保[DVD]
    ふつうの子ども呉美保

    ふつうの子ども、ふつうにいい映画。主人公の男の子を演じる嶋田鉄太くんの、どこかすっとぼけてるような、でもいろんなことを考えているような表情のどアップでもう5億点。着ている洋服もお洒落で、それだけでも楽しい。後半の瀧内公美の爆発力にはシビれた。

  • 『ラブ・イン・ザ・ビッグシティ』イ・オニ
    ラブ・イン・ザ・ビッグシティイ・オニ

    巷の評判通り、すっごくキュートですっごくチャーミングな映画だった。素敵ガールのジェヒを演じるキム・ゴウン、素敵ボーイのフンスを演じるノ・サンヒョン(ちょっと大島育宙に似てる)の主演二人の魅力や、スウィート&ビターなストーリーはもちろん、滑り台に寝そべって夜空を見上げるジェヒの視界にフンスが入ってくるショットとか、キャリーケースが坂からゴロゴロ下っていくショットとか、靴に意味性を持たせる手際とか、イ・オニ監督の演出も素晴らしい。

  • TATAMIザーラ・アミル・エブラヒミ、 ガイ・ナッティヴ

    タイトルからしててっきり日本家屋で巻き起こるホラーかと思ってたら、イラン女子柔道のお話で、しかも敵対国イスラエルとの対戦を避けるため棄権するよう命じられるという、ポリティカルサスペンスみもあるストーリー。スタンダードサイズの狭い画角が、キャラの鬱屈とした感情を映し出している。

  • 『国宝』李相日
    国宝李相日

    正直、これまで李相日作品はそんなにハマってなかったけど、この映画には圧倒させられた。省略すべきはカットバックを多用して省略し、見せどころはクローズアップを多用してじっくり見せる、演出の緩急が見事。吉沢亮×横浜流星は全カット絵になるし、田中泯はいるだけで強烈な磁場を発してる。

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  • 『バレリーナ』レン・ワイズマン
    バレリーナレン・ワイズマン

    監督はチャド・スタエルスキからレン・ワイズマンに交代したが(すっげー久々じゃんね)、なかなか死なない敵、その場にあるアイテムでの格闘、シームレスな縦横移動というジョン・ウィック的アクション文法はきちんとキープ。普通に面白いっす!

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  • 『ナイブズ・アウト: ウェイク・アップ・デッドマン』	ライアン・ジョンソン
    ナイブズ・アウト: ウェイク・アップ・デッドマンライアン・ジョンソン

    密室殺人と蘇った死体というミステリ王道を踏襲しつつ、最後に辿り着くのが「真実は必ずしも人を救わない」という地点なのがいい。このシリーズ、3作目にしていよいよ脂が乗ってきた

  • 『ビューティフル・ジャーニー ふたりの時空旅行』コゴナダ
    ビューティフル・ジャーニー ふたりの時空旅行コゴナダ

    今までゴマンと作られてきた「人生をふりかえって新しい一歩を踏み出す系ムービー」だが、コゴナダ監督の手にかかればとんでもなく映像的強度と物語的強度の高いファンタジーのできあがり。中盤のミュージカル・シーンが白眉。

  • 『劇場版 チェンソーマン レゼ篇』ロバート・エガース
    劇場版 チェンソーマン レゼ篇ロバート・エガース

    『デビルマン』+『AKIRA』+『新世紀エヴァンゲリオン劇場版 シト新生』+『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』みたいな映画だった。嘘じゃないんです、信じてください。

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  • ノスフェラトゥロバート・エガース

    ムルナウの精神を正統に受け継ぐ映画作家ロバート・エガースによる、堂々たるゴシックホラー。登場人物を真正面に捉えた切り返しショット、シンメトリーな構図にただただ興奮。そして情念と狂気を孕んだリリー=ローズ・デップの艶演。

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  • プロフェッショナルロバート・ロレンツ

    これ結構オススメ。「誘拐の掟」とか「ラン・オールナイト」とか“地味だけどめっちゃ面白いリーアム・ニーソン映画”の最新ver。イーストウッドと長年タッグを組んできたロバート・ロレンツが監督をしているだけあって、話も人物造形もイーストウッドみがある。キアラン・ハインズやコルム・ミーニーなど、渋いおじいちゃんのご尊顔が楽しめるのもマル。

  • ANORA アノーラショーン・ベイカー

    緩急つけたショーン・ベイカーの話芸に感嘆しきり。あるシークエンスでは細かなエディットで心の高揚を描き、あるシークエンスではたっぷり尺をとって爆笑をかっさらう。そして主役を演じるマイキー・マディソンのチャームっぷり!いうならば、クラブで踊りまくるパーティ感と朝を迎えてダウナーになるアフターパーティ感の二部構成みたいな映画で(真ん中に強烈なシークエンスが挟まってるけど)、むしろアフターパーティが物語のメインでチルな感じにもならないのが、すっごいショーン・ベイカーっぽい。

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  • 28年後…ダニー・ボイル

    これ、シリーズで一番好きかも。少年が大人になる通過儀礼として感染者を殺すというマッチョ全開イベントを経て、アポカリプスでも人は優しさを持ち得るのかという根源的な問いを投げかける。『シビル・ウォー アメリカ最後の日』に続いて、アレックス・ガーランドのシナリオはますます切っ先が鋭くなっている。そしてキプリングの詩「ブーツ」が脳裏に焼き付く。

  • フライト・リスクメル・ギブソン

    メルギブ兄貴、これめっちゃ面白いですやん。航空機に限定した密室空間、電話のみで黒幕を暴くサスペンス、ハゲ散らかしたマーク・ウォールバーグの悪役っぷり、そして溢れる午後ロー感。こういう映画が見たくてこちとら金払っとるんですわ。

  • パディントン 消えた黄金郷の秘密ドゥーガル・ウィルソン

    伏線回収、言葉遊び、キャラクターの描き込み、全てにおいてシナリオが巧み。なぜパディントンがマーマレード好きなのかということまで踏み込んで、最後はきっちり泣かせてくる。見事です。

  • 野生の島のロズクリス・サンダース

    心を持たないロボットのロズに愛情が生まれるというプロットに新奇さはないものの、何よりもまずアクション映画としてめちゃめちゃ優秀。手描き風のキャラクターたちが躍動する絵を見ているだけで恍惚。ルピタ・ニョンゴ、ペドロ・パスカル、マーク・ハミルと声優にスター・ウォーズ勢が妙に多いのは何で?

  • 『アフター・ザ・クエイク』井上剛
    アフター・ザ・クエイク井上剛

    村上春樹の『神の子どもたちはみな踊る』を原作に、4つの物語が時空を超えて交錯するストレンジ・ストーリー。監督が『あまちゃん』や『その街のこども』の井上剛で、脚本が『ドライブ・マイ・カー』の大江崇允だから、間違いないことは間違いない。透徹なファンタジーでありながら、どこか死の匂いがする演出が素晴らしい。それにしても近年の日本映画における“謎の女”役は、全て唐田えりかがかっさらっている気がするんだが気のせいですか。

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  • 映画を愛する君へアルノー・デプレシャン

    映画を解剖学的に解析するのではなく、思い出語りに終始するでもなく、アンドレ・バザンの言葉を引用しつつ映画と人生の意味を見出していく、アルノー・デプレシャン監督によるシネマ・エッセイ。デプレシャンの後ろ姿がゴダールそっくりだった!

  • バッドランズテレンス・マリック

    テレンス・マリック監督が1973年に発表した長編初監督作(旧題は『地獄の逃避行』)。これはもうアメリカ版『青春の殺人者』。

  • 悪い夏城定秀夫

    北村匠海も河合優実も木南晴夏も、みんなみんな虚な目をした闇堕ち転落ドラマ。なのに終盤では笑うしかない畳みかけもあって、感情グッチャグチャ。エグ味たっぷり演出も良き。監督:城定秀夫×脚本:向井康介コンビ、最高の組み合わせなのでは。そして竹原ピストル、今年だけで他に「サンセット・サンライズ」と「ファーストキス 1ST KISS」にも出演していて、いよいよ日本映画界の重要人物になってきた。伊藤万理華× 河合優実の「サマーフィルムにのって」コンビ共演も嬉しい。

  • メイデングラハム・フォイ

    コダックの16ミリフィルムで紡がれる、喪失感を抱えた少年少女の物語。生と死の彼岸をポエティックに捉えたカナダの俊英グラハム・フォイ監督の才能は本物。

  • ジュラシック・ワールド/復活の大地[DVD]
    ジュラシック・ワールド/復活の大地ギャレス・エドワーズ

    最初の20分くらいはつまらなすぎてどうしようと思っていたが、島に上陸してからギアが3段くらい上がって、恐竜祭りヒャホーイ状態に。ちゃんと『ジュラシック・パーク』オリジンの精神を受け継いだアクションに徹しているのが素晴らしい。ありがとうギャレス・エドワーズ!ありがとうデヴィッド・コープ!

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  • ジュ・テーム、ジュ・テーム[DVD]
    ジュ・テーム、ジュ・テームアラン・レネ

    「エターナル・サンシャイン」に影響を与えたアラン・レネのSFラブストーリーってどないやねんと思ってたら、パッチワーク編集による散文詩感覚と、反復表現によって愛の喪失を突きつける、強烈な映像体験だった。『二十四時間の情事』や『去年マリエンバートで』にも通底する、時間の失調感覚。タイムトラベルものという意味では、60年代フランスのかなりエッジーな『ファーストキス 1ST KISS』という言い方もできるかも(できない)。

  • F1/エフワン[DVD]
    F1/エフワンジョセフ・コシンスキー

    トムクルがパイロットならブラピはカーレーサーだ!という90’s is not dead親父のONCE AGAIN映画。トニー・スコットが蘇ったかのようなジョセフ・コシンスキーの超高速カット割&キビキビ演出に泣かされる。

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  • 大きな玉ねぎの下で/草野翔吾[DVD]
    大きな玉ねぎの下で草野翔吾

    ユー・ガット・メール的すれ違いラブコメ。脚本がめっちゃ良くできてる。爆風スランプの小ネタをさりげなく挟み込む手腕も見事。「恋は光」もそうだったが、神尾楓珠は”面倒臭いけど可愛らしい男子”やらせたら日本一なんじゃないか。

  • 10番街の殺人[DVD]
    10番街の殺人リチャード・フライシャー

    国家が奪った命の重みを問う、実録犯罪映画。リチャード・アッテンボローのシリアル・キラー役、怖すぎる…。

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  • ミッシング・チャイルド・ビデオテープ[DVD]
    ミッシング・チャイルド・ビデオテープ近藤亮太

    『イシナガキクエを探しています』の近藤亮太監督だけあって、凍りつくような恐怖体験を味わわせて頂きました。ホラーの本質は「どう見せるか」ではなく「どう見せないか」であることを熟知した作り手の知性を感じる。

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  • 『君の顔では泣けない』坂下雄一郎
    君の顔では泣けない坂下雄一郎

    お互いの心と体が入れ替わったまま15年の歳月を過ごした男女の物語ときけば、いくらでもファンタジーとして飛翔できそうなものだが、坂下雄一郎監督は決してそちらには流れない。入れ替わるきっかけになったプールへの飛び込みさえもあえて見せないことで、あくまでリアルな物語として構築していく。おそらく、心と体の不一致=性同一性障害のメタファーとして、入れ替わりというギミックを使っているからだろう。芳根京子演じる水村が、実家のドアを出る→カギがガチャリと閉まる→悲痛に満ちた表情で足早に去っていくという移動ショットを何度かインサートするなど、映画的技法にもあふれている。

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  • サンセット・サンライズ[DVD]
    サンセット・サンライズ岸善幸

    「ふてほど」もそうだったが、宮藤官九郎は保守/革新、古いもの/新しいものという二項対立を彼なりに“止揚”するアウフヘーベンを志向している気がしているんだが、この映画もまた南三陸を舞台に異なる価値観を止揚する作品だった。

  • 見える子ちゃん
    見える子ちゃん中村義洋

    評判がいいのも納得。学園祭ワチャワチャ青春ドラマ×ちょい怖ホラー×ちょい泣きヒューマン系という3要素を、中村義洋監督がさすがの職人芸でいい塩梅に仕上げている。原菜乃華は芸達者だし、パンを美味しそうに食べるハナちゃん役の久間田琳加は可愛らしいし、群馬県桐生市というロケ地も絶妙。

  • ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニングクリストファー・マッカリー

    「俺を信じてくれ、最後のお願いだ」。はい、いつもトム・クルーズを信じてます。そして今回も信じて良かったです。

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  • 機動戦士Gundam GQuuuuuuX Beginning鶴巻和哉

    ファーストとZと逆襲のシャアくらいしか見ていないガンダム弱者の僕が、ここ数年劇場で目撃した映画の中でもトップクラスにびっくりしたんだから、ファンは悶絶するはず。あとこれってガイナックスのメタファーって理解で大丈夫すか。

  • 室町無頼入江悠

    こんなにマカロニ・ウェスタン調の娯楽時代劇だったとは。才蔵(長尾謙杜)の特訓シーンが初期ジャッキー・チェン映画のような趣きで楽しい。ラストになって『十一人の賊軍』ばりの集団抗争時代劇へとなだれ込む展開も良き。

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  • ビーキーパーデヴィッド・エアー

    丸腰のジェイソン・ステイサムが敵のアジトを正面突破して、超絶格闘スキルで皆殺しにする理不尽アクション。監督がデヴィッド・エアーだけあって意外とゴア描写もあり。

  • 映画ドラえもん のび太の絵世界物語寺本幸代

    全クリエイター必見。自分の作品に価値を見出すことができなくても世界を変える可能性はあるというポジティブな創作論、そして逆に想像力が世界を闇に覆い尽くすこともあるという警告。とんでもなく良く出来てる。

  • 名もなき者/A COMPLETE UNKNOWNジェームズ・マンゴールド

    音楽を定義づけることを避け、常に革新を目指し、Like a complete unknownでLike a rolling stoneを体現するボブ・ディランの半生記。ニューポート・フォーク・フェスティバルの演奏をはじめ、想像以上に音楽映画だった。エル・ファニング演じるシルヴィが、“どこからボブ・ディランを眺めているか”に着目して観ると切なさが倍増する。

  • ザ・コンサルタント2ギャビン・オコナー

    第1作が典型的な“舐めてた相手が実は殺人マシンでした映画”だったのに対し、今回はベン・アフレックとジョン・バーンサルの兄弟ワチャワチャ萌え、キャラ萌え映画。アクションは二の次、会計士設定は三の次な思い切りが良き。

  • トロン:アレス/ヨアヒム・ローニング[DVD]
    トロン:アレスヨアヒム・ローニング

    1982年版『トロン』は人がコンピュータの中に入っていったが、今回はプログラムが人間界に侵食する話。つまり、メタバース的主題を備えた現代的SF。人類とテクノロジーの共犯関係を描く哲学的リブート。

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  • 『エディントンへようこそ』アリ・アスター
    エディントンへようこそアリ・アスター

    アリ・アスターはこれまで、家族(『ヘレディタリー』)、共同体(『ミッドサマー』)、精神(『ボーはおそれている』)と内側の崩壊を描いてきたけど、今作では世界という形を取って外部に噴き出した。今の現実社会がもはやアスター的悪夢。

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  • 『ミーツ・ザ・ワールド』松居大悟
    ミーツ・ザ・ワールド松居大悟

    松居大悟が描いてきた“他者とのすれ違い”の映画的系譜が、この作品の由嘉里とライという二人の女性に収束。共感や再生ではなく、異質なまま共に存在するという倫理が現代的。

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  • ファレル・ウィリアムス:ピース・バイ・ピースモーガン・ネヴィル

    既存の音源を組み合わせるヒップホップと、ピースを組み立てるレゴの相性が抜群。インタビューやPVやTV出演のヒトコマを入れる伝記映画の王道をやればやるほど、レゴ映画として面白い。音が光として見える共感覚をまんまレゴでビジュアライズしているのも楽しい。ファレル・ウィリアムスの戦略勝ち。スヌープ・ドッグとかケンドリック・ラマーとかジャスティン・ティンバーレイクがレゴ出演しているのも面白いけど、びっくりしたのが監督がドキュメンタリー映画「バックコーラスの歌姫たち」のモーガン・ネヴィルであること。マジで今後ミュージシャン伝記レゴ映画がスタンダードになるかも。

  • We Live in Time この時を生きて/ジョン・クローリー[DVD]
    We Live in Time この時を生きてジョン・クローリー

    時系列をシャッフルさせた構成、イギリス映画らしいユーモア感覚、そして主演の二人の存在感が良き。フローレンス・ピューの裸がガンガン出てくるが、一緒にお風呂に入ったり、出産を迎えたりすることで、その肉体が母親として、セクシャルなものからより神々しいものに変化していくのも印象的。

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  • 『ブラックバッグ』スティーブン・ソダーバーグ
    ブラックバッグスティーブン・ソダーバーグ

    『ザ・キラー』のマイケル・ファスベンダー、『007』シリーズのナオミ・ハリス、そしてかつてのボンド役ピアース・ブロスナンとスパイ/殺し屋映画に目配せしたキャスティングだが、実は結婚生活を考察したブラックコメディ。たぶん「ゴーン・ガール」に近い。

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  • リライト松居大悟

    松居大悟監督がヨーロッパ企画の上田誠とタッグを組んだら、見事なまでにほろ苦青春群像劇成分50%、タイムリープコメディ成分50%の絶妙バランスムービーが出来上がった。某有名SFへのオマージュをふんだんにまぶした、尾道ロケ映画の最新ヴァージョン。

  • かたつむりのメモワール[DVD]
    かたつむりのメモワールアダム・エリオット

    孤独な女性グレースが、自らの呪いを解き放って自分を見つけるまでの物語。想像以上に陰鬱でブラックでヘビーだが、それはまさしく現実の照射。

  • サンダーボルツ*ジェイク・シュライアー

    虚無感、孤独、トラウマを抱えた負け犬たちのOnce Againストーリー。今の世界状況と照らし合わせると、ロシアとアメリカのはみ出し者が力を合わせるという設定も攻めてる。世界が闇に覆われるというのは、もはや抽象表現じゃない。

  • セプテンバー5/ティム・フェールバウム[DVD]
    セプテンバー5ティム・フェールバウム

    「黒い九月事件」をテレビ放送局のABC、しかも報道局ではなくスポーツ局スタッフが右往左往しながらライブ中継するさまを描く「お仕事映画」でありつつ、報道とモラルという問題にも踏み込んだ意欲作。報道偏重主義を相対化させる眼差しがない(キャラクターがいない)ことで、鑑賞者の倫理がより問われる。ナチスの悪夢があるために、ドイツが真正面からテロリズムに対抗できない描写が生々しく響く。

  • 『ナイトフラワー』内田英治
    ナイトフラワー内田英治

    オープニングで北川景子がカラオケを熱唱する時点で、最大出力演技に吹き飛ばされる。だがそれ以上に、格闘家を演じる森田望智に圧倒されるヒューマンドラマ。サイドストーリーがメインストーリーにさほど収斂してこない構成が、やや不満といえば不満。

  • 近畿地方のある場所について[DVD]
    近畿地方のある場所について白石晃士

    特に前半は、あらゆるジャンプスケアを駆使した恐怖演出のオンパレード。Jホラーの見本市。ラスト15分が説明不足すぎてかなり失速したとはいえ、ここまでやってくれれば大満足。

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  • 『大統領暗殺裁判 16日間の真実』チュ・チャンミン
    大統領暗殺裁判 16日間の真実チュ・チャンミン

    ベタをベタとしてやり抜く力作。結末が分かっているだけに弁護士の奔走ぶりが切ない。そして『KCIA 南山の部長たち』といい『ソウルの春』といい、この時代を描く韓国映画は“いかに役者が全斗煥をオモロく演じるか”というモードに突入。

  • Mr.ノボカイン/ダン・バーク、ロバート・オルセン[DVD]
    Mr.ノボカインダン・バーク、ロバート・オルセン

    ある目的のため主人公の身体がどんどん変容していくという意味では、デミ・ムーア主演の「サブスタンス」と近いものを感じてしまった。主演のジャック・クエイドの父親デニス・クエイドは、「サブスタンス」に出演していたし。そういや悪役のレイ・ニコルソンはジャック・ニコルソンの息子だから、キャスティングから作品論を考えられる映画なのかも。

  • 入国審査/アレハンドロ・ロハス、フアン・セバスティアン・バスケス[DVD]
    入国審査アレハンドロ・ロハス、フアン・セバスティアン・バスケス

    入国審査でメンタル削られるくらいに尋問を受けまくる、人生デストロイ密室劇。劇伴をいっさい使わず、工事の騒音ががそのまま主人公たちの不安に直結する演出が巧み。これ絶対に飛行機で観たくないやつだわ。

  • 『星と月は天の穴』荒井晴彦
    星と月は天の穴荒井晴彦

    中年作家が若い女性と情事を重ねつつ、妻に逃げられたトラウマから愛したいけど愛せないと問答を繰り返す、いかにも吉行淳之介節で荒井晴彦節なおじさん苦悩話。荒井晴彦の性描写はやっぱりねっとりしてる。

  • 『栄光のバックホーム』秋山純
    栄光のバックホーム秋山純

    下品なくらいあの手この手で泣かせにかかる、スーパーウルトラアルティメット号泣映画。ここまでやってくれたらこっちも心置きなく泣くしかない。それにしても何がどうなったら掛布雅之役が古田新太になるんだ。

  • 『サターン・ボウリング』パトリシア・マズィ
    サターン・ボウリングパトリシア・マズィ

    ダメダメな弟が兄貴からボウリング場を引き継いで人間性を取り戻していくヒューマン・ストーリーだと思ったら、連続殺人事件が多発するノワールに変貌し、次第にトキシック・マスキュリニティ/マノスフィアに関する寓話であることに気付かされる。

  • Mr.ノーバディ2/ティモ・ジャヤント[DVD]
    Mr.ノーバディ2ティモ・ジャヤント

    ごく平凡で何者でもない中年男が、もはや凄腕の殺し屋であることが自明になった時点でどう続編作るんだと思ってたら、一家揃ってバカンスに出かけて、普通のパパとして奔走するという設定が巧い。コニー・ニールセン姐さんとシャロン・ストーン姐さんのタイマンが見れただけで大満足。

  • 『私たちが光と想うすべて』パヤル・カパーリヤー
    私たちが光と想うすべてパヤル・カパーリヤー

    風、雷、雑踏、ムンバイの熱気が皮膚感覚で伝わるサウンドデザインが素晴らしい。そして何よりも光の描写。眩い光、仄かな光、溢れる光、前半と後半で明らかに描き方が異なるのが巧み。ストーリーもさることながら、映画としてのディティールに感動。

  • 『ミシェル・ルグラン 世界を変えた映画音楽家』デビッド・ヘルツォーク・デシテス
    ミシェル・ルグラン 世界を変えた映画音楽家デビッド・ヘルツォーク・デシテス

    ミシェル・ルグランって軽妙洒脱な音楽なもんだから、てっきり天性の根アカ音楽家だと思ってたら、意外と複雑なパーソナリティの持ち主。レジェンドを無闇に持ち上げるのではなく、気難し屋な一面もきちんと見せるバランス感覚が良き。

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  • 『愚か者の身分』永田琴
    愚か者の身分永田琴

    向井康介脚本らしい人間くささもありつつ、意外にも骨太なクライムサスペンス。3者の視点が交錯する多層構造で、ラストまで緊張が途切れない。北村匠海、作品選びを外さないな…一箇所ギョッとするシーンがあって、隣の女性がブルブル震えてました。

  • アマチュアジェームズ・ハウェズ

    銃が撃てない即席スパイ、非情になりきれない007という設定が最高にイカしてる。アクションは控えめに、相手の一手先をいく頭脳戦に舵を切ったタッチも良き。ジョン・バーンサルの扱いはやや不満なれど、スパイ・アクションとして上々の出来。

  • 『平場の月』土井裕泰
    平場の月土井裕泰

    オトナの恋愛って面倒くさくてややこしくて愛らしいという王道ラブストーリーに、難病ものを組み合わせた山本周五郎賞受賞作の映画化だが、向井康介の脚本がとにかくよくできている。過去のことも含めて水に流せない須藤(井川遥)が人口肛門でうまく排便できないという設定と、青砥(堺雅人)が別れ話の直前にトイレに駆け込む(=水に流す)という対比が見事。そして何よりも主演の二人がチャーミング。

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  • テレビの中に入りたい/ジェーン・シェーンブルン[DVD]
    テレビの中に入りたいジェーン・シェーンブルン

    これ僕が主人公と同じように田舎で悶々としているティーンエイジャーだったら、完全にミスター憂鬱に囚われてたかも。エグみの強い映像&ストーリーで自己内省を促す超劇薬ムービー。エンドクレジットで音楽がアレックス・Gと知り、びっくり。

  • 『ロマンティック・キラー』英勉
    ロマンティック・キラー英勉

    恋愛という〈制度〉を過剰なパロディで解体した、かなり実験的な学園ラブコメ。『愛の不時着』や『世界の中心で愛を叫ぶ』、果ては『名探偵コナン』や『君の名は』に至るまで、有名作パロディの乱れ打ち。脳が沸騰しそうになった。

  • 『フランケンシュタイン』ギレルモ・デル・トロ
    フランケンシュタインギレルモ・デル・トロ

    隅から隅までデル・トロ映画。『ギレルモ・デル・トロのピノッキオ』で描かれた創り出す者と創り出される者、『シェイプ・オブ・ウォーター』で描かれた異形の者との愛、『ナイトメア・アリー』で描かれた人間が最大のモンスターであるというモチーフ。古典中の古典にデル・トロのテーマが凝縮されている。

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  • 『ズートピア2』ジャレド・ブッシュ、バイロン・ハワード
    ズートピア2ジャレド・ブッシュ、バイロン・ハワード

    前作は肉食/草食という種差を人種・偏見・ステレオタイプのメタファーとして描いた寓話だったが、この続編では、忘れられたコミュニティの歴史、制度的排除、権力構造の操作といった思想・社会構造の対立へとさらに大きく踏み込んでいる。差別を生むシステムそのものに光を当てた。どう考えても寓意が多層化していて情報過多なのだが、それだけ第1作から10年あまりで世の中がより複雑化したということ。こんだけ超ハイコンテクストな作品が大ヒットしている事実に、ディズニーの圧倒的エンタメ力をひしひしと感じてしまう。

  • 夏の砂の上/玉田真也[DVD]
    夏の砂の上玉田真也

    雨が降らない真夏の長崎を舞台に、恵みの水が乾いた心を潤す物語。そしてこの映画、とにかくオダギリジョーと髙石あかりが階段を上ったり下ったりする。高低差を意識した絵作りの映画は、もうそれだけで十分目に楽しい。

  • アイム・スティル・ヒア/ウォルター・サレス[DVD]
    アイム・スティル・ヒアウォルター・サレス

    70年代ブラジルで発生した事件を描く社会派であると同時に、ジェーン・バーキンの「ジュ・テーム・モワ・ノン・プリュ」が流れたりアビイ・ロードが登場したりするプチ音楽映画であり、人生を優しく肯定する家族映画でもある。懐が広い作品。

  • ノー・アザー・ランド 故郷は他にないバーセル・アドラー、ハムダーン・バラール、ユヴァル・アブラハーム、ラヘル・ショール

    ヨルダン川西岸のパレスチナ人居住地で、イスラエル軍が次々に建物を破壊し、パレスチナ人を強制移動していくさまを捉えたドキュメンタリー。観ているうちにどんどん神経がすり減って、どんどん胸が痛くなる。つまり必見。

  • 岸辺露伴は動かない 懺悔室[DVD]
    岸辺露伴は動かない 懺悔室渡辺一貴

    漫画の中でも指折りに変なエピソードを、よくぞ映像化したものだと感動。ダッチアングルとか仰角ショットとか実相寺昭雄みのある構図もキレキレだし、高橋一生は相変わらずカッコいい。絵として眼福な一本。

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  • エミリア・ペレス[DVD]
    エミリア・ペレスジャック・オーディアール

    麻薬王がトランスジェンダー女性になって生まれ変わろうとするが、結局過去と自分自身からは逃れられないという、若干レ・ミゼラブルみのある話。そう考えるとミュージカル仕立てなのも納得。抜群に面白いけど、後半の展開と人物造形が少々モヤる。

  • 『爆弾』永井聡
    爆弾永井聡

    佐藤二朗の顔芸で2時間強を持たせてしまう、おじさんどアップ映画の極北。

  • サタンがおまえを待っている/スティーブ・J・アダムズ、ショーン・ホーラー[DVD]
    サタンがおまえを待っているスティーブ・J・アダムズ、ショーン・ホーラー

    80年代の悪魔パニックを追ったドキュメンタリーと思わせて実は…というヒネリが効いている。SNS時代の必見作なのでは。

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  • スーパーマン[DVD]
    スーパーマンジェームズ・ガン

    スースクの時からジェームズ・ガンは少年のように真っ直ぐな正義感の持ち主だと思ってたけど、この映画ではそれがMAXに振り切っている。正直言ってキャラも設定もだいぶ渋滞しているし決してスマートな映画じゃないけれど、ジェームズ・ガンの稚気と心意気で全部許してしまう。世界がいま一番必要としている言葉をアメリカ最大のヒーローに語らせるための129分。愛と希望の映画。

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  • 片思い世界[DVD]
    片思い世界土井裕泰

    文字通り片思いの世界を描いたピュアストーリー。 50代後半を迎えた坂元裕二が、ここまで透徹な物語を紡ぐとは。そして『阿修羅のごとく』『ゆきてかへらぬ』、そしてドラマ『クジャクのダンス、誰が見た?』と、2025年広瀬すずのスタートダッシュが凄すぎる。

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  • ファンタスティック4:ファースト・ステップマット・シャックマン

    パンナム航空が登場することでも明らかなように、レトロフューチャーデザインが横溢する“目に楽しい”MCU映画だった。しかもギャラクタスの造形がなぜか大魔神でびっくり。ペドロ・パスカル、仕事しすぎで心配になる。

  • 『港のひかり』藤井道人
    港のひかり藤井道人

    藤井道人がレジェンド撮影監督木村大作とタッグを組んで、意識的に70〜80年代高倉健映画のようなヒューマンドラマに仕立て上げている。もはや職人監督の域。舘ひろしも眞栄田郷敦も斎藤工もみな好演だが、笹野高史の芝居が相変わらず上手すぎる。

  • ベイビーガールハリナ・ライン

    一見支配/被支配を描いたエロティック・ムービーのようでいて、実は男性が勝手に抱いている”女性の欲望の在り方”をブチ壊す映画。挑発的な筆致で描かれたフェミニズム映画なのでは。

  • おんどりの鳴く前にパウル・ネゴエスク

    これはもうルーマニア産の『コップランド』。

  • 8番出口[DVD]
    8番出口川村元気

    ナラティブが存在しない不条理ゲームを、色んなYouTuberが実況動画をアップすることでナラティブを獲得し、名プロデューサー川村元気が映画に仕立て上げた広告代理店的野心作(決して悪い意味で言ってない)。これって要は二宮和也実況動画なのだから、山田涼介編とか狩野英孝編とかダイアン津田編とかがあってもいいと思う。

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  • 『Ryuichi Sakamoto: Diaries』大森健生
    Ryuichi Sakamoto: Diaries大森健生

    坂本龍一の最後の3年半を、彼の日記を通して描くドキュメンタリー。坂本以外の人物はほとんど映し出されず、ひたすら音楽に耽溺する孤独な日々が紡がれていく。映画には子供たちすら現れず、音声だけ(しかも長女、次女、長男、次男という表記で)という徹底した抑制主義に、サカモトismを感じる。

  • BETTER MAN/ベター・マンマイケル・グレイシー

    元テイク・ザットのロビー・ウィリアムズの半生を描いた、いわゆる“ポップスターの栄光と転落”フォーマット映画だが、ある奇想天外な仕掛けによって主人公がどう見られているか/どう見ているかを外面化していて、エグみのあるハードエッジなエンタメに。見応え十分。

  • でっちあげ ~殺人教師と呼ばれた男/三池崇史[DVD]
    でっちあげ ~殺人教師と呼ばれた男三池崇史

    いつもの三池崇史節が唸る血みどろホラーと思ってたら、冤罪事件に真正面から向き合った正統派社会映画だった。視点によってキャラクターが変わる是枝裕和『怪物』的構造を有した作品だが、三池崇史が手がけていることで綾野剛も柴咲コウも並外れたサイコキャラに見えてしまう。冤罪事件を扱った作品なのに、不穏な三池タッチがそれを凌駕しているのが独特すぎ。

  • ベスト・キッド:レジェンズ[DVD]
    ベスト・キッド:レジェンズジョナサン・エントウィッスル

    オリジナルとリメイクが同じユニバースに集結する、ベストキッド版『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』。シリーズのお約束をきちんと踏襲する展開が嬉しい。ジャッキー・チェンもラルフ・マッチオも最高だが、ダニエルが師匠としての役割をあまり全うできていないのでは?という疑問もあったりなかったり。主役のベン・ウォンが岡山天音そっくりで妙に親近感。

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  • 『恋に至る病』廣木隆一
    恋に至る病廣木隆一

    長尾謙杜×山田杏奈によるキラキラ青春ストーリーと思ってたら、黒沢清映画みたいな不穏さが漂う異色作だった。二人が自転車で駆け抜けて行く場面をはじめ、美しいショット・構図が盛りだくさん。まさに廣木隆一監督の職人芸。

  • 『キス・ザ・フューチャー』ネナド・チチン=サイン
    キス・ザ・フューチャーネナド・チチン=サイン

    ボスニア紛争終結後、サラエボで開催されたU2ライブの舞台裏に迫ったドキュメンタリー。テレビ中継でサラエボの女性が「あなたたちはまだ何も分かっていない」と訴え、「言葉もない。ロックバンドをやっていることが嫌になる」と答えるボノに、人としての誠実さをみた。

  • ロングレッグスオズグッド・パーキンス

    すごく変なバランスのすごく禍々しい映画。構造的には『羊たちの沈黙』だけど、『マインドハンター』や『トゥルー・ディテクティブ』の流れを汲んだ、アメリカの土着的暗部を炙り出す系でもある。しかも監督がアンソニー・パーキンスの息子オズって!

  • 聖なるイチジクの種モハマド・ラスロフ

    強権的・抑圧的な家父長制を、圧政を敷くイランの実情と重ね合わせて描く社会派ドラマ…と思ったら、最後は「シャイニング」みたいなスリラーに変貌。急激な味変が楽しめるし、想像以上にエンタメ映画だった

  • 劇映画 孤独のグルメ松重豊

    徹底して筋のあるドラマから逸脱することで唯一無二のタッチを獲得していたドラマ版に比べ、こっちは筋あり伏線回収あり。それでもファンを納得させるテイストに仕上げてるのが流石。韓国入国審査官を演じるユ・ジェミョンとのやりとりが面白すぎ。監督・脚本・主演を務めた松重豊は当初ポン・ジュノに監督オファーしたらしいけど、逆にいうと松重豊はポン・ジュノ的演出を意識したのかも(シュールなコメディ展開はちょっとだけ似てる)。

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  • 『大洪水』キム・ビョンウ
    大洪水キム・ビョンウ

    ディザスター・映画からの、親子ヒューマン映画からの、壮大SFドラマ。ただ、途中から物語を牽引するためのフックがだいぶ薄くなってしまった印象。

  • マリリン・モンロー 私の愛しかた/イアン・エアーズ[DVD]
    マリリン・モンロー 私の愛しかたイアン・エアーズ

    4歳で映画スターになると宣言したノーマ・ジーンことマリリン・モンローが、いかにしてスターへと上り詰めたかを克明に描くドキュメンタリー。心理学者のインタビューを交えて、心の傷を負っているからこそ、自分をセックス・シンボルに見せたかったのでは?と考察する。かつてチャップリンの息子と付き合っていて、父親に直接役作りについてアドバイスを受けていた話は初めて知った。

  • スプリングスティーン 孤独のハイウェイ/スコット・クーパー[DVD]
    スプリングスティーン 孤独のハイウェイスコット・クーパー

    かつて父親からDVを受けていたことが大きなトラウマになっているスプリングスティーンが、1982年リリースのアルバム『ネブラスカ』の制作風景と重ね合わせながら、己と格闘していく…というのが骨格だと思うのだが、よく分からんうちに親父とは仲直りしているし(膝に乗ったりもする!)、子連れの彼女とは一方的に関係を切るし、焦点がいまひとつ合っていない印象。聖人君子にはしないという思いが強過ぎて空回りしているのでは。

  • ベルサイユのばら吉村愛

    原作漫画もTVアニメも見ないまま今日まで生きてしまいました。いやー堂々たる愛と哀しみの一大歴史ロマンですね。男装の麗人オスカルが血の通ったひとりの女性として丁寧に描かれていることに感動。MAPPAの作画も流石。

  • ミッキー17ポン・ジュノ

    体制vs反体制という『スノーピアサー』的モチーフと、謎の怪物という『グエムル-漢江の怪物-』的モチーフと、子に対する母の無償の愛という『母なる証明』的モチーフを全て注ぎ込んでコメディで味付けしたような、ポン・ジュノの集大成的作品。

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  • 新世紀ロマンティクスジャ・ジャンクー

    過去作の未使用フッテージを使って、20年にわたる都市の変遷と女性の人生を描くという発想がものすごい。公私共にジャ・ジャンクーのミューズであり続けたチャオ・タオ主演だからこそできる作劇。

  • ウィキッド ふたりの魔女/ジョン・M・チュウ[DVD]
    ウィキッド ふたりの魔女ジョン・M・チュウ

    アリアナ・グランデが魔女の才能ゼロで好感度ばかり気にするあざと可愛い系を演じるとは。歌はもちろん、現代的なテーマ性といいダイナミックな演出といい、これぞハリウッド映画。

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  • 遠い山なみの光/石川慶[DVD]
    遠い山なみの光石川慶

    カズオ・イシグロの長編デビュー作を石川慶が映画化。戦後の日本を生きる女性たちの賛歌…と思いきや、現実と幻想の狭間を行き合うミステリー仕立てだった。石川慶監督は、指のクローズアップで心情を表現する演出が抜群。どこか非現実感のある佐知子の家の舞台美術も素晴らしい。

  • 『ChaO』青木康浩
    ChaO青木康浩

    『鉄コン筋クリート』(傑作)や『海獣の子供』(傑作)を世に送り出したSTUDIO4°Cが『人魚姫』を手掛けたら、そりゃこうなりますよねって感じのハイパーアニメーション。冷静に考えるとわりと真っ当なお伽話なんだが、デフォルメが過ぎて顔も造形もパースもヘンだし、異様にカラフルだし、この熱量には圧倒される。

  • アスファルト・シティ/ジャン=ステファーヌ・ソヴェール[DVD]
    アスファルト・シティジャン=ステファーヌ・ソヴェール

    救急救命のリアルを描いたハード系作品。現代設定のはずなのに、『フレンチ・コネクション』や『セルピコ』みたいな70年代ニューヨークっぽく見えるのが面白い。完全に祈り=魂の救済をテーマにした本作において、赤ん坊を産んだ女性の部屋に分かりやすく十字架があったり、主人公が羽織るジャケットに天使が刺繍されてたり、その主人公の名前がクロスだったりするのも面白い。なんか全体的にポール・シュレーダーみを感じる。

  • 異端者の家ブライアン・ウッズ、スコット・ベック

    これは観終わって皆と語り合いたい作品。神学論争の果てに宗教の意味を問うスリラーにして、芯を食ったポップカルチャー論でもある。

  • 『六つの顔』犬童一心
    六つの顔犬童一心

    人間国宝の狂言師・野村万作の生涯を追ったドキュメンタリー…と思いきや、後半は狂言「川上」をまんま上映するという規格外スタイル。今年94歳を迎えてなお現役ってすげえな。お疲れ様です。

  • 『ホウセンカ』木下麦
    ホウセンカ木下麦

    『オッドタクシー』の監督/木下麦、脚本/此元和津也コンビによる、ファンタジックなヒューマンドラマ。まるで80年代の映画を観ているかのような、少しオールドファッションな感覚が逆に新しかったり。

  • 九龍ジェネリックロマンス/池田千尋[DVD]
    九龍ジェネリックロマンス池田千尋

    全体の構成は『エターナル・サンシャイン』に似てるけど、でも全然違う。横長のスコープサイズで描かれる、とっても奇妙なSFラブストーリー。後半はやや冗長さを感じたものの、この奇抜さは買い。望遠のワンカットで吉岡里帆と水上恒司の芝居を捉えたシークエンスに、池田千尋監督らしい個性を感じる。

  • 雪の花 -ともに在りて-小泉堯史

    引きの画から寄りの画にぬるっと変わるとか、少々説明調な台詞とか、滲み出る黒澤明的作劇っぽさ。

  • 知らないカノジョ三木孝浩

    ファンタジック・ラブストーリーの名手・三木孝浩が、その手腕を存分に発揮した一作。「もしあの時君と出会っていなかったら…」というifもしも形式をマルチバース的として構築し、自分がこの世界で生きる意味を捉え直させるプロットに昇華。miletがとにかくキュートすぎる。

  • 秒速5センチメートル/奥山由之[DVD]
    秒速5センチメートル奥山由之

    おそらく、新海誠の世界観を実写に移し替えるにあたって、現状最もふさわしいスタッフ、キャストが集結したのでは。逆に言えば、奥山由之は丁寧な手つきで新海誠ワールドをなぞっているだけとも言える。原作アニメの三幕構成をあえて崩したのもあまり効果的とは思えない。とはいえ、ビジュアルの強度だけで2時間を疾走するアヴァンギャルドさには敬服するしかない。異形のメジャー作。

  • プレゼンス 存在スティーブン・ソダーバーグ

    全編が幽霊視点という発想も凄いが、監督スティーブン・ソダーバーグ、脚本デヴィッド・コープという組み合わせも興味深し。ホラーよりもエモに力点を置いた理知的な作品。観終わったあと、この映画の真のテーマが浮かび上がる構成も巧み。

  • フロントライン関根光才

    コロナウィルスをどう瀬戸際で防ぐかというパンデミック・サスペンスではなく、ダイヤモンド・プリンセス号に隔離された人々にどう向き合うかという、人道的選択についての物語。このバランス感覚、僕は嫌いじゃない。

  • 嗤う蟲城定秀夫

    かなりストレートな村ホラー。警察官を演じる中山功太がいい味を出してます。

  • HERE 時を越えて[DVD]
    HERE 時を越えてロバート・ゼメキス

    固定カメラをある場所に据え置いて、太古の時代からはるか未来までをアットランダムに時制を移し替えながら描く超実験作。監督ロバート・ゼメキス、脚本エリック・ロス、主演トム・ハンクス&ロビン・ライトという『フォレスト・ガンプ 一期一会』の座組で、こんなにアバンギャルドな映画を作ってしまうとは。

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  • 劇場版TOKYO MER 走る緊急救命室 南海ミッション松木彩

    実はテレビドラマ版も前作の劇場版も知らずに観たのだが、なるほどこれは確かにウケるのも納得。次から次へと危機的状況が畳み掛けられる展開、ほとばしるヒューマン、力ずくでねじ伏せられるような迫力がある。患者に不安を感じさせないように接する鈴木亮平のドクター芝居も見事。

  • ゆきてかへらぬ根岸吉太郎

    広瀬すずが柿を食べるシーンが妙に色っぽくて、思わず『ツィゴイネルワイゼン』で大楠道代が水桃を食べるシーンを思い出してしまったのだが、これ脚本が田中陽造だったのかいな。昭和文芸大作の匂いをきっちりとかぐわせる根岸吉太郎節も健在。そして、何よりも広瀬すず!ふだん彼女は鈴の鳴るような可愛らしい声なのに、明らかに語尾を少し低く、そしてちょっと湿らせたような発声にすることで、この時代の女性の色香を<音>でコントロールしている。「阿修羅のごとく」でもその片鱗を見せていたが、役者として本当に凄い。

  • 白雪姫マーク・ウェブ

    7人のこびとがあまり物語に絡んでこないし、白雪姫が毒林檎で命を落とすお馴染みの展開も妙に淡白なので、彼らの哀しみがいまひとつ伝わってこない。”喪失”ってマーク・ウェブ監督のお家芸だったはずなのに、これじゃあ力量をさっぱり発揮できん。勿体な!

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  • リー・ミラー 彼女の瞳が映す世界エレン・クラス

    20世紀を代表する報道写真家リー・ミラーをケイト・ウィンスレットが熱演。ナチスドイツの暴力と男性の性加害を同時並行で描きつつ、最後は戦争の悲劇を目の当たりにしていくという構成に妙味あり。マリオン・コティヤール、アレクサンダー・スカルスガルドと共演陣が異様に豪華。

  • 映画クレヨンしんちゃん 超華麗!灼熱のカスカベダンサーズ橋本昌和

    信じてもらえないかもしれませんが、「もしもトム・クルーズがボリウッド映画に出演したら?」という妄想爆発ムービーでした。

  • 『白の花実』坂本悠花里
    白の花実坂本悠花里

    ものすごく自然主義的なタッチなのに、ところどころ演劇的な演出があって、坂本悠花里監督の研ぎ澄まされた感性にビックリ。主役の美絽さん、サントリー天然水のCMに出てきそうな娘だなと思ったら、本当にサントリー天然水のCMに出ている人だった。

  • 『宝島』大友啓史
    宝島大友啓史

    戦後アメリカ統治下の沖縄を舞台にした、威風堂々たる3時間の大作。平和とは何か、正義とは何かという問いが、戦後80年のこのタイミングだからこそ強く響く。終盤の暴動シーンもモブシーンとして白眉だが、沖縄の熱気をあまりにも映像的に表現しようとしすぎていて、全体的にルックは過剰だと感じてしまった。

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  • 『アンデッド/愛しき者の不在』テア・ビスタンダル
    アンデッド/愛しき者の不在テア・ビスタンダル

    ドキュメンタリー的カメラワーク&構図で、キャラクターの内面に深く分けいる北欧ホラー。世界が少しずつ不穏な状況に包み込まれていく描写が懇切丁寧。原作者が「ぼくのエリ 200歳の少女」、『ボーダー 二つの世界』のヨン・アイビデ・リンドクビストと知り妙に納得。

  • シンシン SING SINGグレッグ・クウェダー

    コールマン・ドミンゴ、すっかり名優になってしもうた。

  • Broken Rage北野武

    文字通り「アウトレイジ」を破壊する映画だった。後半はベタとメタの乱れ撃ち。デヴィッド・リンチ的空間(バー)があったかと思えば、唐突なエイリアン2オマージュもあり。金があればあるほどやりたい放題。たけし×浅野忠信× 大森南朋のビジュアルバム。

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  • 『グランドツアー』ミゲル・ゴメス
    グランドツアーミゲル・ゴメス

    第77回カンヌ国際映画祭の監督賞受賞作。逃げる男と追いかける女の物語。この人のユーモア感覚と幻想を映像化するセンスは、常人離れしている。

  • 『アバター:ファイヤー・アンド・アッシュ』ジェームズ・キャメロン
    アバター:ファイヤー・アンド・アッシュジェームズ・キャメロン

    圧倒的既視感。途中から『ウェイ・オブ・ウォーター』を見直しているのかと思った。

  • 終わりの鳥ダイナ・O・プスィッチ

    余命いくばくもない少女とその母親が、死を司るオウムと対峙する奇想天外ストーリー。でも実はものすごく普遍的な母娘のヒューマンドラマだったりして、ベタとシュールの混交にクラクラさせられる。Ice Cubeの「It Was a Good Day」を歌うセンスが最高。

  • ストップモーションロバート・モーガン

    ヤン・シュヴァンクマイエルのクレイアニメ + デイヴィッド・リンチの初期作品 + ロマン・ポランスキーの「反撥」のような、奇妙な手触りのニューロティック・ホラー。あらゆる創造的行為は、すべからく狂気を孕んでいることを実感させる。

  • 『IT’S NOT ME イッツ・ノット・ミー』レオス・カラックス
    IT’S NOT ME イッツ・ノット・ミーレオス・カラックス

    僕はNot For Meでした。すいません。

  • 『果てしなきスカーレット』細田守
    果てしなきスカーレット細田守

    対話や赦しを大切にしようとするテーマをあまりにも真正面から語りすぎていて、それゆえに昨今のリベラル的態度に対する「お花畑w」という冷笑に接続している気がして、正直そこは切なく感じている。未来は変えられる、戦争のない世界をつくろうという大きなメッセージを打ち出したことには意味があると思っているし、映画としてはいろいろ粗があると思っているけど、その思いの部分まで踏みにじるような批判はしたくないというのが正直な気持ち。

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  • お嬢と番犬くん小林啓一

    ヤクザの家に生まれた高校生・福本莉子と、ボディガードとして彼女を身をもって守るジェシーの関係が、完全に『ターミネーター2』のジョン・コナーとシュワちゃんでした(サングラスをかけたジェシーのシュワルツェネッガー感が凄かった)。

  • グランメゾン・パリ塚原あゆ子

    ドラマ・シリーズを追ってきた者からすると、一見傲岸不遜に見える尾花夏樹=キムタクは実は誰よりもチームの和を重んじていたはずなのに、パリに行ったら周りが全然見えなくなっている奴に激変していてビックリ。要は2時間かけて本来の自分を取り戻す話だった。

  • 花まんま前田哲

    両親を失った兄がひとりで妹を育ててきたという設定だったり、オール阪神巨人が俳優として出てきたり、ナニワがすぎる人情噺かと思ったら(実際そうなのだが)、それを上回るくらいに狂気に満ちたカオス映画でびっくり。カラスと会話できる大学教授役の鈴鹿央士が、ハートウォーミングな空気を全てデイヴィッド・リンチ的ウィアード空間へと変貌させる。それでいて要所では泣かせる場面があったりして、情緒ぐっちゃぐっちゃ。ラストの結婚式のスピーチで、兄の言葉に涙をぬぐい続ける有村架純のバストショットを、長回しで捉える演出はとても良かった。

  • ブラック・ショーマン/田中亮[DVD]
    ブラック・ショーマン田中亮

    福山雅治が福山雅治のモノマネをしながら福山雅治っぽく事件を解決する、とっても福山雅治なミステリー。

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  • 366日新城毅彦

    沖縄が舞台ということもあり、青春のキラキラがホントに映像として煌めいていて、僕のような“こじらせアオハル経験者”には目が痛い。天下無双のキュートっぷりを発揮する上白石萌歌には、あと20年くらい学生役をやってほしい。

  • 『楓』行定勲
    行定勲

    スピッツの名曲「楓」のイメージを、岩井俊二 『Love Letter』の構造に大変換。かなりトリッキーな話だが、福士蒼汰と福原遥の無双すぎる爽やかさでオールオーケーにしてしまう。

  • 『カルロスのレシピ』青木敬
    カルロスのレシピ青木敬、長良将史

    文化人類学者の青木敬さんが、カーボヴェルデのお爺ちゃんカルロスに密着したドキュメンタリー。めっちゃ笑えてめっちゃメランコリック。

  • メガリポリス/フランシス・フォード・コッポラ[DVD]
    メガロポリスフランシス・フォード・コッポラ

    「時よ止まれ」というファウスト的主題を、永遠に映画を創り続けたいというコッポラ老人の妄執に変換して、混沌と狂乱と絢爛の宴に仕立て上げてしまった、おそらく2025年最大の異色作。ただ静かに頭を垂れて圧倒されるしかない138分。

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  • か「」く「」し「」ご「」と「中川駿

    二言目には「僕みたいなもんが」「私みたいなもんが」というワードが出てくる、「生まれてすいません」レベルで自己評価激低ティーンエイジャーたちの青春映画。そのもどかしさが切ないというより物語の停滞に見えて、正直あまり乗れず。出口夏希の画面支配力とヒコロヒーのスーパーナチュラル芝居は良かった。

  • 『渇愛』岩松あきら
    渇愛岩松あきら

    ポランスキーの「反撥」みたいなニューロティックホラーと思いきや、中盤から監禁系サイコホラーに変貌し、終盤はヒッチコックばりの脱出サスペンスに。おまけにちょっと「尼僧ヨアンナ」みもある。要素多し!

  • 『ドライブ・イン・マンハッタン』クリスティ・ホール
    ドライブ・イン・マンハッタンクリスティ・ホール

    ダコタ・ジョンソンがタクシー運転手のショーン・ペンに自分の秘密を打ち明ける密室劇で、要は移動式懺悔室で告解する話。ショーン・ペンはセラピストであり父親であり神父でもある訳で、それはそれで強大な父権主義にも見えてしまった。

  • エマニュエルオドレイ・ディワン

    大傑作『あのこと』の監督オドレイ・ディワンが、あの『エマニュエル夫人』をリメイク。“資本主義的構造と支配からの解放”というテーマで再解釈し、女性の身体をソフトポルノ的に消費するという眼差しからも解放させているあたりに、監督の強い志を感じる。だがちょっと語りたいテーマに物語が流れすぎてしまっている印象。

  • パルテノペ ナポリの宝石/パオロ・ソレンティーノ[DVD]
    パルテノペ ナポリの宝石パオロ・ソレンティーノ

    ナポリで生まれた主人公パルテノペが、その美しさゆえに性的な眼差しを浴び続け(男女関係なく)、それを利用したり、傷つけられることもありながら、文化人類学学者としてキャリアを積んでいく一代記。鑑賞者を惑わせる魔術的な編集がいかにもソレンティーノ。あと、デカ音の演出が印象的。ドーンという時計の音、花火の音、パーティのタンゴの音。

  • 『タイムマシンガール』木場明義
    タイムマシンガール木場明義

    ビックリすると、ちょっとだけ過去にタイムスリップ。自分の意思ではなく、体質で過去に飛んでしまうという発想が超トリッキー。実はシスターフッド/女性の成長の物語。主役を演じる葵うたのが漫画みたいに表情豊かで、ビックリ顔がめっちゃ絵になる。

  • 『THE END(ジ・エンド)』ジョシュア・オッペンハイマー
    THE END(ジ・エンド)ジョシュア・オッペンハイマー

    環境破壊で地上に住めなくなってから25年後の地球。地下シェルターで暮らす裕福なアメリカ人家族の前に、外の世界から若い女性が現れる…という設定からして、ラース・フォン・トリアー的ハード心理劇を期待してたら、ジョシュア・オッペンハイマーの演出がキャラクターの内面に誘うだけのパワー不足で、中盤以降からそうとうダレてしまった。

  • ザ・ザ・コルダのフェニキア計画/ウェス・アンダーソン[DVD]
    ザ・ザ・コルダのフェニキア計画ウェス・アンダーソン

    ここまで変な話を、変な語り口と、変な役者と、変なビジュアルで見せ切れるのって、たぶん世界でウェス・アンダーソンだけ。たぶんすごくシンプルな話なんだろうけど、映画的強度が高すぎてさっぱりストーリーが頭に入ってこない。

  • キャンドルスティック米倉強太

    なんだかすっごい薄味金融サスペンスに見えてしまうのは、『半沢直樹』や『七つの会議』みたいな福澤克雄の超濃厚ドラマに慣れてしまったからか。あ、あと、ツダケンが提供してたフルーツ理論って結局なんだったんですか?

  • 『ラスト・ブレス』アレックス・パーキンソン
    ラスト・ブレスアレックス・パーキンソン

    僕はいつも情報を何もチェックしないまま試写に行くんですが、なんとなく雰囲気だけでブラムハウス系のホラーと思い込んでた。実際には、取り残された飽和潜水士をレスキューする救出劇だったんで、最初に「これは実話です」というキャプションが出てきて超びっくり。

  • 大長編 タローマン 万博大爆発/藤井亮[DVD]
    大長編 タローマン 万博大爆発藤井亮

    でたらめを描くには、ものすごく知性と戦略が必要。そしてこの映画は、細部に神が宿りまくっているものの、全体的に理屈が多すぎて、知性と戦略が悪い意味でオーバーヒートしている。岡本太郎ismって難しい。

  • 青春ゲシュタルト崩壊[DVD]
    青春ゲシュタルト崩壊鯨岡弘識

    青年期失顔症、本当にある病気だと思って観てしまってすいませんでした。

  • マインクラフト ザ・ムービー/ジャレッド・ヘス[DVD]
    マインクラフト ザ・ムービージャレッド・ヘス

    とどのつまり、『ジュマンジ』+『ロード・オブ・ザ・リング』+『スクール・オブ・ロック』。エマ・マイヤーズ、可愛い。ジャック・ブラック、尊い。ジェイソン・モモア、愛おしい。でも、それだけでしかない。

  • 『この夏の星を見る』山元環
    この夏の星を見る山元環

    確かに桜田ひよりはじめキャストは魅力的だし、「夏を迎え撃つ」とか「星をキャッチする」とかのパンチラインもバンバン出てくるが、東京・茨城・長崎の三ヶ所で展開されるコロナ禍青春グラフィティを均等に配分しているために、個々のエピソードがどうしても弱い。エモの爆発っぷりは認めるものの、逆にいえば感傷性だけに流れ過ぎている印象。すいません、あまりノレませんでした。

  • サッパルー!街を騒がす幽霊が元カノだった件/ティティ・シーヌアン[DVD]
    サッパルー!街を騒がす幽霊が元カノだった件ティティ・シーヌアン

    明らかに色んな要素を詰め込みすぎてカオス状態。元カレのシアンが仲野太賀にクリソツだった。

  • 新幹線大爆破樋口真嗣

    壮大なJR東日本PR映画。

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カイエ・デュ・シネマ
  • 1.『孤独の午後』 アルベール・セラ
  • 2.『ワン・バトル・アフター・アナザー』 ポール・トーマス・アンダーソン
  • 3.『YES』 ナダヴ・ラピド
  • 4.『The Secret Agent』 クレベール・メンドンサ・フィリオ
  • 5.『I Only Rest in the Storm』 ペドロ・ピニョ
  • 6.『L’Aventura』 ソフィー・レトゥヌール
  • 7.『7 Walks with Mark Brown』 ピエール・クレトン、ヴィンセント・バレ
  • 8.『Nouvelle Vague』 リチャード・リンクレイター
  • 9.『Drifting Laurent』 Matteo Eustachon、Léo Couture、Anton Balekdjian
  • 10.『ミラーズ No.3』クリスティアン・ペッツォルト
第97回アカデミー賞

    作品賞

  • 『ANORA アノーラ』 ショーン・ベイカー
  • 『ブルータリスト』 ブラディ・コーベット
  • 『名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN』 ジェームズ・マンゴールド
  • 『教皇選挙』 エドワード・ベルガー
  • 『デューン 砂の惑星 PART2』 ドゥニ・ヴィルヌーヴ
  • 『エミリア・ペレス』 ジャック・オーディアール
  • 『アイム・スティル・ヒア』 ウォルター・サレス
  • 『ニッケル・ボーイズ』 ラメル・ロス
  • 『サブスタンス』 コラリー・ファルジャ
  • 『ウィキッド ふたりの魔女』 ジョン・M・チュウ
  • 監督賞

  • ショーン・ベイカー (『ANORA アノーラ』)
  • ブラディ・コーベット (『ブルータリスト』)
  • ジェームズ・マンゴールド (『名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN』)
  • ジャック・オーディアール (『エミリア・ペレス』)
  • コラリー・ファルジャ (『サブスタンス』)
  • 主演男優賞

  • エイドリアン・ブロディ (『ブルータリスト』)
  • ティモシー・シャラメ (『名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN』)
  • コールマン・ドミンゴ (『SING SING シンシン』 )
  • レイフ・ファインズ (『教皇選挙』)
  • セバスチャン・スタン (『アプレンティス:ドナルド・トランプの創り方』)
  • 主演女優賞

  • マイキー・マディソン (『ANORA アノーラ』)
  • シンシア・エリヴォ (『ウィキッド ふたりの魔女』)
  • カルラ・ソフィア・ガスコン (『エミリア・ペレス)
  • デミ・ムーア (『サブスタンス』)
  • フェルナンダ・トーレス (『I’m Still Here』)
  • 助演男優賞

  • キーラン・カルキン (『リアル・ペイン~心の旅~』)
  • ユーリー・ボリソフ (『ANORA アノーラ』)
  • エドワード・ノートン (『名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN』)
  • ガイ・ピアース (『ブルータリスト』)
  • ジェレミー・ストロング (『アプレンティス:ドナルド・トランプの創り方』)
  • 助演女優賞

  • ゾーイ・サルダナ (『エミリア・ペレス』)
  • モニカ・バルバロ (『名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN』)
  • アリアナ・グランデ (『ウィキッド ふたりの魔女』)
  • フェリシティ・ジョーンズ (『ブルータリスト』)
  • イザベラ・ロッセリーニ (『教皇選挙』)
  • 脚本賞

  • ショーン・ベイカー (『ANORA アノーラ』)
  • ブラディ・コーベット、モナ・ファストヴォルド (『ブルータリスト』)
  • ジェシー・アイゼンバーグ (『リアル・ペイン~心の旅~』)
  • モリッツ・バインダー、ティム・フェールバウム、アレックス・デイヴィッド (『セプテンバー5』)
  • コラリー・ファルジャ (『サブスタンス』)
  • 脚色賞

  • ピーター・ストローハン (『教皇選挙』)
  • ジェームズ・マンゴールド、ジェイ・コックス (『名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN』)
  • ジャック・オーディアール、トーマス・ビデガン、レア・ミシウス、ニコラ・リヴェッキ (『エミリア・ペレス』)
  • ラメル・ロス、ジョスリン・バーンズ (『ニッケル・ボーイズ』)
  • グレッグ・クウェダー、クリント・ベントレー、クラレンス・マクリン (『SING SING シンシン』 )
  • 長編アニメ賞

  • 『Flow』 ギンツ・ジルバロディス
  • 『インサイド・ヘッド2』 ケルシー・マン
  • 『かたつむりのメモワール』 アダム・エリオット
  • 『ウォレスとグルミット 仕返しなんてコワくない!』 ニック・パーク マーリン・クロシンガム
  • 『野生の島のロズ』 クリス・サンダース
  • 国際長編賞

  • 『アイム・スティル・ヒア』 ウォルター・サレス
  • 『エミリア・ペレス』 ジャック・オーディアール
  • 『Flow』 ギンツ・ジルバロディス
  • 『ガール・ウィズ・ニードル』 マグヌス・フォン・ホーン
  • 『聖なるイチジクの種』 モハマド・ラスロフ
  • 作曲賞

  • 『ブルータリスト』 ダニエル・ブランバーグ
  • 『教皇選挙』 フォルカー・ベルテルマン
  • 『エミリア・ペレス』 クレマン・デュコル
  • 『ウィキッド ふたりの魔女』 ジョン・パウエル、スティーヴン・シュワルツ
  • 『野生の島のロズ』 クリス・バワーズ
  • 撮影賞

  • 『ブルータリスト』 ロル・クローリー
  • 『デューン 砂の惑星 PART2』 グリーグ・フレイザー
  • 『エミリア・ペレス』 ポール・ギローム
  • 『Maria』 エドワード・ラックマン
  • 『ノスフェラトゥ』 ジェアリン・ブラシュケ
第75回ベルリン国際映画祭

    金熊賞

  • 『DREAMS』 ダーグ・ヨハン・ハウゲルード
  • 審査員グランプリ

  • 『O ultimo azul』 ガブリエル・マスカロ
  • 審査員賞

  • 『El mensaje』 イバン・ファンド
  • 監督賞

  • フオ・モン (『大地に生きる』)
  • 主演俳優賞

  • ローズ・バーン (『If I Had Legs I’d Kick You』)
  • 脚本賞

  • ラドゥ・ジューデ (『Kontinental ’25』)
第78回カンヌ国際映画祭

    パルムドール

  • 『Un simple accident』 ジャファル・パナヒ
  • グランプリ

  • 『センチメンタル・バリュー』 ヨアキム・トリアー
  • 審査員賞

  • 『Sirāt』 オリバー・ラクセ
  • 『Sound of Falling』 マシャ・シリンスキ
  • 監督賞

  • クレベール・メンドンサ・フィリオ (『O Agente Secreto (The Secret Agent)』)
  • 男優賞

  • ワグネル・モウラ (『O Agente Secreto (The Secret Agent)』)
  • 女優賞

  • ナディア・メリティ (『La petite derniere』)
  • 脚本賞

  • ダルデンヌ兄弟 (『ヤング・マザーズ』)
第82回ヴェネツィア国際映画祭

    金獅子賞

  • 『Father Mother Sister Brother』 ジム・ジャームッシュ
  • 審査員グランプリ

  • 『The voice of Hind Rajab』 カウテール・ベン・ハニア
  • 監督賞

  • ベニー・サフディ (『The Smashing Machine』)
  • 男優賞

  • トニ・セルビッロ (『 La Grazia』)
  • 女優賞

  • シン・ジーレイ (『太陽は我らの上に』)
  • 脚本賞

  • バレリー・ドンゼッリ、ジル・マルシャン (『A pied d’oeuvre』)